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医療従事者目線のセカンドオピニオン(セカオピ300文字作文より)

医師、看護師はセカオピをどう思うか?

セカンドオピニオンを躊躇する理由の1つに主治医へ遠慮があります。実際、医療従事者はセカオピについてどのように考えているのでしょうか?

2021年に開催した「300文字で語る!私のセカンドオピニオン」コンテストの応募作品から、医療従事者の応募をピックアップしました。

医療従事者からの300文字セカオピ作文紹介します!


きっと、だいじょうぶ
りょくちゃ(北海道 38歳 女性)

「なんかあったらセカンドシベリアンに行けばいいもんね。」
 長い治療期間を経て、最後の面談を終えた患者様がこっちを見ていた。その方は少しだけカタカナが苦手で、薬剤名や病院食のメニューの間違えて覚えることがあり、すぐにセカンドオピニオンのことだと理解できた。
「そうね、もうなんも起こらないと良いね。」

セカンドシベリアンを調べたらきっと、犬の情報が出てくる。「セカンドシベリアン、病院」で調べたら動物病院が出てくると思う。でもセカンドオピニオンというワードも出てくるはずだ。 セカンドシベリアンを忘れずに、お大事に過ごしてください。

<コメント>現場で働いていると、セカンドオピニオンの存在を知らない患者様がほとんどです。そして、知ってはいるが現実的な選択肢として行動できる方は、ひと握りの中のひと握りだと思います。覚え間違い、言い間違い、たいしたことありません。存在を知ることが大きな一歩と思い返事をした記憶があります。

医療現場で見たセカンドオピニオンにまつわる誤解
ゆり(神奈川県 28歳 女性)

田舎の大きな病院で医療ソーシャルワーカーとして勤務していたとき、連日、セカンドオピニオンの相談を受けていました。その時、決まって患者さんはおっしゃいます。「主治医の先生に失礼にあたるのではないか」と。

この場を借りてお伝えしたいことがあります。医療者の願いは、患者さんが納得して治療を選択し、安心して治療を継続できることです。そのためにセカンドオピニオンを希望されるのは当然のことです。経験上、セカンドオピニオンを希望されたことで患者さんが不利な立場になったことはありません。たった1度の人生に悔いのない選択をするために、わたしたちにできることを全力で応援させてください。

違う世界
らいと(静岡県 31歳 女性)

看護師の私は、Aブースで困っている患者さんを見つめる。

医師は淡々と説明。患者さんのあの表情…患者さんは説明を理解したふりをしている。Bブースに行く。同じ病名の患者さんと家族が医師の説明を聞いている。医師がイラストや治療手順を記入している。患者さんは、納得している表情だ。Cブースでは、不安からたくさん質問をする患者さん。口調が荒くなる医者、両者に青ざめる家族。

説明の内容は同じだった。しかし、受け取り方、これからの信頼関係は三者三様。私だったらBブースを選ぶだろう。でも、別の病気、違う病院なら?私は気付けるだろうか?目の前が全てではなく、別の世界があることを。あらゆる感情をもち、私は最後に言う「お大事にしてください」と。

<コメント>大きな病院の外来で働いているので、毎日あらゆる医師の話を聞きます。だからこそ患者さんに知って欲しい。世界はその診察室だけではないということを。もっと知る権利を活かして生きて欲しい。日々そう思っています。

ある日のベッドサイドで。
おでん (東京都 28歳 女性)

「セカンドオピニオンという方法も、あります。他の先生も同じ結論かもしれない。いま以上にやれることはないかもしれない。でも、結果は変わらなくても、なにか救われる思いもあるかもしれません。いつでも私が紹介状をお書きしますから、その時はどうぞ遠慮なさらずおっしゃってください。」

よくあるセカンドオピニオンの使い方ではないかもしれない。私の力不足かもしれない。でも、拭いきれない不安の捌け口に。諦めきれない思いの供養に。人生の納得のために。皆さんの権利をお使いください。

あなたとまっすぐ向き合い日々手を尽くしているからこそ、いつでも温かく送り出します。 ガンと闘う若手医師より。

<コメント>2年目の若手血液内科医です。 初診時ももちろんですが、打つ手が無くなってきたときやなかなか前に進めなくなったときにも再度セカンドオピニオンを提案することがあります。

