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心技体(技編)

・・・今更言うような話ではないですが、通訳技術がなければ 通訳はできません。駆け出しの通訳者として、私も通訳技術の習得と向上に日々取り組んでいます。今日は、通訳技術を向上させるために気を付けていることを書いてみたいと思います。


1. 継続すること

継続は力なりと言いますが 、やはり通訳でも継続は大事だと感じます。

通訳の訓練を始めたころ、文字通りぐうの音もでないほど、同時通訳ができませんでした。たとえ理解できる内容であっても、聴きながら別の言語を口に出す、というのがまったく、まっっっったく!できなかったのです。
これは、未だに苦しんでいる弱点で、今も試行錯誤を続けています。

ただ、もう通訳学校の学費を払ってしまった後だったので自分の生業として通訳をするには克服するしかなかったので、ひたすら根気強く毎日練習を繰り返していました。

というか、当時は訳出内容を一語一句覚えるまで同じ音声で練習していました。
これは、同時通訳というより、もはやボイスオーバー(通訳音声の吹き込み)の練習だったと今となっては思います。

少し話は変わりますが、同時通訳者はマルチリンガルの人と比べ、特定の脳領域の容量が小さいという論文を最近読みました。どうやら、通訳者は聞いた音声を素早く別の言語で訳出するために、脳内の余計なシナプスを刈り込んでいるためではないか、とのことです。

おそらく、同時通訳の訓練を始めてから、ボイスオーバー方式の練習が良かったのかどうかはさておき、毎日聞いた言葉を別言語に瞬時にする、という作業を繰り返すことで、脳が少しずつ変化し、徐々~にできるようになっていったのではないかと思います。

脳を変化をもたらすためにも、長期間、できる限りサボらず毎日継続することは重要なのではないかと考えています。
もっともっと、余計なシナプスを刈り込みたいところです。

2. 負荷をかけた練習

最近、Peak: Secrets from the New Science of Expertise という本を読み、その本から学んだことをベースに、練習内容を少し修正しました。
今までは、とにかく継続!だけをモットーにやってきましたが、練習内容や使う素材を、今の実力では若干背伸びかな?という内容に変更したんです。

通訳練習にも得意分野と不得意分野が人それぞれあります。
得意分野は抵抗なくできても、そうでない分野の練習はついつい先延ばしになりがちです(少なくとも私は)。

Peakによると、今の自分のスキルでは少し辛い、いやだ、と思うような負荷をかけた練習を、短い時間でも集中してやると、楽な練習をダラダラ長時間続けるより実力が伸びるそうです。

私の場合は、まさに同時通訳の練習が負荷をかけた練習にあたると思います。
最近では社説のサイトラ練習もそうですかね~・・・(辛い)
ついつい難しい練習は辛くてサボりがちですが、そういう練習こそ自分に必要なものだと気を引き締めたいと思います。

3. フィードバックによる軌道修正

どんなに一生懸命練習しても、自分一人の力だけでは限界があります。他者からの客観的なフィードバックを受け入れることで、自分の癖や弱点を正確に把握し、改善策を講じることにつながると思います。

最近、元アナウンサーの先生から発音と滑舌のレッスンを受け始めました。
それまで、自分は地方出身とはいえ、関東にも長く住んでいたので、なまりはない!と根拠のない自信をもっていましたが、先生のフィードバックで、まったくもって間違いだったと思い知らされましたw

また、活舌も悪く、音読も非常に苦手だということを40代にして初めて学びました。
何度読んでも、先生曰く「なにいってるかわかんないんですけど」な個所がたくさんあるそうです(涙)

同時通訳ができなかった原因の一つが、この活舌の悪さにあったことも理解できました。

自分以外の方、できればその道のプロからフィードバックをいただくのは本当に大切だなと実感しています。

今回の学びを生かし、最近独学に偏りがちだった通訳もフィードバックが必要だと気づき、今月から短期の通訳コースを受講することにしました。
少し(いやかなり)気が重いですが、ビシバシ鍛えてもらおうと思います!

私自身、まだまだ道半ばで人様に通訳の技云々を語れる域ではありませんが、今の学びの記録として誰かのお役に立てるとうれしいです。

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