外資系企業の日本進出の鍵 #SaaSLovers DAY11
おはようございます。SocialBridgeの宋です。ご無沙汰のnoteです。
今回は #SaaSLovers という企画に参加しています。貴重な機会をいただけたことに感謝をしてnoteをまとめていきます。
このnoteでは
0.自己紹介
1.現在外資系企業が日本進出をしている状況
2.進出した場合に失敗事例、事例からの学びまとめ
3.外資系企業の日本進出支援を7年してきた私の失敗と弊社の取り組み
を書いていきます。
結論から申しておきますと、私の考える外資系企業の日本進出の鍵は、ローカルパートナー企業との事業提携による事業拡大戦略です。
自己紹介
このSaaSLoversの記事をきっかけに私を知ってくださる方も多いと思いますので、少し自己紹介を。
2015年ごろから外資系企業の日本進出支援に携わり始めました。今年で7年目です。事業開発,営業的な視点で案件に携わることが多く、セールスマーケティング、カスタマーサクセスなどにより売上やLTVを上げることを得意としています。
現在外資系企業が日本進出をしている状況
WHY:日本にどうして外資系企業が来たがるのか
最も大きな理由はビジネス規模です。日本はGDPが米国中国に次ぐ3位の国です。日本でビジネスをするには言語や文化の壁を越えないといけませんが、ビジネス規模が大きいため、日本に進出したいと考える外資系企業は多いです。
下記JETROのHPには外資系企業が日本進出を決めた理由のアンケートの記載があります。以下回答の抜粋。
・所得水準が高く、製品・サービスに対する顧客層が厚い(市場規模が大きい) 61%が回答。
・商品・サービスの付加価値やトレンドに敏感で、新しい商品・サービスの競争力を検証できる。47.3%が回答
HOW:持続的なエコシステムの構築(代表事例)
外資系企業の日本進出における成功事例はやはりマイクロソフトさんやセールスフォースさんが代表例かと思います。
その二社とも一朝一夕に日本でのビジネスを拡大できているわけではありません。マイクロソフトさんは1986年から今年で36年間(SaaSという意味合いでは、office365をリリースされた2013年頃からなので今年で10年目)、セールスフォースさんは1999年に創業してから翌年の2000年に日本支社を立ち上げられ22年間もビジネスに日本で取り組まれています。
これらは双方ともに自社でSaaSを展開する企業でもありますが、プラットフォームとして事業展開、M&Aの事業拡大をしています。ですので日本でも世界でも多くの子会社やユーザー企業を抱え、エコシステムが非常に拡大しています。セールスフォースさんですと最近の大型買収といえばSlackさんがあります。Slackの方々とよく前職の頃に働かせていただいたのですが、買収前からSaaSの代表格であるために日本法人でもセールスフォースさんからの転職者が多かったことは今でもとても印象に残っています。
よって、持続的なエコシステムを構築するためには日本進出を理解しているプロフェッショナルの存在が大切だと考えます。
WHAT:パートナー企業との取り組み
営業の種類を大雑把に分けますと2種類です
・直接販売(自社の営業さんが直接お客様の接点)
・パートナーセールス(代理店さんなどの営業さんがお客様の接点)
マイクロソフトさんはパートナーセールス事業を中心に事業展開をされている雄であり、セールスフォースさんは直販を中心に事業展開をされている認識です。
上述したようにマイクロソフトではパートナーでの取り組みを主とした営業戦略に添えています。
https://partner.microsoft.com/ja-jp/connect/jp-award
またセールスフォースさんでもパートナー企業をこちらのリンク先にあるように多くのパートナーさん方に支えられて事業拡大をされています。
前掲のようにセールスフォースさんは自社営業での直販セールスに強みがあり、名著中の名著 THE MODELも未読の方は是非ご一読ください。個人的にはTHE MODELを福田さんのTwitterやnoteを読みながら読むことをお勧めします。
失敗事例
過去の失敗した取り組み
私の外資系SaaS企業の日本進出支援はほろ苦いデビュー戦から始まりました。