患者さんやご家族が自ら行動することで救われたり別の意見を聞いてもうひと頑張りする元気が出たりと、そんな一助になるのではと思っています。先生を信頼していますからこのまま頑張ります、と行かない方も多いですが、この提案を通してまた一段階深く信頼関係を築けるとも思っているので、必要なタイミングでこちらから切り出すこともあります。

セカンドオピニオンは裏切りや浮気ではなく、主治医との信頼関係あってこその大切な選択肢だと思っていますので、積極的に利用検討していただきたいです。

地方でのセカンドオピニオン
ここりんご (福井県 47歳 女性)

私は看護師です。そのこともあり、セカンドオピニオンの利点も理解しているつもりです。実家は北海道の田舎町。病気になった時には、町で一番大きな病院にお世話になりますが、セカンドオピニオンにも協力的で、父が心臓の手術をするときに、札幌のセカンドオピニオンを進めてくださいました。大きな手術の際には、対応できる大きな病院へ、また内科治療でお世話になる際には地元の病院に戻りました。

医療にもそれぞれの役割があります。セカンドオピニオンを正しく理解し、活用することで闘病生活がより良いものになると私は思っています。セカンドオピニオンに対して、誤解や遠慮のある方にこそ、セカンドオピニオンを受けてほしいです。

<コメント>地方の方が、しがらみや遠慮、昔からの価値観が大きい気がします。私は、東京で看護師を長年していたので、セカンドオピニオンには抵抗もありませんし、理解もしているつもりです。でも、実家の両親は少し抵抗があったり、昔ながらの価値観が少なからずあったようです。その両親の思いや話を聞いて、選択肢を広げる意味でも「セカンドオピニオン」があることを伝えました。地方の人にも、「セカンドオピニオン」が身近になり、また、医療者にとっても負担の軽減や医療の広がりというメリットがあることをたくさんの人に知ってほしいです。

大揉めの検査結果とその結末
白明ケ真冬 (愛媛県 24歳 女性)

セカンドオピニオン。この言葉は「私たちの選択の自由」を表している。

――ある日、健康診断の結果を手に、母が仕事から帰宅した。備考欄には要精査の文字。町医者に診てもらうように私の祖父は言ったけど、看護師をしている私の父が頑なに大学病院を推して大揉め。結局、母は両方を受診した。 そしたら、大学の先生が腫瘍を発見。なんと手術することになったんだ。吃驚だよね。

多分、世の中には、セカンドオピニオンを本来の意味とは違った風に解釈したり、想像以上に難しく捉えてしまったりしている人もいる。そういう現状があると、私は思う。いや、今回の事がきっかけで、そう思うようになった。貴方も、一度ちゃんと考えてみて。

<コメント>看護師をしており、いてもたっても居られずに応募させていただきました。セカンドオピニオンは思っているより難しいことではありません。私たちに与えられた、選択の自由を指しています。もう1人の医者の治療方針だけを鵜呑みにする時代は終わりを告げ、我々の選択が必要となる時代になったのです。もっと私達の思いや考えを伝えていくべきです。セカンドオピニオンはその一歩。医療では、私達患者が主役なのですから。

セカンドオピニオンは次の段階に進むためのステップ
秋谷 進 (神奈川県 47歳 男性)

私はセカンドオピニオンを「次の段階に進むためのステップ」と考えている。

セカンドオピニオンを求めて来る理由は人それぞれだが、主治医からのファーストオピニオンに納得がいかなかったということが多い。すでに診断があったが、受け入れらず、違う診断をしてほしいといったものや、とりあえず話を聞いてほしいといったものまである。

実は「話を聞いてほしい」が彼らの背景にあるすべてだと考えている。主治医ではない医者に受け入れてもらうことによって心の余裕ができ、考えがまとまるのである。専門的診断に加えて、クライエントの気持ちを前向きに動かし、次のステップに進ませるのがセカンドオピニオンの大きな意義であると考える。

<コメント>ファーストオピニオンが受け入れられず。思い悩む方は多いと思います。自分で解決できなかった場合には、ぜひわたくしを始めとする医者のもとに来てください。一緒に考えて相談しましょう。

最初の一歩 セカオピ
のりこん (奈良県 55歳 女性)

薬剤師の私に、患者さんが呟く言葉がある。「薬、飲まなあかんのかな?ほんとは飲んでないねん。」医者に遠慮して、こんなことすら質問できない患者さんが、命にかかわる治療や手術となった時に、自らの意思を表明することができるだろうか?

