見出し画像

ある船員の独り言~『手紙屋-僕の就職活動を変えた十通の手紙-』を自分に照らして~

今、わたしが、乗組員として乗船している船は、さほど大きくないが、とても安定しています。

どんな荒波にもまれても転覆する恐れはありません。

乗組員は皆、よく働き、とてもフレンドリーです。

その中で、わたしは、船長補佐として働いています。

船を管理する母艦は、とても大きく、安定していて、わたしたち乗組員に、十分な糧や休みなどを提供してくれています。

わたしも含め乗組員の多くは、家族がいて、その家族を養っていけるには十分な糧もいただけるので、とても助かっています。

わたしが、この船に乗組員として乗船した頃は、自分の航海の目的などはっきりともってはいませんでしたが、ただこの仕事が好きだという思いだけがあったように思います。

荒波にもまれ大変なときもありました。
うまくいかず落ち込むときもありました。
しかし、乗組員仲間や先輩に励まされながら、なんとかやってこれました。
苦労した分スキルや経験値も手に入り、自信ももてるようになってきました。
また、うまくいくとほめられたり、頼られることもでてきて、やりがいも感じるようになってきました。
気づけば、航海の目的を乗組員に示し、船を操縦する立場となっていました。

順風満帆に見えた自分の航海でしたが、航海人生の後半にさしかかり、何か違和感を覚えるようになってきました。

航海人生の後半、わたしは、どんなことを目的にしたいかと考えたとき、今の航海の目的とは違うなと感じるようになってきたのです。

「こんな目的を達成したい」
「残りの航海人生をそのことをめざすことに費やしていきたい」
そのようなことを考えるとワクワク感がとまりませんでした。

一方で、今の航海の日々からは、ワクワクは感じられず、
「自分のようなものが、乗組員を統括するべきではない」
「早くこの船を降りたい」
と思うようになってきました。

しかし、十分な糧が与えられ、家族も養っていく身としては、簡単に決断することはできません。
今乗船している船の業務に、自分の航海の目的に見合うようなものを当てはめてみようとしましたが、それもうまくいきませんでした。

船から海を眺めてみると、様々な船があることがわかります。
それぞれの船には、それぞれの航海の目的があります。

航海人生の後半、自分の航海の目的は何なのか?
その目的を達成するために、自分でつくった船に乗るのか、誰かがつくった船に乗るのか?
そこにワクワク感はあるのか?

そんなことを考えながら、物思いに海を眺めていました。

大切なのはどの船に乗るかではなく、その船がどういう目的で航海しているかです。

あなたが重視しなければならないのは、その船の航海の目的が乗組員であるあなたをワクワクさせるものかどうかです。

乗組員であるあなたに生きていくのに十分な糧が与えられたとしても、船の存在理由そのものが気に入らなければ、乗組員として能力を最大限に発揮することなどできるはずもありません。

手紙屋~僕の就職活動を変えた十通の手紙~P134


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?