企画書の作り方が分からない……【①企画立案-中編】
前編のまとめ。
ゲームは遊んでくれる人がいてナンボ。
しかし、全ての人が楽しめるゲームなんてものは存在しない!
自分のゲームをどんな人がお金を出して遊んでくれるのか、ターゲットユーザーを考えよう。
おや、前編でダラダラ書いたのに、3行にまとまったぞ……。
とりあえず、前編はこちら。
それでは、サクサク中編行くぞー。
■二つの視点で企画を考えてみる
ターゲットユーザーの重要性は前編で伝わった。……と信じてる。
しかしこれだけだと、前編の冒頭で書いた
A:自分の作りたいと思ったゲームを考える
B:ターゲットとなるユーザー層を決めて、求められそうなゲームを考える
スタートはA/Bどちらでも構わない。
けれど最終的には、A/B両方の視点で企画を考えなければ、良い企画にはならないと僕は考えている。
ここの具体的なイメージが、ちょっと伝わらないかもしれない。
なので、参考までに、僕が考えるときの思考の流れをサンプルとして書いてみる。
今回は「A:自分の作りたいと思ったゲームを考える」って所から、考えたパターンだ。
「不思議のダンジョンみたいなローグライクRPGで、
もっとキャラカスタマイズと戦略性を高めたゲーム作りたいなあ」★A思考
↓ ↓ ↓ ↓
「アイテムドロップだけじゃなくて、
倒した敵からもステータスや能力を奪えるようにしよう」★A思考
↓ ↓ ↓ ↓
「そもそも、不思議なダンジョン系のゲーム作ったとして、
誰が遊んでくれるだろう?」★B思考
↓ ↓ ↓ ↓
「最近は『ポケモン不思議なダンジョン』がヒットしてたっぽいな。
そう考えると、ストーリーなんかも力を入れた方が良さそう」★B思考
↓ ↓ ↓ ↓
「アイテムや、倒した敵からステータスや能力を奪うストーリー
……なんか、なろう作品っぽいな。
いや、むしろなろう展開でダンジョンの底から強キャラになりあがって
脱出するゲームはどうだろうか。
ポケモンダンジョンプレイしていた世代も、
いまはネットやアニメでなろう作品に触れているだろうし、
興味持ってくれるのでは?」★B思考
↓ ↓ ↓ ↓
「なろうのユーザー層ってどれくらいいるんだろ
……(ネット検索)……
ユニークユーザーが1400万人かあ、ビジネス的にも狙う価値ありそう
※ホントはもっと調べます」★B思考
↓ ↓ ↓ ↓
「そういえば、なろうユーザーって、負ける展開とか嫌いだよね。
ローグライクの負けてリセットは合わないかも。
負けても前に進む感じが欲しいな。
奪った能力は一部次回に持ち越そう。
お話も死に戻りで先に進む感じで、死亡回数で分岐も用意しよう!」
★Bを考えて、Aの内容調整
↓ ↓ ↓ ↓
「ダンジョンの奥に追放された主人公が、能力奪取と死に戻り能力で、
ダンジョン攻略を目指すストーリー重視のローグライクRPG
――コレでどうだろう」★AメインでのBとの融合
うーん……クソ雑だけれど、こんな感じである。
「こんなゲーム作りたい」でスタートしたアイディアは
「それを作ったとして、どんなユーザーが遊んでくれるだろう?」
「そのユーザーの好きなこと、嫌いなことはなんだろう?」
「どうしたら興味を持って貰えるだろう?」
こんな感じの別角度からの視点で練り直し、もとのゲームアイディアからは結構形が変わっていった。
でも、それによって
「ターゲットユーザー」
「ゲームとして作るべき内容」
「なぜそう作るべきなのかという理由」
がハッキリした企画になったんじゃないかな。
■ゲームの軸を決めよう
ターゲットユーザーも決めて、それに向けてゲームも練り直した。
ここで、もう一度整理しておいたほうがいいことがある。
それは「このゲームは、結局なにを楽しむものなのか?」ってこと。
ゲームシステムってのは、遊んだ人に爽快感であるとか、達成感であるとか……とにかく特定の感情を呼び起こすための仕組みだ。
だから
「このゲームはこういう体験をして、こういう感情を得る。だから楽しいんだ!」
というゴールを見すえて作らなくちゃいけない。
企画書作りについて、先輩や上司から「一言で言える企画じゃなきゃダメ」みたいなこと言われることがあるんだけど、それってのはコイツのことだ。
明確な体験の軸を持っていて、それを自分が言葉として説明できる段階まで整理できてるか? ってことだね。
上に書いた思考サンプルを例に出すなら
「死に戻りで最強キャラを鍛えて、俺TUEEEEE!!な達成感を楽しめるローグライクRPG」
ってことになる。
こうやって、明確に言葉にすると色々とメリットがある。
①想定したターゲットユーザーが求めている体験なのか、言葉にすることで、しっかり検討できる。
もちろんズレてそうなら練り直しだぞ!
