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プーチンを批判しながら靖国を礼賛する矛盾|クレムリンの狂人#2

満州事変が勃発したのは、いまから91年前のこと。
目的は中華民国(当時)に満州国を建設し、大日本帝国の傀儡政権を樹立すること――

満州に侵攻する口実を作るため、当時の関東軍は自作自演の爆破テロを敢行した。

それから半年後の2月(1932年)、大日本帝国は満州全土を占領。
翌年には傀儡政権の樹立を果たした。

人間離れした高市支持者の思考回路

そして満州全土の占領してから90年をむかえる今年、ロシアは隣国ウクライナに「親ロシア派国家へのジェノサイドから国民を守るため」との口実を以て侵攻した。

もっとも、この口実の真偽は定かでない。
この侵攻については、アメリカのイラク侵攻を全面支持したあの日本政府でさえ、「侵略行為」と断じたのだ。

そして、与党自民党きってのタカ派である、政調会長の高市早苗氏がとある番組で、「もし、日本がウクライナのような事態に陥ったとき国民にはどこまで戦ってもらいたいか」を問われ、自身で外交努力は最大限行うとしつつも、「最後まで」と断言した。

これには、彼女の支持者から熱烈な支持が集まった。国を守るため、命を懸けて最後まで戦う。
その決意が伝わってくる。

そもそも、日本国憲法に有事の際、国民は命を懸けて戦う義務があるとの記述は一切みられない。

それでも、高市氏を熱狂的に支持する信者たちにとって最優先で守るべきなのは自身の命よりも国家である。

つまり、自身の命を最優先にする国民は「非国民」であり、敵対勢力なのだ。

彼らは本気でそう信じている。
それもそのはず。プーチンを批判しつつ、先の侵略戦争を正当化している靖国神社を礼賛しているのだから。

このような人間離れした矛盾を引き起こさない限り、高市氏など支持できるはずもなかろう。

“プーチン霊廟”への参拝を認めるのか

今回のウクライナ侵攻は、過去の大国による侵略行為に比肩する国際法違反だ。

今後の情勢次第では、プーチン大統領の戦争責任が国際司法の場で問われ、最悪の場合死刑に処されかねない。

こうしたとき、ロシア国内のプーチン支持者は名誉の死としてレーニンと同じく霊廟をクレムリンの地に誕生させるかもしれない。

そこは、ロシア版靖国神社として聖地化されるだろう。
そして、その地を神聖視し、ロシアの大統領が参拝するようになれば高市氏の支持者は靖国神社と同じようにそれを容認するだろうか。

おそらく彼らに限ってはそこまで考えが至らないと思われる。
なぜなら、彼らの中ではプーチンの侵略行為は悪で、大日本帝国の侵略行為は正だからだ。

必要なのは「無知の知」

満州事変から始まった先の侵略戦争の指導者が軍神として祀られている靖国神社を礼賛しながら、プーチン大統領の侵略行為は批判する。

こうした大きく分かりやすい矛盾に気付かないのだから気の毒にさえ思う。

しかし、このような矛盾に気付かない人たちがいま、高市氏を行政のトップに押し上げようとしていることを軽視してはいけない。

このような独善的な連中が日本を支配するようになれば、同じ過ちをおかす危険が高まる。

早急にこの矛盾を気付かせる必要があるだろう。

公明党も驚きの変わり身の早さ

高市氏の支持者は、日米軍事同盟をより持続的なものにするため、工期が10年単位にわたる辺野古への新基地建設を強烈に支持している。

ところが、ロシアがウクライナへ侵攻し始め、敵対するアメリカが軍派遣を実施しない方針を示すと、今度は日米軍事同盟の枠組みを外れて自国防衛のために核武装すべきだとの主張に切り替え始めた。

これは、永田町きっての風見鶏である公明党もビックリな変わり身の早さだろう。

また、核武装すれば、アメリカのような核大国と肩を並べ、簡単には侵略されないというロジックであればいつ完成するかも分からないし、完成しても普天間が返還されるとは限らない辺野古の新基地建設は税金のムダでしかないことになるので、即座に中止を求めるべきであるのだが、今のところそのような主張はまるでみられない。

残念ながら、高市氏の支持者は今後もその矛盾や破綻に気付くことはないだろう。

それに、いまだ国際社会において敵国扱いされている我が国が核武装して、核兵器の保有を認められている五大国に肩を並べようとすれば、どのような事態が待っているか想像したことはあるだろうか。

むろん、核兵器の保有が認められる国とそうでない国に分けられることに正当性はないといえる。

そんな独善的な枠組みを取り決めるような国々は、絶対的な兵器を手にすることが大国としてのステータスだと思い込んでいるので、そこにアメリカの属国に過ぎない日本が入り込もうとすれば、その動きを徹底的に捻じ伏せるであろうことは火を見るより明らかだ。

それでも、そこまで思考が至らないのが高市信者なのでこうして紙幅を割いて説明している。

いま、少しでも高市さんがいいことを言っているかも、初の女性総理としてふさわしい人かもと思っている方はいったんそこから身を引いて、思考を巡らせてほしい。



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