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(天体)観測を語ってみる。

こんにちは。以前作成した記事で何度かタカハシのEM-200が欲しいーと叫んでいますが、

そもそも自分がここまで欲しくなった理由について一言も触れていない

ということで、今回、それを語ってみます。ここからは字数削減の為に「だ・である調」で書きますので宜しくです。

注 : あくまで個人の意見なので、悪しからず、です。

そもそも私が狙っていたのはタカハシではない

と、いきなり告白するが、高校1年生の自分が狙っていたのはビクセンのSX2赤道儀であった。

なぜなら、自分が買った経緯台はビクセンのミニポルタシリーズであり安心してステップアップできること、なおかつアフターサービスも充実しているビクセン製品が天体観測初心者の私にとってベターな選択肢だと考えていたからである。

よって、口径20cm鏡筒(具体的にはVMC200L)と極軸望遠鏡等のアダプタをセットにした価格を計算し、その金額を目標に御年玉やお小遣いで貯金していた。その時の私は極度のケチだったかもしれない。

なんせ一高校生が中・上級者向けの機材を持てるような金はどこにもない。機材に対する金銭感覚も持ち合わせていない。

幸い、天文の本は幼少期からずっと祖父母が買ってくれたし、無料で論文等読めるサイトもあるので天文の情報を手に入れるのは比較的困らなかった。恵まれた環境にいさせてもらえて本当に保護者には感謝したい。

この当時の私は、天体観測は眼視で十分満足だ!綺麗な写真を見たければ図鑑や雑誌を読めば良いし科学的な解説もついていて尚更いいじゃないかと思っていた。

SX2は眼視観測を望む私にとって目標の機材だった。

おまけ)VMC200Lは中心像が非常にシャープなカタディオプトリック式で焦点距離が1950mm(F9.75)の惑星観察にも向く眼視派には特にうってつけの鏡筒である。

眼視派から。。。

私は今でも自分の肉眼で覗くことに至上の幸福を感じる。想像して欲しい。

遥か彼方からやってきたヒカリたちが自分の水晶体を通過し網膜に像が写りそして脳が信号として捉え、やっと初めてそこに光があると認識する。脳内の記憶や星座早見・アトラスがその光をどこの星座の星だと教えてくれる。

ほんとうに感動的な瞬間であると思いませんか。。。

これからも眼でみることを根本に据えたいとは考えている。でも、写真(データ)を撮るのは大変面白いと思うようになった。

「撮像」を知る

写真を撮ることの真髄は、高校1年の春から2年の冬にかけて熱中して取り組んだ研究活動を通して知った。

天文の研究で観測という手段を用いて行うに当たり、データの取得が重要になってくる。

私は球状星団の距離推定について研究した。球状星団には特徴的な変光星(こと座RR型など)があり、変光星を用いて距離を推定することもできれば、HR図というものを用いて推定する別の方法もある。つまり、様々な測定方法があるのである。非常に興味深い。

様々な距離測定のうちどれが一番精度が高いのかという研究は研究者も扱うようなテーマになってくるそうだ。

自分の研究では大学生や院生が使う大学構内の天文台を有難いことに借りさせていただいた。交渉の結果、割り当てられた観測日は2018/4/202018/4/21である。天気が良いとも保証できない。京都の街は明るい為観測できる天体の等級も限られる上、高度30度以上の空間にできるだけ長く滞在している球状星団を選ぶ必要がある。たくさんの球状星団から条件にこれらの見合ったのはメシエ天体M3(NGC5272)であった。

目が霞むほどの作業だった。

さらに、大型の赤道儀は触ったことが一度もなくその準備にも追われた。

そして当日、大学院生が協力してくれることになっていたが、操作は大体知ってるよねと余り親身ではなかった。ただ、準備のおかげで作業効率が遅いというダメージだけで済み、初日にしては結構な数のRawデータが得られた。