②ゲームが持つ要素について、「この体験のためにあるんです」という形でプレゼンすることができる。
そういう説明ができないってことは、つまりゲームの軸となる体験に繋がってない要素なので、極論それは不要だ!
③最終的に企画が通ったときに、チームメンバーに対して、どういったゲームを目指しているのか説明しやすい。
企画を作る段階においては①を確認できるのが重要だ。
企画を作ってプレゼンする段階までも考えるのであれば、②がとても
■ゲーム内容を膨らませよう
さて、前編含めてここまで書いた内容を整理すると
【ターゲットユーザー】
【ターゲットユーザーの考察と、彼らにどういうものが刺さると考えているのか】
【それを踏まえて、このゲームを一言でいうと、こんなゲーム】
ってのが出来上がってるはずだ。
上に書いたものは、ゲームというコンテンツの魂であり、骨格に相当する。
シンプルなようでしっかり考えなければいけない部分だけど、逆に言えばここまで考えたら、あとは肉付けをしっかりしていけばOK、という段階まで来ている。
じゃあ肉付けの部分……つまりゲーム内容を膨らませる所になるわけだけど、個人的におススメなのが、まず「ゲームサイクル」から、考えるやり方。
よほどのシンプルなゲームでない限り、ゲームは複数の主要素によって成り立っている。
例えばRPGなんかだと――
こんな感じで、要素がループする構造になる。
そう。ゲームサイクルってのは、このループのことだ。
ゲームを考える時は、このように、ゲーム内の各要素が繋がっていくように設計していくわけだ。
君が考えるゲームも、実際にゲームとして遊んだ時のことを考えてみると、バトルだけ、強化だけってことはないはずだ。
それをゲームサイクルって形で、ゲームの中での繋がりを含めて整理すると「どんなゲームで、ユーザーはどんな体験ができるのか」とてもイメージしやすくなる。
自分が整理できるってこともそうだし、企画書を見る側にとってもね。
あとはゲームサイクルとして書き出した個々の要素を、1要素=1ページ程度のボリュームをイメージして、具体的にかつ、シンプルにまとめられれば、この時点で企画書のベースは出来上がりだ。
※ザックリ〆にいった感
というわけで、中編はここまで。
企画立案についての考え方メインで、具体性に欠けてしまってる感じはあるのは、ごめんなさい……。
ただ、<タイプβ:ディレクター系>の企画書までなら、実はここまでの内容でひととおり形になると思う。
今回、ここまでで中編としてるのは、<タイプγ:デベロッパー持ち込み系>だと、不足している情報があるから。
それは、ビジネス関連の補足情報。
ここまでの内容だと、どこまで行っても「こんなゲーム作ります」ってことしか書いてない。
これじゃあ、ビジネスとして「イケそう」って決断はできないわけだ。
企画を持ち込む場合は、プロデューサー側に、売れる可能性(あくまで可能性でしかないけど……)を提示しなきゃいけない。
それが出来ないと、単に「ボクの考えた最強に面白いゲーム(売れるかは知らないし、赤字になるかも)」になっちゃうから。
というわけで、後編はその辺をまとめてく感じで。
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