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3つのキーワードを巧みに取り込んだ体験設計|ケンタッキーのプラントベースチキン

世界の食トレンドと消費者が食に求める3つの役割で紹介した通り、食事が栄養補給から自己実現への手段へと変化するなか、消費者が食に求める役割は、主体的な選択、コミュニティへの帰属、パーパスの発見の3つに分けることができます。

このうちの「コミュニティへの帰属」という消費者ニーズを満たしてくれる小売店の事例には、どのようなものがあるでしょうか? 本記事では米国アトランタにあるケンタッキーフライドチキン(以下、ケンタッキーと記載)の取り組みを紹介します。



1. ケンタッキーとビヨンドによるテスト販売


2019年8月、アトランタのケンタッキーである事件が起こりました。

引用:The New York Times Aug. 28, 2019
(https://www.nytimes.com/2019/08/28/business/kfc-beyond-meat-vegan-chicken.html)


この日はケンタッキーと植物由来のプラントベース・ミートを製造販売する Beyond Meat(以下、ビヨンドと記載)との提携により、肉を使わないプラントベース・フライドチキンのテスト販売が行われ、いち早く体験しようと多くの消費者が列をつくりました。

記事によると、この日ケンタッキーは「約5時間でプラントベースの手羽先とナゲットを、人気のポップコーンチキンを1週間かけて売るのと同じ数だけ販売」しました。一体何が消費者を惹きつけたのでしょうか?

2. 3つのキーワードを満たす体験


消費者が食に求める3つの役割のひとつ、コミュニティへの帰属に答えがあります。

コミュニティへの帰属には「社会的承認欲求」「自己認識と自己表現」「経験の共有」という3つのキーワードがあります。今回の事例を、この3つのキーワードをヒントに読み解いていきましょう。

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世界各国でのフィールドワークをもとに、最新の食トレンドと消費者インサイトや、日本の食産業が進むべき未来とそのステップを、国内外の豊富な事例…

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