カンボジアキッズ部門【SDGs×アートWhiteCanvas】
WhiteCanvasキッズ部門は、18歳以下の子どもが対象のカテゴリーだ。
途上国の子どもの絵だからといって、侮ってはならない。なかなか、素晴らしい作品が選ばれた。
途上国の子どもたちと先進国の子どもたちとは、環境も違えば、教育も違う。
しかし、『表現』に正解はない。
正しい答えも、間違った答えもないはずだ。
絵の具やキャンバスなどお金が掛かる画材さえ揃えれてしまえば、『表現』そのものは途上国も先進国も差異はないのではないだろうか。
特に、カンボジアの地方の子どもたちには、先進国のようなたくさんの情報の波は届いてはいない。
余計な雑音がない世界。
その目には何が写っているのであろうか?
純粋な子どもたちの目を通した作品は、もしかしたら大人の作品以上もあるかもしれない。
WhiteCanvasカンボジアのKIDS部門のゴールド作品は、シェムリアップ郊外の農村に住むLo Za君(13歳)が描いた『Human Being』。
彼の友だちを描いたポートレート。
Lo Za君はシェムリアップにある小さな美術学校(Small Art School)の出張授業の生徒だ。その授業の中で、友人同士の似顔絵を描く課題があったのかもしれない。
H22 × W16 cmの小さなキャンバスは子どもの落書きとはいえない。厚く塗られた絵の具に、クレオンで上から描き足された質感はしっかりとしたアート作品の風格を持つ。
丁寧に描写された首周りのクロマー(カンボジアのスカーフ)は、高貴なエキゾチックささえ感じさせる。
是非、実物をみて欲しい一品だ。
続いてのシルバー作品は、バッタンバン在住のChhen Rattana君(15歳)が描いた『Animal conservation』。
彼はバッタンバンにある有名なアートスクールPhare Ponleu Selpak の生徒。
この絵は平和をテーマにして描かれ、車や宇宙船などの色々なテクノロジーを想像している。しかし、最も伝えたいメッセージとしては、大切なのが環境ということだ。
夢のある未来予想図と共に、ダイナミックな構図の鳥と魚たちがレイアウトされる。そして未来のテクノロジーと農村の風景が折り混ざる未来図は、現在の世界中の人間が憧れる世界観だろう。
そしてブロンズ作品が、首都プノンペンからほど近いカンダール出身のPhork Sokunvearyさん(16歳)が描いた『Mother』。
思わず、ドキッとさせられる。
ポルポト内戦のクメール・ルージュの大量虐殺を思わせる、銃口を向けられる親子。鉛筆で細密に描かれたその作風は、子どもが描いたとは思えない作品だ。
「いつも子どもを守るために必死で戦う母。母という存在は、どんな状況においても子どもの安全について自分の犠牲は厭わない。」
この作品は、そんな尊敬すべき母の姿を描いている。
カンボジアのキリングフィールドの歴史を知る人にとっては、考えさせられずにはいられない作品。カンボジアの新しい世代が描く、この作品が持つ意味は大きいだろう。
カンボジアのキッズ部門トップ3を紹介した。
三者三様、カンボジアの未来と感じる個性と魅力が溢れた作品だったのではないだろうか。
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