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地雷グリコ(レビュー/読書感想文)

地雷グリコ(青崎有吾)を読みました。

昨年末の刊行以来、話題になっているのは知っていたものの何となく読むのを後回しにしていました。

そんなとき、先日発表された本格ミステリ大賞の候補作に本作も挙げられていたのがキッカケで急きょ読み始めました。

ちなみに、青崎有吾さんの作品は、裏染天馬シリーズは短編集含めすべて読んでいますし、昨年のノンシリーズ短編集「11文字の檻」も素晴らしかったです。

さて、「地雷グリコ」です。

ミステリ界の旗手が仕掛ける本格頭脳バトル小説!
射守矢真兎(いもりや・まと)。女子高生。勝負事に、やたらと強い。
平穏を望む彼女が日常の中で巻き込まれる、風変わりなゲームの数々。罠の位置を読み合いながら階段を上ったり(「地雷グリコ」)、百人一首の絵札を用いた神経衰弱に挑んだり(「坊主衰弱」)。次々と強者を打ち破る真兎の、勝負の先に待ち受けるものとは――ミステリ界の旗手が仕掛ける本格頭脳バトル小説、全5篇。

角川書店「地雷グリコ」紹介ページより(上記リンク)

本作が、漫画の「嘘喰い」や「カイジ」に触発されて書かれたことは各種インタビューなどで作者の青崎さんが述べられています。

こういう話を聞くと、私は、古くは「ジョジョ」や「幽遊白書」の仙水編といった知能バトル系漫画を思い浮かべるわけですが、こうした『「ミステリ好きが好む漫画」みたいなミステリー小説』(ややこしい!)をまさに本格ミステリ作家として脂の乗った青崎さんが描いたことに感銘を覚えます。

ミステリ好きを惹きつける漫画の要素を、今度は逆にミステリー小説に移植してきたみたいな感じです。

例えば、幽白の作者の冨樫さんはミステリー小説も読まれているようですが(仙水編の御手洗清志は、島田荘司さんの探偵・御手洗潔からですよね)、漫画・小説や映像といった媒体(メディア)を超えたキャッチボールが時代を超えて交わされている様子を想像すると胸が熱くなります。

本作を読んでいてそんなことを思いました。

なお、最後のエピソードのフォールームポーカーだけは、元々のポーカーのルールがうろ覚えで、かつ実際プレイした機会も少ないので、今ひとつ入り込めなかったです。これは私自身の問題なのですが。

#読書感想文
#推理小説
#本格ミステリ
#ミステリー
#青崎有吾



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