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【読書メモ】「盲目的な恋と友情」

こんにちは。SOです。

先日読んだ、辻村深月さんの「盲目的な恋と友情」について書きたいと思います。
(ネタバレ発言はございませんのでご安心ください。)

タカラジェンヌの母をもつ一瀬蘭花(いちのせらんか)は自身の美貌に無自覚で、恋もまだ知らなかった。だが、大学のオーケストラに指揮者として迎えられた茂実星近(しげみほしちか)が、彼女の人生を一変させる。茂実との恋愛に溺れる蘭花だったが、やがて彼の裏切りを知る。五年間の激しい恋の衝撃的な終焉。蘭花の友人・留利絵(るりえ)の目からその歳月を見つめたとき、また別の真実が――。男女の、そして女友達の妄執を描き切る長編。

Amazon商品ページより引用

この本を選んだきっかけ

最近、少しお堅い本ばかりを読んでいたのも相まって、読書に時間を割くことが少なくなっていました。そんな中で妻に、「小説読まないの?」と言われ、勧められたのが辻村深月さんでした。
2人で書店に行った際にそう言われ、辻村深月さんのコーナーで面陳列されていたこちらの本を選びました。特に選んだ理由はなく、「面陳列されているということは、そこそこ売れているんだろう」という軽い気持ちで手に取りました。強いて理由を付けるとすると、オーケストラ部が舞台になっていることでしょうか。


初めての読書体験

軽い気持ちで読み始めたのですが、あっという間に劇中の世界に引きずり込まれました。ただ、舞台設定や文体、登場人物も含め、決して突飛な内容はありません。没入した理由としてはおそらく、情報が少なすぎるからだと思います。
最低限の説明はされるものの、何かちょっと物足りない。特に、登場人物たちの感情を真に理解するのが難しい。ただ、何とか理解しようと読み進めるうちに、パーツが揃い、人物像が徐々に明らかになっていく。そして、登場人物に感情移入する段階になると、物語が引き返せないところまで来てしまっている。そんな読書体験でした。

ただ、「読み進めて登場人物を理解する」と言うとどの小説でも同じですよね。この小説の要点はそこではなく、その体験が2回繰り返されるという点です。

※ネタバレを避けるので抽象的になることをご了承ください。
前提として、この物語は2部構成になっています。前半は前半できちんと起承転結で幕を下ろしますし、結末部分は猛スピードで展開していってまさかの展開を迎えます。十分充実感を得られる内容で、結末を読んでいて久しぶりに"ゾワッ"としました。
ただ、ここで1つの疑問が残ります。「あれ?この人物がこうなったきっかけって何だっけ…?」
伏線が回収されていないわけでもなく、ある程度の検討はつくのですが、何か腑に落ちないもどかしい感情が残ります。その理由は、その人物が何度も劇中に登場しているにも関わらず、肝心なところの感情描写が足りていないことにあります。
このもどかしさは後半で解決されていくのですが、前半との共通点や対比を織り交ぜ、こちらも意外な結末へと進んでいきます。

実は普段あまり小説を読まないのですが、各人物の感情の流れと物語のテンポが良すぎて、一気読みしてしまいました。
これを機に、少しずつ小説を読む機会も増やしていこうかなと思った次第です。


最後に(小説とは直接関係ない話)

小説の中身とは一切関係ないのですが、どうしても気になったことがあるので書かせてください。
小説に限らず、書籍って「帯」がついているじゃないですか。この本、表紙のイラストがめちゃくちゃかわいいのに、ついていた帯がこんな感じだったんですよ。

雰囲気台無しの帯

いや…わかるけど、わかるけれども…。
さすがに作品の雰囲気が台無しでしょ。
帯って、作品の中身やあらすじを伝えたり、つい手に取りたくなるキャッチコピーを入れたりするのは分かりますが、さすがにセンスが無さ過ぎでは?
キャッチコピーもセンスがない上に、デザインもほぼ電車の中吊り広告ですよ。
帯は残す派の私ですが、さすがにこれは捨てました…。

パワポで作ったちゃぶ台が飛んでいく…

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