見出し画像

「M&A」はスタートアップに必要だ 私がM&Aクラウドに入社した理由

この記事は2023年M&Aクラウドアドベントカレンダーの9日目の記事です。


「会社を売る」ってどんな気持ち?

「るみたん、それで何が聞きたいの?」
彼は少しいら立っているように見えた。

数年前、少しだけ関わっていたスタートアップが、大手にM&Aされたという話を元社員から聞いた。「あの人、会社を売っていい暮らしをしているみたいよ」という、尾ひれのついたセリフを添えて。

私は長らくメディアで記者や編集者をしてきた。今ではそうした仕事柄、買収や合併、事業譲渡の記事を書くこともあるが、当時はリアルでM&Aされた起業家に、そのテーマで話を聞いたことはなかった。

噂の出どころはよくわからないが、それを鵜吞みにする気は起きなかった。そのときの私は、純粋に「会社を売った経営者はどんな気持ちでいるのだろうか」ということが知りたくなった。ジャーナリズム精神と言えば聞こえはいいが、好奇心、あるいは野次馬根性である。

今どうしているんだろう?どんな気持ちでいるのだろう?と、わりと純粋な気持ちでFacebookから経営者の一人に連絡をすると、私の意図は特に聞かずに会ってくれることになった。そこで、会って間もなく聞かれたのが冒頭の一言だった。

そこで私は察した。この人は、自分が今周りからどんなふうに噂されているか知っているのだ、と。そしてお前も同じなんだろ?と。

他意はないことを告げると、彼はみんなが思っているよりも実入りはないと釈明し、今は別のスタートアップの経営者をしていて、「今度こそ成功させたいんだ」と意気込んでいた。心から応援したいと思った。M&Aというのは起業家にとってのゴールではなく、始まりでもあると知ったのはそのときだった。

M&Aのあとも人生は続く

この話には続きがある。最近になって、そのM&Aをされたスタートアップにずっと残っていた社員から私に連絡があったのだ。

もともとのサービスはなくなったが、M&A先の会社で楽しく仕事をしているという。M&Aされた先でサービスもなくなり居場所も失っていたら……と心配していたが、まったくの杞憂だったのである。

私は前職で「Strainer」という新興の経済メディアに在籍し、特にスタートアップやポストIPO企業を取材することが多かった。そこでは当たり前のように、経営者は「上場」を目指していた。理由は明快で、ある程度の規模になると上場以外の出口がなくなってしまうからだ。

ベンチャーキャピタルをはじめとするステークホルダーを多数抱えているスタートアップは、そう簡単に会社を他人に渡すこともできない。また、冒頭の話のように、「M&A」はネガティブなイメージがつきまといがちだ。

ただ、取材をする中で、「どこかと一緒になったほうが幸せなこともある」ということも見えてきていた。実際、取材をしたときはIPOを目指すという話をしていたが、数か月後にM&Aされて話題になったスタートアップもあった。

また、M&Aをした起業家は貴重だ。会社の成長にもサイクルがあり、どのフェーズでどんなことが起きるのか、それにはどんな対処をするのは間違いなのかを知っている。その経験が、別のスタートアップで生きるのだ。

ただ課題は、M&Aについてネガティブなイメージを持っている人が多いということだと感じていた。

会社がどこかの会社の傘下に入れば「負け組」
売られた社員は買った会社にリストラされる
会社を買収するのは「ハゲタカ」
会社を売った経営者はぼろ儲け

……一般的には、こんなイメージを持っている人が少なくない。まず、このイメージを変えないと、スタートアップの経営をやる人は上場のくびきから逃れられないのではないか。良いスタートアップを見つけて取材することは私でなくてもできる。では私が今、社会のためにできることはなんだろう?

M&Aは「経営者の転職」

そんな漠然とした考えを持っていたとき、声をかけてくれたのがM&Aクラウドの剛腕広報・細山だった。オウンドメディアで自社の発信を強化したいのでうちに来ないかというのだ。

M&Aクラウドは取材先の一つでよく知っていたが、自分が事業会社に入ってできることが今ひとつぴんとこなかった。そもそも事業会社のオウンドメディアで、PR記事や広告記事をまったく書いてこなかった私にできることなどあるのかは謎だった。細山の猪突猛進具合はよく知っていたので、あまり深く考えていないのではないか……とすこぶる心配だった。

ただ、代表の及川が話してきたことは、今まで自分が感じてきたM&Aに対する考え方ととても近かった。

この記事で、及川はこのように発言している。少し長いが、引用する。

スタートアップでいうEXITにおいては、資金調達環境は改善してるけど、ここ数年のIPO社数は横ばいで約100社ぐらい。スタートアップのEXIT手段にIPO以外の出口が増えないと、投資家は損をするし、結果として、次の世代への資金循環が止まる危険性があるよね?と。それを解決していこうよと。これも経営者個人までフォーカスすると、スタートアップ経営者のキャリアがIPOしかできないというのは、相当メンタル的にキツイ。IPOっていうのは、一生上場企業の社長やるみたいな、終身雇用みたいな感じなので。途中で「やっぱり違った、転職したい」という時こそのM&Aだと思います。自分がモヤっとしたときに「これは違う」ってなったら辞められるっていうのは健全な状態だと思います。経営者や政治家に対して、みんな神みたいな完璧さを求めていますけど、、、。まあ、人間ですよっていう。経営者も転職あってもいいんじゃないですか?

(中略)転職で例えているのは僕だけかもですね。「会社と会社の結婚」って捉えられるケースはありますね。ただ、これには売り手経営者の視点は入ってないですね。経営者個人の目線で言うと、M&Aは転職ですね。確かにピンチな時に会社を売るケースが多いんだけど、ピンチな時にしか使えない手段っていうイメージが大きすぎると腰が引けたりするので。腰が引けてM&Aの手段を使えないというのは残念だなと。

そういった意味で、M&Aのイメージチェンジ、アップデートは大事だと思いますね。

M&Aが「経営者の転職」というのは、我が意を得たりと感じた。及川自身が一度会社をM&Aしていることからこうした考えが生まれたのだろうが、こんな考えを持ってM&Aのプラットフォームを運営している会社なら、社会を変えることができるのではないだろうか――。

PRという仕事になじみがないが、自分が持っている力でスタートアップM&Aのイメージを変えることはできるかもしれない――。そうして、あれよあれよという間に入社に至ったのであった。

私がM&Aクラウドで実現したいこと

私がここで目指していくのは「スタートアップM&A」をたくさんの人に知ってもらえるようなメディアを作ることだ。

事業会社のメディアであるため、商業メディアとは違うこともたくさんあるだろう。とはいえ、私が考えてきた思いを、商業メディアで発信し続けることは難しい。M&Aクラウドが社会を変えるスタートアップであれば、それをコンテンツの力で一緒に作っていくことが自分にもできるかもしれない。

いつか、M&Aの話をみんながポジティブに語ってくれる社会にしていけたらいいと考えている。

全職種で積極採用中!

M&Aクラウドでは、エンジニアやM&Aアドバイザーをはじめ、各職種でメンバーを大募集中です。少しでも興味をお持ちいただいた皆さん、一度ざっくばらんにお話ししませんか? 以下のリンクより、お気軽にご連絡ください!

【募集職種一覧】




この記事が参加している募集

入社エントリ

よろしければサポートをお願いします!モチベーションが上がって、キーボードの打刻速度が上がります!