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心技体(体編)

【問題】
「通訳・翻訳で一番大切なことは何ですか?」と聞かれたら何と答えますか。

【かつての私がしていたであろう回答 】
いや、スキルっしょwww
それ以外に何が?

【今の回答】
心・技・体の3カード。順番つけるとしたら
体>>>>心>技 くらいかな。

今日は、個人的に一番大事だと思う「体」に考えてみたいと思います。


体なくしてスキルを発揮できる場はない

ごく最近まで、私が最も軽視していたのが「体」でした。
前職を退職する前後から、3~4年くらい土日も含め、まともに休んだ記憶がありません。

なぜかというと、十分にスキルがないまま実務に飛び込んでしまったからです。

理想を言えば、忘却の彼方にあった英語を基礎から勉強しなおし、納得いくまで通訳・翻訳の勉強をしてから実務に臨みたかった。
しかし現実には、退職して主婦になると子ども(当時2歳)が保育園に行けなくなってしまうため、何が何でも何か仕事をする必要があったのです。

退職後は締め切りのある仕事を抱え、通訳学校にも通い、さらに翻訳の講座まで受けていたので常に何かに追われまくっていました。
当時は、足りないスキルを一日でも、いや一秒でも早く補いたかった。
(借金取りに追われる生活も若干似ているかもしれないですね!違うか)

当時の自分にとって、スキル向上に関係ない時間=無駄だったので、家族との時間も軽視しまくっていました。
夫に「出かけても本当につまんなさそうだよね。」と言われるほどでした。
実際、隙あらば耳にイヤフォン突っ込んで何か聞いてました。本当にごめんなさい。

それでもどうにかなった(正確に言うと、周りがどうにかしてくれていた)ので、「私、意外と休まなくても大丈夫やん」とか思っていましたが、去年くらいから体調を崩すことが多くなってきました。

多分、主な原因は老化です(悲)
ただ、数年間にわたる無理が祟ったのかなとも思っています。

去年くらいから、朝起きたらひどいめまいがしたり、首の激痛で動くこともできなくなってしまったりして、大事なイベントの通訳を先輩に代わってもらったこともありました(大迷惑ですね)。

動くことすらできなくなって初めて、
体がままならないと、たとえどんなに立派なスキルがあっても使い物にならない
と身をもって学びました。。。

体の異常は、「これ以上は無理だよォォォォ!!」と必死で体が持ち主に知らせようと叫んでいるのかもしれません。

体力には限界があることを認める

また、体調が万全でなかったり体力が弱っていたりすると、仕事もガタガタになります。

特に通訳は瞬発力命、みたいなところがあるので、曇った頭では「何も言えねえ」みたいな状況になってしまいます。

以前、ワークショップの同時通訳を2日間にわたって終日対応したことがあったのですが、昼過ぎ~夕方ごろになると、もう何を言われても理解できないような疲労を感じ、実際に訳出のクオリティもダダ下がりでした。

もちろん自分のスキル不足もありますが、それよりも体力の限界という要素を無視し、自分のAvailability(空き状況)だけで仕事を突っ込んでしまったのがいけなかったと反省しています。

たとえ体が空いていたとしても、体力が持たないような案件は引き受けてはいけないと強く思った出来事でした。

今の職場は通訳の需要が高く、スケジュールの空きを縫うようにがっつり仕事を入れられることも多くあります。
前の会議と次の会議の間の30分弱で、次の会議資料を見ながら昼ご飯を流し込むこともしばしばあります。

ただ、会議の主催者が必死に通訳の空きを押さえようとされているのも理解しているので、ついつい、ついついついつい無理しちゃうんですよね~・・・。
とはいえ、クオリティが担保できないと結局は迷惑をかけてしまうので、もう少しちゃんと考えないとなーと思いました。

今気を付けていること

・・・というわけで、体を軽視したツケががっつり回ってきてようやく健康への意識も高まりました。

今までは、毎日のように夜中まで勉強していましたが、今は終業後はPCを開かず、なるべく早く寝るようにしています。
早く起きて通訳の訓練もしていますが、疲れがたまって起きられないときは睡眠を優先しています。

また、華麗、じゃなかった加齢に伴い体力はダダ下がる一方ですが、少しでも体力をつける努力もしないとなーと思っています。

どうしても在宅勤務だと歩数も少なくなるので、スマートウォッチを付けて一日の歩数を増やすよう散歩をしたり、一日1回はエレベーターを使わずに階段で上り下りしたりするようにしています(かなりきつい)。

ただ、落ち行く体力を完全に止めることはできないので、40代の初老通訳者として(初老って40歳かららしいよ!知ってた!?)、自分にできること・できないことを冷静に考えたいと思っています。





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