初カレと初カノ①
プロローグ
『好きです』
初めて告白されたのは、小学校5年の秋。
私は小さい頃からプールで泳ぐことが好きで、いつの間にか水泳選手になることが将来の夢だった。
毎日一生懸命練習をしていた小5の春、突然一般コースから私のいる選手コースに入ってきたのが、影山真那斗(かげやままなと)。
今告白してくれた彼だった。
小学校5年 初めての告白
1週間なんてあっという間。
毎日、夕方から夜はプールで泳いでいる。
選手コースになって2年。友達と話すのも楽しいし、プールの男子たちとも比較的仲良く喋るほうだ。
私の名前は、多賀屋心(たがやこころ)。性格は真面目。天然。負けず嫌い。しっかり者キャラで通ってる。
勉強は嫌いじゃない。けれど、泳ぐことが好きだから将来の夢は《水泳選手》かな?
好きな人はいる。同じクラスの男の子。
ちょっとおふざけが好きなタイプだけれど、実は優しくて、男の子らしい頼もしさもある。
でも同じクラスの別の女の子と、絶賛ラブラブ中なんだよね~😢
さぁ!今日も練習頑張ろっ!
「はい、じゃー今日の練習おしまい。整列!」
「ありがとうございました!!」
友達と喋りながら歩いていると、後ろからいつもよりちょっと真面目な顔した真那斗に肩をポンと叩かれた。
「どした?真那斗?」
「ごめん、美久先に着替えてて!」
仲良しの美久に声をかけて、呼び止めてきた真那斗を見る。
なんだろ?いつもと違う??
普段の真那斗と私は、話が合って常に笑いが耐えない、良い仲間って感じ。なのに、今日の真那斗は何となく真面目。
「着替え終わったらさ、ちょっと話があるから外の自販機のところで待っててよ。」
「いいけれど、お母さん達待ってるよね?」
ハッとした顔の真那斗が、バツの悪そうに
「お互い親に見つからないように、ちょっとだけ話がしたいんだよね。」
「難しそうだけれど、そっと行ってみる(笑)。」
「じゃあ、後で!」
お互い手を振り、それぞれの更衣室に入った。すると、もう半分くらい着替えて終わった美久がニヤニヤしながら近づいてきた。
「真那斗何だって??告白された?」
何を言っているんだろう美久は(笑)。
「んな訳ないじゃん?何か話があるんだってさ。困ったことでもあるのかな〜?」
ふーん。とつまらなさそうにしている美久は放っておいて、さっさと着替えることにした。
ホント、何だろ?大丈夫かな??
ちなみに、自慢じゃないけれど、小学校じゃ私はモテるほうだ。顔は並だけれど、明るいほうだし、頭も良いほうだから告白してくれる男子はチラホラいる(笑)。
でも真那斗に限って、プールでしか会わないのに、えっ?私の事好きとかある??
いや〜、ないない。早く行かないと!
お母さんにバレないで、話出来るかな?
いつも車で送り迎えをしてくれるのはお母さんだ。終わる頃に駐車場で待っててくれる。
見つからないように、入口を通るのって結構難しいものだ。
お母さんの車は見えるけれど、どうやら私にはまだ気がついていなさそうだ。
静かに入口を出て、自販機の前に行くと既に真那斗が待っていた。
他の選手の男子たちは、自転車に乗ってみんな帰って行くところだった。
そんなみんなに見つからないように、真那斗に小声で呼びかける。
「どしたの?」
少し緊張した感じの真那斗は、真っ直ぐ私を見て言った。
「好きです。」
、、、。えっ?えっ?あれ?
動揺しまくりの私が、声を出せずにいるとさらに真那斗が口を開いた。
「突然ごめん。でも選手になって、同じ時間に同じことを一生懸命やっているのを見て、気になって。話をしたら楽しいし。好きになってた。だから、気持ちを言っておこうと思って。」
ヤバい。頭がパニックで何て言えばいいんだろ?えっ?真那斗が私を好き???
「ありがと。嬉しい。けれどごめん、他に好きな人がいるんだ。」
とっさに出た返事は、全然気の利いたことなんて言えないダメな私だった。
「うん、そっか。大丈夫。言っておきたかっただけだから。聞いてくれてありがとう。明日からも仲間として頑張ろうな!」
笑顔でドラマみたいな優しさを見せた真那斗に一瞬ドキっとしながら
「うん。明日からもよろしくね!」
と笑顔で返すのが精一杯だった。
迎えの車に乗り込むと、お母さんが
「今日遅かったね!」
とすかさず突っ込んできた。
アレ?話をしていたの見えちゃったかな?
「コーチの話が相変わらず長くてさー。」
なんて誤魔化してみる。運転中のお母さんに顔を見られないのが救いだ。
多分今、私の顔赤いよね?(〃ω〃)
大変だ。明日聖奈(みな)に話さなきゃ!
聖奈は私にとって、幼稚園からの親友である。何でも話せて、お馬鹿なことも一緒にできる唯一無二の大切な友達。
この一大事を話さない訳がない(笑)。
何て話そうかなー。まず、真那斗の説明からしないとだよね。
顔は好み。ってかメッチャイケメン♡
性格も良いな。話も合う。
同じ選手で学校は違うけれど、結構話をするほうだよな。
あれ?なんか、考えてみたら嫌なところが思いつかないかも。。。
続く