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SDGs絵本07『人形とリサイクル』

世界遺産プラハ歴史地区

学生時代に留学しようと思っていた町がある。
世界遺産の街、チェコのプラハだ。

美大の映像学科卒業して、海外、特にヨーロッパに行きたかった私は、東ヨーロッパで物価や学費も低くて、パペットアニメーションが有名なチェコのプラハはとても魅力的だった。

赤い屋根で統一された街並みは素直に美しく、まるで絵本のような世界観は、ファンタジーの世界に迷い込んでしまったかのようだった。

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そして何よりも驚いたのは、プラハの街にたくさんのパペット人形屋があることだ。シュヴァンクマイエルイジー・トルンカなど著名なパペットアニメーションの作家を輩出する芸術の国チェコ。とはいえ、街角に当たり前のようにパペット人形屋がたくさんある光景は衝撃だった。

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観光客用に売っているのだと思うのだが、こんなにたくさんのパペット人形を売っている町を他に知らない。かなり大きなパペット人形も売っていて、プラハの非現実な世界に滞在していると、そんな大きな人形でも欲しくなる気持ちもわからなくもない。しかし、もし購入して家に持ち帰った後に、その大きな人形の扱いに悩むに違いない。

なぜなら、人形はなかなか捨てれない。
人形はどこか生きているような気がして、必要以上の愛着が湧かないだろうか?

つくる責任 つかう責任

SDGsの目標12 つくる責任 つかう責任 とは、言ってしまえばリサイクルの問題だ。すなわち、作る側は不必要なものを作らず、使う側も不必要なものを購入しないようにする。

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資本主義社会の現代、売れるのであれば、広告宣伝などを駆使して売って売って売りまくる。お金を稼いだもの勝ちなのだから仕方がない。時には使わないものまで買ってしまうのが、我々消費者だ。

具体的に言えば、新しいスマホが出れば、新しい方が良いものだと信じて毎年のように買ってしまう。我が家にも使わなくなったスマホの残骸が山になっているのは、本当に恥ずかしい限りだ。

しかし、これからの時代は、もっと自分の所有物に愛着を持つ必要があるのではないだろうか。

モノのキャラクター化

車を正面から見ると、ライトとバンパーを見立てて、顔のように感じることがある。シミュラクラ現象と言うらしい。

我々が持っているものの中でも、車は特に愛着を持ちやすいモノではないだろうか。

シミュラクラ現象
シミュラクラ現象(シミュラクラげんしょう)とは、人間(ヒト)の目には3つの点が集まった図形を人の顔と見るようにプログラムされている、という脳の働きである。人は他人や動物に出会った場合、敵味方を判断したり、相手の行動、感情などを予測したりする目的で本能的にまず、相手の目を見る習性がある。人や動物の目と口は逆三角形に配置されていることから、点や線などが逆三角形に配置されたものを見ると、脳は顔と判断してしまう。

もちろん、車は高額で管理費もかかるから、大切にするし愛着が湧くが一番の理由だろう。しかし愛着の理由が、車に対してどこか人のように感じているからなのではないだろうか。

もしくは、愛着を持つから、人として見える部分を無意識に探すのかもしれない。

日本には古来から八百万の神という価値観がある。いわゆる、生物・無機物を問わないすべてのものの中に霊魂、もしくは霊が宿っていると考えるアニミズム信仰だ。

太陽を擬人化したアマテラス大神だけではなく、唐傘お化けや提灯お化けのような、つくも神と呼ばれる長い年月を経た道具などに宿るものにまで信仰や畏敬の対象となっていた。

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しかし、そういった文化の流れが,日本の現在のキャラクターやアニメの文化、そしてゆるキャラブームに繋がっている。

身近にあるモノに目と鼻と口をつけてしまえば、なんだってキャラクターになってしまうのだ。

例えば、スマートフォンも無機質な四角いモニタではなく、目と鼻と口をつけたデバイスになれば、より愛着が湧くのだろうか。そして、捨てるときに、もう少し情や畏敬の念が生まれるのだろうか。

個人的に今最も興味深いITデバイスがある。LOVOTという家庭用ロボットだ。

LOVOTはSoftBankのPepperの開発者の一員であった林要さんが開発した役に立たない、でも愛着がある” 新しい家庭用ロボット。本体上部についている「センサーホーン」には、360°カメラ、照度センサー、サーモグラフィー、半天球マイクを内蔵していて、老人や老介護者に対してのケアも可能性も持っている。LOVOTはモニタに入力しなくても、対話をしながらコミュニケーションがとれるデバイスなのだ。

つまり、それは誰にでも扱うことができる、優秀なデバイスになるのかもしれない。

つまり将来的には、スマートフォンやパソコンはドラえもんやアトムのようになっていくのかもしれないということだ。人の形をして、愛着を持ち、もし古くなってもバージョンアップや修理をしながら使い続けるデバイス。そんなデバイスが当たり前になった未来なら、本当に素晴らしい。

モノであるはずの人形が、これからの「人」と「モノ」との関わり方を教えてくれるのかもしれない。

そんな、人形がたくさんあり、ちょっと個人的には贔屓目になっている世界遺産のプラハの街。世界遺産×SDGs12のキャラクターはチェコ語で『パペット人形』を意味するLoutkaからロー・ティカと名付けてみた。

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チェコ語でありがとうは『ヂェクイ モツ』。学生時代留学をしようと思っていたので、少しだけチェコ語を勉強したつもりだったが全く覚えていなかった。

もしこの絵本を作るときには、例えモノに顔がついていなくても魂を持っていることを伝え、持ちモノに愛着を持って大切にすることを伝えたい。

ちょっと鈍臭いパペット人形のティカが、ボロボロになりながらも顔がないモノたちを守るために、健気に頑張っている姿を見ていたら「ヂェクイ モツ」と言いたくなるだろう。
考えを巡らすだけで、ワクワクだ。

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