#7 こんなに濃く、儚さや尊さを感じる作品は初めて!『汝、星のごとく』(著:凪良ゆう)を読んだ感想【本屋大賞受賞作】
凪良ゆうさんといえば、2020年に本屋大賞を受賞して、昨年映画化もされた『流浪の月』の印象が強いのではないでしょうか?
今回は、凪良ゆうさんの2年ぶりの長編作品である『汝、星のごとく』を読みました。
2023年(第20回)本屋大賞ノミネート作品で、第168回直木賞候補作にも選ばれました。
※4/12追記
『汝、星のごとく』が2023年(第20回)の本屋大賞を受賞しました。おめでとうございます!
あらすじ
感想
1ページ1ページがこんなに濃い作品は、これまでないかもしれません。
刺繍のように繊細で、星の煌めきのように儚い。
読書中も読了後も感情が揺れ動いて止まりませんでした。
『汝、星のごとく』は、謎めいて不穏な感じのプロローグから始まります。
そこから、暁海の視点、櫂の視点、それぞれの視点で物語が進んでいきます。
父が浮気をして家庭が崩壊しかけている暁海と、男性に依存気味の母を持つ櫂。
2人は瀬戸内の島の小さな高校で出会い、付き合い始めます。
互いに事情を抱えているけど、付き合い始めまではすんなりだな。
そう思った直後、1ページも見逃せないさまざまな展開が待ち受けていました。
2人がそれぞれ夢を見つけて進もうとする中で、容赦なく襲いかかる現実。
「田舎特有の狭い人間関係」「男女格差」「女性の自立」「親ガチャ」「LGBTQ」「ヤングケアラー」など…
高校生から大人になるにあたり、これらの現代の社会問題に向き合わざるを得ない2人。
すれ違いがあり、不自由と自由が伴う中で暁海と櫂が選び、手にしたもの。
そんな2人の行く末に、最初から最後まで感情が揺れ動きっぱなしでした。
『汝、星のごとく』の登場人物は、それぞれ何らかの事情を抱えています。
その中で印象的な人物は北原先生。
北原先生もあるものを抱えながら生きています。
普段は淡々としていますが、いざという時の行動力、言葉がとにかく響きました。
そして、本作の表現力の高さと構成に思わず声が出てしまいました。
刺繍のように繊細で、星の煌めきのように儚い。
謎めいて不穏な感じのプロローグ。そこからのエピローグは、目頭が熱くなりました。
賛否があるとすれば、物語が重めなこと、性的描写が結構出てくることでしょうか。
印象的なフレーズ
僕は読書をしている時に、印象的なフレーズがあるページに付箋を貼っています。
『汝、星のごとく』では付箋だらけに。
それだけ1つに絞りきれないくらい印象的なフレーズがたくさんあります。
『流浪の月』からさらに洗練されている!
恋愛小説でありながら、「人生」や「社会」についてこれほど考えさせられるとは思いませんでした。
色んな感情が身体の中で動いていて、余韻がしばらく続きそうです。
個人的には、本屋大賞を受賞した『流浪の月』よりも表現力がさらに洗練されているように感じました。
生きづらさを抱えていたり、社会に何らかの疑問を持っている方など多くの方にとって響く物語ではないかと思います。
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