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エッセイ『ピースは足りないが、それでいい』


・・・パズルのピースが一つ足りない。ソワソワする。どこにいったんだろう。

パズルの入っていた箱を裏返す。自分のお尻のしたを見る。iPhoneや財布を持ち上げてみる。机のしたやタンスの下に転がりこんでいないか確認する。・・・カーペットをめくってみる。あ、あったわ。

ソワソワした気持ちに終わりをつげ、足りなかったピースが埋まる。うむ、気持ちがいい。


コホンっ。


人が、自分に「足りていない」と自覚したものを埋めるエネルギーたるや、スゴイものがある。

新型コロナウイルスが流行し、日本はリモートワークを余儀なくされたのだが、リモートのための環境が「足りていない」のでここ1、2年の間に環境を整えた。

映画『シン・エヴァンゲリオン』の劇中、地上の人間たちには物資や食料が「足りていなかった」。ので自分たちで足りない物資や食料、はたまたインフラや医者までを自給自足するようになった。

ある友達はデザイン会社に就職した。しかし、就職したタイミングで必要なスキルが「足りていなかった」。迷惑をかけるまい、早く1人前になりたいと、あっというまにスキルを身につけた。

何か、自分に行動が必要だなと感じるとき、多くの人がモチベーションや、やる気や、行為に対する好き度ばかりを意識しているように思う。大事なことだと思うが、頼るにはムラがあって頼りない。


行動を促したいのであれば、必要なのは、足りない環境作りだ。パズルのピースが足りない環境を自分で作った方がいい。


直近で『足りない環境』を作ったエピソードがあるので紹介しよう。


僕の友達が絵画の展示をしていた。何だかその様子を見ていたら自分も展示をしたくなったので、やることにした。だが、展示するための絵画作品が全くと言っていいほどない。

・・・作品がある程度溜まってから、展示の日程を決めるかな。。。なんて悠長なことは言ってられない。僕はまず、展示の日程を決めて、日程を書き込んだポスターやらを作成し周りに配った。

そうなったらもう、作品を嫌でも作るしかない。だって、展示やるよって言っちゃったから。1作品で展示が成立するわけないからある程度量も必要だ。

僕がこのとき意識していたのは、展示を行うために、作品が「足りない」環境や状況作りだ。

・・・結果として、2ヶ月ほどで50作以上の作品を仕上げることができた。まさに火事場のバカ力である。

僕より絵を描くことが好きな人はたくさんいると思う。でも、僕は展示までの期間、周りの誰よりも絵に対して真摯に向き合ったと自信を持って言える。足りない環境を作ったからだ。

あなたにも、もっとやりたい行動や収集したい知識があるだろう。例えば、語学の学習とか、ダイエットとか、創作活動とか。だったら、増やしたい行動や知識を足りないピースに見立て、足りない環境を作ってやればいい。

もし僕が英語を本気で学ぶのであれば、外国へ行く。難しければ、外国人が多くいる環境へ飛び込む。『英語のスキル』が足りない環境を作るのだ。

ダイエットなら、自分の裸の写真を毎日友達や家族に送るなり、夏に海に行く予定を前もって立てたりするだろう。『痩せた身体』が必要な環境を作る。

その行動が好きかどうか、モチベーションがあるかどうかも大事だと思う。可能ならあったほうがいいに決まっている。だけど、足りない環境作りさえうまくいけば行動は容易くなる。モチベーション等に頼りすぎない方がいい。


僕はいつも、ピースが足りていないボードが出来上がるとワクワクする。エネルギーが身体を満たすのが分かるからだ。

さーて、今日もピースを埋めるために、わちゃわちゃしようかしら。あ、わちゃわちゃしてたら文章書き終わった。終わり!ちゃん!

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