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(メモ)カマラ・ハリスの経済政策

8月16日、米国副大統領であり、次期大統領候補(民主党)のカマラ・ハリスがノース・キャロライナ州の集会で、大統領選挙にのぞむ経済政策演説を行った。主なポイントは以下の4つ
(1)中間層1億人程度への「減税」 ー 所得税での給付付税額控除(Tax Credit)、子供への給付付税額控除(年間6000ドル)、富裕層・大企業への増税
(2)住宅政策 ー 住宅不足に対応して任期中に300万戸の新設、初めて住宅購入を行う人に住宅ローンの頭金を25,000ドルまで補助、貸家業者のカルテル的な行動による賃貸料の嵩上げを規制
(3)食品など生活必需品価格の抑制 ー 独占的な小売業者への規制
(4)医療政策 ー オバマケアの継続、処方薬の価格規制(上限価格設定)
どのポイントも米国の中底所得者の経済生活上の重要な問題に応えているといえる。

(1)給付付税額控除の拡大は税制を通じた再分配として重要な政策であるが、富裕層・大企業への増税については具体的な案は示さなかった。米国の財政赤字を抑制できる税制パッケージとなるのかが課題だろう。
(2)2020年以降、米国の住宅不足を背景にした賃貸料の上昇や住宅価格の上昇が激しい。住宅価格上昇はコロナ禍に対応した金融緩和によるバブル的な性格もあるが、2022年以降の金利上昇にもかかわらず、住宅価格は概ね高止まりしている。背景には賃貸料の上昇があり、業者の利用するソフトウェア・システムによって事実上の価格カルテルが賃貸料を嵩上げしている実態がある。すでにいくつかの地域で訴訟が行われているが、この問題を連邦政府として取り上げようというものである。
(3)食品などの必需品価格が2022年以降、エネルギーコストの高騰を背景に大きく上昇しており、トランプ候補側はバイデン政権の失策として攻撃している。副大統領であるハリス候補にも責任があるわけで、どれだけ具体策をさらに打ち出せるのか政策論争の課題になるのではないか。
(4)医療コストの問題は米国の中低所得者層にとって文字通り死活問題である。医療費が高い米国では病気なることで破産してしまう例が多い。雇用に伴ってカバレッジの大きい医療保険に入れるかどうかは、労働者が勤め先を選択する非常に大きな条件である。オバマケアによって医療保険はいくらか入りやすくなったものの、医療コスト自体は上昇を続けており、特に処方薬の価格上昇が家計を直撃している例が多くなっている。一方でファイザーなど大手製薬企業の利益は拡大しており、価格規制は必要である。

「社会主義」誌(社会主義協会)掲載 経済情勢分析リスト(北村執筆分)


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