太っ腹礼賛 その2【真空パック機は一人クラファン】
目指せスーパースター。蕎麦宗です。
2019年の秋に、従姉が嫁いだ先の、黒澤さんのご一家が三重県の津市から蕎麦宗へ来てくれた。聞くところによると毎年一回家族3世代みんな揃ってあちらこちらに旅しているよう。その年は箱根に宿泊で、そうそう来れない伊豆方面に来るならばと立ち寄ってくれた。
それ以来、家族で集まり蕎麦の話題になる度に蕎麦宗の蕎麦が美味しかったという思い出話になるようで、なんとも嬉しい限り。だが、時はコロナ。全国的に往来が敬遠された2020年は家族旅行には行けなくなってしまった。80代半ばとなったお義父さんお義母さんは尚のことで、そうこうしているうちに、その出不足が原因で足腰も弱り、ますます外出ままならず、
「あの時、蕎麦宗へ行った伊豆と箱根への旅行が最後の家族旅行になってしまったんだよ」
と従兄弟から聞いた。
「せめて蕎麦だけ送ってくれないかなぁ」
と頼まれたものの、蕎麦宗の手打ち蕎麦を送るには無理がある。
「せめて真空パック機があれば…と、今、算段しているけれど、先立つものを用立てするにもコロナ禍の飲食業の経営難の折、なかなか簡単ではなくてね」
と話した。
翌日。従姉から連絡があった。
「黒ちゃん(従姉の旦那さん)から一つ提案なんだけど…真空パック機をこちらで購入するから蕎麦宗にずっと置いておいて自由に使ってもらって、代わりに月に一度蕎麦を三重の方へ送ってくれないかな」
えっっ〜、なんという発想。つまるところこれは一人クラウドファンディングではないか。
いくら親戚とはいえ有り難過ぎるが、
「そうすれば蕎麦宗の支援にもなるし、何より両親が楽しみにしている蕎麦を食べさせてあげられるからね」
とのこと。さすがは夫婦揃って会社経営者だけのことはある。なんともすごい話だが、ちょうど国への助成金申請も落選してしまったところだったし、こんな話はそうそうあるものではないのでありがたく乗らせて頂くことにした。
少し経ったのち後。何かと入用あるだろうからと、僕が見積もりを届けたよりもかなり多くの額が口座に振り込まれていた。真空パック機の領収書はいらないと言う。つまりは会社の経費で、なぞという小賢しいことでなくポケットマネーだ。太っ腹すぎる。有り難いクラウドファンディングであり、素晴らしき親孝行。そして5月の下旬、真空パック機が蕎麦宗に入った。助成金を教えてくれたホシザキの営業マンの兄ちゃんもニコニコしていた。
月の晦日。僕が打った10人前の蕎麦を三重県津市までクール便で届けた。茹で方は以前Instagramにupしてあるので、それを参考にして貰った。
「美味しい!」
「盛り付けは堪忍してね」と添えてあったが、立派な陶器に綺麗に盛られた蕎麦の写真が送られてきた。こんなに嬉しいことはない。
同じお金を使うのならば黒ちゃん(黒澤さん)のように使いたいものだ。一体これで何人の、どれだけの人を喜ばせたのだろう。僕もこのご厚意を蕎麦の全国通販という形で多くの方々に届けようと思う。それもまた黒ちゃんの支援に対する返礼になると思っている。
それにしても太っ腹だ。ああ、太っ腹礼賛。実はもう一人いるのでそれは次回。
では、ガンバラナシませう。
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