【2024最新版】廃棄食材でつくる料理が人気の北欧レストラン|Restaurang Spill
2024年6月にスウェーデンのマルメを訪問し、廃棄予定の食材から料理をつくり提供するレストラン Restaurang Spill(以下、「スピル」と記載)に行ってきました。
本記事では持続可能なフードシステムの構築に向けて、レストランを通して問題提起を続けるスピルの取り組みを紹介します。
1. Restaurang Spill とは
スピルはスウェーデン第三の都市マルメに2018年にオープンした、北欧料理のレストランです。
廃棄予定の食材を購入し、日替わりの料理として提供することを通して、マルメ地域の持続可能な食のサイクルづくりを日々実践しています。
2. ほぼ100%廃棄食材を使用した料理
スピルのレストラン営業はランチタイムのみ。メニューは事前に決まっておらず、その日仕入れる食材から構成されるため、ドアを開けるまでは何が食べられるかは分かりません。
筆者は月曜の11:30過ぎに訪問しましたが、続々と来店が続きランチタイムは常に満席。周辺企業で働いている人たちにとって、日常遣いのレストランであることがよく分かりました。
メニューは1品のみで、オプションとして肉を使用した料理と、ベジタリアン対応の料理が用意されています。
筆者の訪問日は、インディカ米の上にBBQスタイルの肉とたっぷりの野菜とハーブがのった、サラダボウルのような一皿。軽めの食感で香りがよく、気持ちのいい食後感が続くおいしさでした。
3. 持続可能なフードシステムの構築に向けて
上記の写真をよく見ると、お皿が欠けているのが分かります。スピルでは廃棄予定の食材を使用しているだけではなく、レストランで利用する食器や家具、厨房機器の多くも中古品を使用しています。
『スピルは何かが間違っていることの結果であり、その目標はレストランやサプライヤーがより持続可能な考え方を始められるように、システムの変化に貢献することです』と経営者が語っている通り、欠けたお皿を使ってはいけないというレストラン業界の「常識」に対する問題提起だと筆者は理解しました。
スピルは2023年に2店舗目のレストランをマルメ市内にオープンし、レストランという日々の実践を通したインパクトを拡大しています。
また国際会議にも積極的に参加し、持続可能なフードシステムに向けた活動に取り組んでいます。
筆者が代表を務める株式会社フードピクトでは、ガストロノミーツーリズムやインバウンド対応に取り組んでいる観光・宿泊・飲食事業者に向けて、より良い食体験を届けるための事例集を毎年刊行しています。
最新刊の事例集「Inclusive & Regenerative Gastronomy」は、2024年9月に書籍とPDFで販売予定です。書籍は資源保護のため初版100冊のみとなりますので、お早めにご予約・ご購入ください。
なお2023年度の事例集「Expolore the Future of Food」は、引き続きPDF版で提供しています(書籍は完売しました)。
また本事例集に関する講演や寄稿のご依頼にも対応しています。これまでの実績はホームページに記載していますので、あわせてご覧ください。
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