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おいしい料理と農場ツアーでファンをつくる|Blue Hill at Stone Barns

世界の食トレンドと消費者が食に求める3つの役割で紹介した通り、食事が栄養補給から自己実現への手段へと変化するなか、消費者が食に求める役割は、主体的な選択、コミュニティへの帰属、パーパスの発見の3つに分けることができます。

このうちの「主体的な選択」をしたい消費者のニーズを満たしてくれる飲食店の事例には、どのようなものがあるでしょうか? 本記事ではニューヨークの郊外にある Blue Hill at Stone Barns の取り組みを紹介します。



1. Blue Hill at Stone Barns とは


Blue Hill at Stone Barns(以下、ブルーヒルと記載)は、アメリカでオーガニックの母と呼ばれているアリス・ウォータースの教え子であり、第三の皿を提唱するシェフのダン・バーバーが2004年につくった、Farm to Fork(農場から食卓まで)の世界観を体現する農場併設のレストランです。

現在ブルーヒルはミシュランガイドで二ツ星と、サステナビリティを積極的に推進しているレストランに与えられるグリーンスターを獲得しています。

ブルーヒルでは自社農園で栽培した有機野菜を使った料理を提供しているほか、Farm to Fork の世界観を体験できるツアーを開催し、食に関する取り組みと知識を提供しています。

世界中から訪れるファンに混じって、僕も2022年9月にツアーに参加してきました。本記事ではその様子も交えながら、主体的な選択をしたい消費者のニーズをどのように満たしているのかを紹介します。

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世界各国でのフィールドワークをもとに、最新の食トレンドと消費者インサイトや、日本の食産業が進むべき未来とそのステップを、国内外の豊富な事例…

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