『求めよ、さらば与えられん』セカンドオピニオンの第一歩は、行動を起こすこと。いまや、情報は溢れている。治療を他人任せにせず積極的に参加しよう。患者に寄り添い、納得いくまで説明してくれる先生をみつけよう。セカンドオピニオンを提言している病院を探そう。アップデートされていない頭の固い医者とはおさらばだ。

<コメント>患者さんは未だに、治療は先生に任せてる。他院の薬を尋ねると、何の薬がわからない。と言われます。セカンドオピニオンを理解し浸透させるためには、患者の意識改革が必要です。良くも悪くも情報社会。もっと自分の身体に積極的に向き合ってほしいと願います。地域社会と医療従事者は啓蒙活動を担い、医師は患者の思いに応える。どれが欠けても進まないと思います。

セカンドオピニオンって知らないの?
たきたてのおこめ (東京都 26歳 女性)

セカンドオピニオンってなに?と彼氏に聞かれた。看護師の私にとって当たり前の言葉だったが、まだ一般的ではないのかとがっかりした。

病院では、セカンドオピニオンができるという事を積極的に伝えているが、病院にあまり行かない健康な人にはあまり縁のない言葉なのだと思う。 セカンドオピニオンを希望するということは、自分で自分の体の方針を決める選択肢を得られるということだ。買い物をするときも、どの野菜が新鮮か、どの洋服が質がいいかと考える。そのような選択肢を医療にも持ち込むことができるという仕組みがあるということを、病院内だけでなく、外でも多くの人に知っておいて欲しいと感じた。

<コメント>セカンドオピニオンについて、知らない人はまだ多くいるのだと思うと、こういった活動を通して、せめて、聞いたことあるなぁと、誰もがいざという時に思い出せるよう、広めていく必要があるのだと改めて考えさせられました。

イチ医学生の視点
ユーマ (千葉県 23歳 男性)

「前の先生もそうおっしゃっていました」
診察室でよく患者さんがいう言葉である。

多くの患者さんが『大学病院なら診断が変わるんじゃないか?』『最先端治療で治して貰えるんじゃないか?』多少の希望を持って、検査・診察を受ける。しかし、ほとんどの場合、診断・治療法が大きく覆ることはない。

ただ、セカンドオピニオンを受けた患者さんは、どこか冷静で落ち着いた表情を浮かべていることが多い。今まで、主治医一人からしか聞けなかったこと病気の話を、別の医師の口からも説明して貰えるからであるかもしれない。 『私の主治医が言っていたことは正しかった』 そう納得してもらうのも医療の一部なのだと、診察室の片隅でいつも感じている。  

<コメント>私は現在医学部の5年生で、自大学の付属病院にて実習をしています。大学の診察室では、毎日のようにセカンドオピニオンに近いことが行われています。そんなときにいつも思うことを書きました。私個人としては、患者の病気の理解と納得・安心のためにセカンドオピニオンはもっと利用されるべきだと思います。 セカンドオピニオン:セカンドオピニオンとは納得のいく治療方法を選ぶため、別の医師に「第2の意見」を求めることです。治療を続けるうえで「主治医ではない医師の意見も聞きたい」、「他に治療法はないのか?」といった場合に利用する。複数の医師の意見を聞くことは、病気の治療などに対し、自己決定をサポートするという効果も期待できる。

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たくさんの貴重なご意見、ありがとうございました。
セカオピとは何か?セカオピを受ける意味を考え直すことは、病気・治療と向き合うことにつながります。

毎年2月14日はセカンドオピニオンを考える日です。
セカオピについて考えてみるのはいかがでしょうか?

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