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【実例】なぜユニコーン企業になるスタートアップは「カルチャー」が競合優位性になるのか?

今回のnoteでは、急成長を目指すスタートアップにとって私が最も重要だと考えているカルチャー(共通の価値観)についてまとめたいと思います。

これまでB2Bビジネスの伸ばし方では、戦略の立て方やマーケティングのやり方、営業手法をまとめてきましたが、これらは企業特有のカルチャーが社員に浸透していてこそ成果が最大化されるものです。

私の支援先でも、伸びると確信できる会社は例外なくその企業特有のカルチャーが社員に浸透しています

プロダクトや仕組みは後からいくらでも作る(作り直す)ことは出来ますが、カルチャーの浸透は一朝一夕には出来ません。

なぜカルチャーが重要なのか?
そう考えるようになった背景から解説していきたいと思います。


スタートアップにカルチャーの浸透が重要な理由

皆さんは「スタートアップの競合優位性に必要なもの」は何だと思いますか?

かっての私は、ビジネスモデルや資金力こそが競争力の源だと信じていました。それがあるからこそ優秀な人材が集まり、更に競争力が強くなる好循環が産まれると思っていたのです。

実際、私が過去に勤めていた会社では

1.優れたビジネスモデル
2.売れる仕組み
3.徹底的な効率化

で急成長を遂げていた企業もありました。

営業の時は仕組みの上で自分が活躍できていることに何となく気付いてはいましたが、管理職となり全体を俯瞰してマネジメントする立場になった時には上記をベースに経営することが、毎年継続して130%を超える成長を遂げられる要因であることを強く確信したのです。

そんな考えが一変した出来事がありました。
それは2018年にメルペイの立ち上げに伴い、メルカリに入社した時の事です。

メルカリの事例

当時のメルカリは、エンジニアを中心とした最高の技術力を持つたテック企業として認知されていました。

給与水準や福利厚生も国内最高水準で、優秀な人材を吸い込むブラックホールとも揶揄されていました。

そして入社して直ぐ、今まで勤めていた会社と大きく違う点があることに気がつきます。

それは、自社のミッションやバリューが異常なまでに社員に浸透していることです。

メルカリのミッションとバリュー

既に数千人の社員を抱える規模にも関わらず、全社員にミッション・バリューが浸透しているのを目の当たりにして、驚愕したことを鮮明に覚えています。

<メルカリの強さの源泉>
1.全社員が共通の目標(ミッション)を目指している
2.全社員が目標の達成の為に共通の行動指針(バリュー)を徹底している

バリューを体現する為には、自分以外の誰かにどんな影響を与えられているのかが常に問われることになります。
その為には、何が出来るのか考え抜いた行動が必要となります。

売れる仕組みをベースに成長を遂げる企業と、カルチャーをベースに成長を遂げる企業の根本的な違いはここにあります。

前者は性悪説をベースとした働き方となりますが、後者は性善説をベースとした働き方になります。

終身雇用が崩壊したいま、マネジメントが選択すべき組織運営の方向性は答えが出ています。

もちろん仕組みは必要です。
しかし、継続して企業が成長する為には「カルチャーづくり → 仕組みづくり」この順番で取り組みことによって、ハイパフォーマーの長期勤務を実現します。

そしてメルカリは、かなり早い段階からこの組織運営により成長を遂げている数少ない企業の一つです。

スマートニュースの事例

その後、2020年にスマートニュースに転職した時も同じ光景を目にします。

スマートニュースのミッション
スマートニュースのバリュー

スマートニュースは「世界中の良質な情報を必要な人に送り届ける」というミッションに共感した方が沢山いました。

更に、私が所属していたAd Business(広告事業部)では当時の部門責任者の川崎さんが掲げた以下のメッセージに共感して働いている方がとても多い組織でした。

Ad as contents(コンテンツとしての広告へ)

これは広告業界に勤めていた方にはとても心に突き刺さるメッセージで、これまでの広告はユーザーから嫌われるイメージがとても強いものでした。

しかし川崎さんが打ち出したAd as contentsは、「広告さえも良質な情報にしてユーザーに届けていこう」という、ミッションとリンクした強いメッセージが込められていました。

これがAd Businessに深く浸透したからこそ、競合が不適切な広告で成長する中、スマートニュースは一切ブレずにユーザーにとって良質な情報(広告)を提供することに徹することが出来ていたのだと思います。

トヨタの事例

メルカリやスマニューで私が学んだことは、人はその会社で働く理由が必要で、それが明確になるとマイクロマネジメントをしなくてもパフォーマンスは大きく向上するということです。

ビジネスモデルや仕組みは、上記がしっかりしていれば後からいくらでもリカバリ出来ます。この順番は逆ではダメです。

これらはスタートアップに限った話ではありません。

2019年1月8日。トヨタ自動車で実施された、社長年頭挨拶の豊田章男氏のメッセージを紹介します。

「皆さんは、自分の為に自分を磨き続けて下さい。
トヨタの看板が無くても、外で勝負できるプロを目指して下さい。」

「私たちマネージメントは、プロになりどこでも闘える実力を付けた皆さんが、それでもトヨタで働きたい、と心から思ってもらえる環境を作り上げていくために、努力してまいります。」

動画 19:33〜20:12

終身雇用が崩壊し、転職することが増えた時代のなかで優秀な人材が特定の会社で働き続ける理由があることは企業の競争力の源になります

だからこそ、売れる仕組みをつくる前にミッションやバリューを用いたカルチャー作りが重要だと思うのです。

カルチャーを浸透させるためには

メルカリもスマニューもカルチャーを浸透させるために、採用の段階から多くのリソースを割いていました。

例えばメルカリでは、以下のような自社のカルチャーに関する情報を積極的に発信して、カルチャーフィットする人材の採用に力を入れています。

また、私が在籍していた時のスマニューは採用面接は4回以上、8人以上の社員と面談してカルチャーフィット適正を見ていました。

カルチャーを浸透させる為には、求職者との接点を得るところから取り組む必要があります。

今回noteにまとめて、改めて企業にとって広報や採用が重要なことが身に染みました。


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