結果は惨敗。大方 5,000万円程度の投資をして、1,000万円程度しか売り上げが上がらず、また本国側でも上手くいかずに次のラウンドに進むことはなく、事業ごと撤退することになりました。今思うと戦略的な失敗もそもそもパートナー選定の部分においても安易な選定だったと言えます。
とあるシリーズAのフランス系スタートアップが米国進出し、日本にも進出するという案件でした。米国では業界トップ企業を顧客に抱え、その実績から前職の会社でも扱う可能性を感じるということでチャレンジした案件でした。全社的な取り組みではなく当時の上司や先輩たちが目をつけた案件であったために、自分自身で案件をハンドルさせてもらえるということでチャレンジしました。
現地と日本では文化背景も違うのに、意気揚々とこれからはこの技術を使う時代が来ますと営業していました。一般的に日本は米国に比べて3年ほど様々なものの遅れがあると言われています。それにも関わらず日本でその技術が誰の何の課題を解決するものなのかの調べも浅い状態で提案していました。そのままとにかく営業するというようなスタンスでやっていました。営業出身だった自分は事業開発などにより営業が売る前にどれほど立て付けられた上で売るものたちが用意されているのかを理解が浅く、それらを知る良い機会にな李ました。
パートナー選定において。外資系SaaS企業でシリーズAレベルでのジャパンエントリーはハードルが非常に高い。シリーズAレベルというと本国でもようやくPMFしているかしていないかというレベル。その時に市場感も言語も文化も違う国で事業を行うことは難易度が高かったです。
私なりの結論は、
1. いきなり営業するのはまず論外。本国でPMFが終わっていても、日本の市場でのPMFをさせる事業開発を行うその会社の商品によって日本の誰の何の課題を解決できるのか、プロセスをきちんと持つ。その上で代理店様などのパートナー展開を広げていく。
2.ジャパンエントリーの相談を受けてもシリーズB以降の会社さんでない場合は受けない。世界にユニコーンが1,000社以上もあり、ユニコーンだけでも十二分にパイプラインがある状況ですし。
他の方々の失敗から改善まとめ
類似するSaaS営業で失敗談が過去のSaaSビジネス Advent Calendar 2019に上げられていましたので掲載しておきます。とても丁寧文章で読みやすいのでおすすめです。
当時は事業をパートナーが畳む前に自分たちでも先に提携をお断りするのかどうかということに随分と悩んでいました。その悩みを解消してくれるような記事をALL STAR SAAS FUNDさんが寄稿してくださっているので、おすすめです。以下の結論にあるように逆説的にいうと、自分の知り合い以外で10社もお客様がいない状況という時には辞めるのも一つの判断ということです。
飛ぶ鳥を落とす勢いで日本デビューし大手クライアントさんを掴んだworkdayさんも苦悩の日々を過ごし、カントリーマネージャーを変更した経緯があります。
これより先は一部弊社の事業紹介になりますので、興味ないよという方はここで読み終えてください。上記のように成功するケースを皆さん学びたいものですが、成功するには運の要素もあり、一概に何かをすれば必ずわけではありません。ただし取り組み方としての型はあります。それらの取り組みを共有いたします。
弊社の事業開発代行の取り組みをご紹介
弊社で取り組む事業開発とは端的に言えば、海外でPMFし代表的なお客様いる企業が日本でのその事業拡大をするお手伝いをしています。外資系企業では英語も人材用件に入ることも多く、英語もビジネスも十分にできるという人材があまりいないため、弊社が立ち上げ期からハンズオンで一緒に取り組ませていただきます。課題検証やそれを解決するための商品・サービス作り、マーケット検証や財務管理、人材の確保、さらには、事業を拡大するための施策の用意など、やるべきことは多岐にわたります。
あらゆるスキルや経験、ネットワークを組み合わせ、社内外のリソースをフル活用して、価値提供の仕組みを創り、スピーディーに事業を成長させること、これが事業開発の目指すところです。一般的に、事業開発は「0→1」「1→10」「10→100」3つの段階に分けられます。
0→1:新しい価値を作る
「0→1」は、現状の課題を明らかにし、課題を解決するための商品・サービスを見つけ出す段階。新しいアイディアを生み出し、事業の芽を創ります。いわゆるProduct Market Fitをさせるということです。PMFについては名noteがありますので詳細はこちらに譲ります。
