ワッティー誕生秘話【第1回ワッティーってなに？】

「カンボジアのキティーちゃんを作りに来た人」
とカンボジアに来た当初に、言われた。

2012年、カンボジアへ来た理由は、ノマドワーカーでふらりと軽い気持ちで来ただけだ。カンボジアへ来て、何ができるかまだ探っていた時期だったので、ちょっと困った感情に陥ったのを覚えている。

カンボジアへ来てソーシャルゲーム作ったり、アドバルーン飛ばしたり、カンボジアの学生たちとアニメーションを作ったりと、毎回支離滅裂だけど自分的にはその時々に一番おもしろいと思ったことをことをやって過ごしていた。

それでも、『カンボジアのキティちゃん』というのはなんとなく残っていた。

カンボジアのキャラクターのトレンドは世界と一緒だ。
世界といっても日本は入らない。日本のトレンドは世界では異質なので、私が言うここでいう世界にには含まれない。

カンボジアへ来た当初、iPhoneのゲーム「アングリーバード」が世界中で流行った。すると、その半年1年後くらいに「アングリーバード」一色になる。子供たちのTシャツはみんなフィンランドから来た赤い鳥だらけになったのだ。Tシャツ自体は(たぶん)タイか中国から来ているのだが、キャラクターが北欧から来ただなんて、誰も知らないのであろう。

その後、韓国の人気歌手PSYの『GANGNAM STYLE』の爆発的ヒット。イラスト化された小デブのおっさんがおもちゃになり、Tシャツにプリントアウトされてプノンペンの街で氾濫した時も、少し時差があった。インターネットがカンボジアのトレンドの発信源だった。

インターネット以外からも、ドラえもんやピカチュウなどのキャラクターグッズも市場でも見かけることはある。しかし、カンボジアではそれらのキャラクターの名前は意外に知られてはいない。タイやマレーシア、ベトナムなどの周辺の東南アジアと大きく違っているのは、日本のアニメの認知の意外な認知の低さなのだ。

とはいえ、日本からのキャラクターでカンボジア人の誰もが名前を知っているのは「クレヨンしんちゃん」だ。カンボジア語の発音だと「クレヨン"ち"んちゃん」になる。

そんなこんなで、日本ではなく、世界の影響を受けているカンボジアのキャラクター事情。
一介のノマドワーカーが、キャラクターのイラストを描いたところで、『カンボジアのキティちゃん』にはなり得ない。それが、最初に「カンボジアのキティーちゃんを作りに来た人」と言われて、素直に受け入れることができず困ってしまった理由だった。

とはいえ、いつかカンボジアのキャラクターを作ってみたいとは思っていた。

カンボジアに住み出して数年が経ち、通訳だったJessyAnがデザイナーとしての才能の片鱗を見せ始める。イラストやアニメーションのソフトウェアを勉強しながらキャラクターデザインをし始めたのだ。とはいっても、出来上がるデザインのは謎の珍キャラクターばかりだ。個人的にはめちゃくちゃシュールでオモシロいのだが、カンボジア人にとっては最先端過ぎて理解されずらそうだ(笑)

そして、その中でも特に気になるキャラクターが現れる。
エイ。なぜか、エイのキャラクターをJessyAnは作ったのだった。

つぶらな瞳や困り眉毛が愛おしく感じる。
この形を逆にしたら、アンコールワットになるのではないのか？

カンボジアのキャラクター作るのであれば、やはりアンコールワットのキャラクターを作ろうとは思ってはいた。試しに、ちょっと作ってみたりもしていたが、いまいちピンと来ていなかったのだ。

エイのキャラクターを逆さまにして、得たインスピレーションから描いたアンコールワットのキャラクター。それがワッティーだ。アンコールワットのアンコール・ワッティー。
当初、名前は決まっておらず、アンコールワット君だとか、Sok君(Jessyが考えたカンボジアによくある名前)などと呼ばれたいた。

そして、もう一体が作られたのが、プノンペンの独立記念塔キャラクターのインディーだ。。
独立記念塔とは英語でインデペンデンスモニュメント。フランス支配からの独立（1953年11月9日）を記念して1958年に建造されたプノンペンにあるモニュメントだ。
調べてみると、アンコールワットの中央塔をイメージして造られているらしい。いわば、アンコールワットの弟分(?)インデペンデンスモニュメントのインディーだ。

日本人にとっては知名度はゼロのモニュメントも、カンボジア人にとってはみんな知っているモニュメント。Jessyがアイデアをデザインしてもらう。

ちょっと劇画調なキャラクターだったが、ワッティーにに合わせたデザインに描き直す。

こうしてできた、ワッティーとインディーだった。

つづく

#アンコールワット  #ゆるキャラ #キャラクター #ワッティー