3つのキーワードを巧みに取り込んだ体験設計|ケンタッキーのプラントベースチキン
世界の食トレンドと消費者が食に求める3つの役割で紹介した通り、食事が栄養補給から自己実現への手段へと変化するなか、消費者が食に求める役割は、主体的な選択、コミュニティへの帰属、パーパスの発見の3つに分けることができます。
このうちの「コミュニティへの帰属」という消費者ニーズを満たしてくれる小売店の事例には、どのようなものがあるでしょうか? 本記事では米国アトランタにあるケンタッキーフライドチキン(以下、ケンタッキーと記載)の取り組みを紹介します。
1. ケンタッキーとビヨンドによるテスト販売
2019年8月、アトランタのケンタッキーである事件が起こりました。
この日はケンタッキーと植物由来のプラントベース・ミートを製造販売する Beyond Meat(以下、ビヨンドと記載)との提携により、肉を使わないプラントベース・フライドチキンのテスト販売が行われ、いち早く体験しようと多くの消費者が列をつくりました。
記事によると、この日ケンタッキーは「約5時間でプラントベースの手羽先とナゲットを、人気のポップコーンチキンを1週間かけて売るのと同じ数だけ販売」しました。一体何が消費者を惹きつけたのでしょうか?
2. 3つのキーワードを満たす体験
消費者が食に求める3つの役割のひとつ、コミュニティへの帰属に答えがあります。
コミュニティへの帰属には「社会的承認欲求」「自己認識と自己表現」「経験の共有」という3つのキーワードがあります。今回の事例を、この3つのキーワードをヒントに読み解いていきましょう。
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