私たちは上記のようなPMFが本国で成り立った企業を支援します。
1→10:仕組みを作る
「0→1」で発見した課題や解決策を元に、課題や解決策の検証・テストマーケティング・パートナービジネスの推進など、一連のビジネスプロセスを円滑に回すための型を作る段階。私たちの会社では特にここの部分をお手伝いします。本国でPMFしてFortune500企業に利用ケースがあったとしても日本ではその提供方法がそのままハマるかどうかはわかりません。そこの部分を検証し、最適な形での事業成長を仕組み化させるお手伝いをします。
プロジェクトのゴール:日本支社が営業拠点になれている
日本支社のことは、よく外資系企業は一つの営業拠点として言われたりします。私の苦い過去のうまくいかなかった経験を上述しましたが、営業にフォーカスして良いという点では営業拠点になれていることは素晴らしいことだと考えています。日本でのPMFが完了してスケールできる状態になっているということです。
10→100:仕組みを大きくする
「1→10」で作りあげたビジネスモデルを基盤に、事業を高速に拡大していく段階。ここの詳細は割愛します。
顧客0社から150社の拡大支援事例
弊社での事例をここで紹介します。A社が日本に進出する時の大きな課題は、「優秀な人材の確保」、そして「0から売り上げを作り出すこと」。弊社は売り上げを伸ばすための仕組み作りをお手伝いしました。
成功事例の洗い出し
まずは本国での成功事例を洗い出しました。
本国・日本、両方でできる取り組み
本国ではできるけれど、日本での実施は難しい取り組み
本国ではできないけれど、日本では実施できる取り組み
法務会社と契約し、法律を確認しながら、日本での施策を決定しました。
「サービスの確立」「取引先の開拓」2つを併走させる
「日本でのサービスを確立させること」「お取引先を見つけること」この2つを併走させることが、日本で事業をスピーディーに展開していくために必要なことです。
「サービスの確立」
本国側の協力体制,本国に対する日本チームの対応
・日本マーケット専属ないしは対応するために日本文化のわかる日本語話者が本国側にいる(いない場合は設置いただく)、同様に日本チーム側にも本国側の社内事情を理解しつつ調整できる人がいる(多くの場合はカントリーマネージャーがこの業務を担う)
Product Lead Growthなどという言葉もありますが、プロダクトの質が良く日本語化される前から一定数の日本支社を作る前から日本でのお客様がいるプロダクトたちがあります。それらのプロダクトを日本語化しながら、日本の文化に馴染ませていけるプロダクトは伸びやすい可能性があります。ZoomやSlackなどは日本が世界の売り上げの中で米国市場に次ぐ売り上げと言われていますが、彼らのソリューションはまさにそのような広がり方をしたものの代表格でもあります。
パートナー企業(代理店)の開拓
ローカルマーケットでの事業拡大でも外資系SaaS企業からすると日系企業にパートナーがいないので顧客の口座を持っているパートナー企業の存在は貴重です。A社では本国でもパートナー企業(代理店)での事業拡大が主とした戦略でした。そのために日本でもパートナー企業(代理店)と提携を結ぶため、営業活動に注力しました。A社と相性の良い、企業との架け橋となり、無事に多くのパートナー企業(代理店)との契約を続々と締結しました。
A社の社員の一員、そんな想いで取り組んだ結果、2年6ヶ月の期間で顧客0社→150社へ、売り上げは〇〇に。日経新聞にも掲載され、日本での認知を高め成長軌道に乗っていくことができました。
企業様と共に、日本で事業を行う上での基盤を創り上げました。
お客様と共に、ご縁を繋いでいく〜ボーダレスな次世代を創造する〜
海外企業が日本に進出する際には、商習慣、法律、文化、言語・・・多くの課題が存在します。それらの課題を洗い出し、企業様と共に解決していく。そして、未来のビジョンを共有しながら、着実に進んでいく。そんなお手伝いをさせていただきます。海外企業の日本進出。それは、日本の成長のためにも必要不可欠なことです。Social Bridgeがテーマとして掲げているのは「ボーダレスな次世代を創造する」こと。
そして、世界と日本の繋がりを広げることで、次世代の人達の暮らしをより良いものに変えていきます。
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