ここで初めてPC制御の赤道儀に触ったのだが、想像以上に面白かったのである。論理的に考えて観測計画をたて、慣れない操作に苦戦しつつ天候も心配しつつ、また冷却CCDの感度にも常に気を遣い、追尾のラグにも定期的に目を配りつつ一晩が過ぎ去る、、、かなり楽しかった。

画像2

口径40cmシュミカセ鏡筒に50万の価値があると言われる冷却CCDを設置。威厳のある機材の立ち姿。

機材を通してM3(NGC5272)に話しかけている感じがした。受け身要素の強い観測のイメージは覆された。

※京都大学理学研究科の関係者には大変お世話になりました。厚く御礼を申し上げます。(写真を掲載させていただく以上、、、)

天体撮影は能動的な行為かもしれない。

天体撮影には計画が欠かせない。良いデータを撮る姿勢と同じく、良い写真を撮るには計画的に手順を遂行していく必要がある。

そして、長時間の観測では追尾にどうしてもラグが出る。写真を撮る上では受け入れられるものであってもデータを撮るならなるべく妥協したくないのが本音である。

実際、私にとって些細だろとしか思えないラグも院生の方にとっては許せないものらしく、その妥協しない姿勢は印象的だった。

今持っている自分の実力のなかで最高だと思えるデータを追究したい、そういう意欲が湧いてくる。

RAW DATA (FITS形式)

その2018/4/21の観測で得られたRawデータを紹介しよう。

2020-05-08 21.51のイメージ

これは青フィルターで撮影した200枚のうちの一枚である。赤・緑フィルターでも200枚ずつ撮像した。

ただしこのままでは研究データとしては扱えないデータ処理が必要になるのだ。

初心者→→中上級者

こうしてカクカクシカジカ、

私は2晩とそこからのデータ解析を経て、中上級者の領域に達した。ほんとうに達したのかは定かではないが貴重な体験をしたのは事実である。

ここから、

綺麗な天体写真を取ろうと追い求め、科学的に正しいデータを取得しようと突き詰めている内に結局は同じ傾向を持った画像に収束するのだろうか?

という疑問が浮かぶようになった。この個人的な疑問に自分なりの答えを見つけるべく、またPSF測光にチャレンジすべく、また最高のデータを撮ってアマチュア天文家のような個人的研究をすべく、、、

天体写真に挑戦

することを決意。また、天文ソフトをいじるのがめっちゃ楽しいというのもある。まあイライラすることも結構あるけど。

自動導入・追尾・撮像・一次処理・二次処理・・・全てがワクワク。

Raw データを見たときの感動。全ての処理後の満足感ともっと工夫したいという闘志。別の処理を試してみたりできれば尚更しんどいけどオモロイ。

完成品は勿論大事かもしれない、、それ以外の過程の充実を追い求めている自分がいる。

だから、機材を買うときも後悔したくない。自分がとことん愉しメルと感じた赤道儀を選びたい。

赤道儀は撮影の要

赤道儀選びで最も大事なことがあると思う。

ちゃんと追尾してるか?ちゃんと星が点になっているか?

ではどんな赤道儀を選びたいか。

1:PEC (Periodic Error Correction)機能がある。

一般的に赤道儀はギアが噛み合って回転するが、精度ムラによる回転ムラが生じる。PECは回転ムラを記録し修正する。赤道儀の追尾精度を表すのに、ピリオディックモーションという指標があり、普通は±4〜±10位だろう。±10位の安価なものでもこれがあればよくなる。

2:ステッピングモーター(パルスモーター)有

マジで大事。以上。

3: 搭載可能重量

タカハシ は記載通りに受け取って間違いないが、ビクセンなら0.7倍、海外メーカーのは0.5倍で考えるべきだ。これはメーカー側のスタンスが違うからである。

4:壊れにくい

据え付けの望遠鏡ならば話は別だが持ち運ぶ場合、多少の揺れで精度が狂ってしまっては元も子もない。

高校の研究でお世話になった先生は様々な機材を使ったことのある天文・カメラマニアでかなり信頼できる先生だと思っているが、(先生の天文の詳しさは気持ち悪いくらい凄いノダ)

タカハシと後藤光学がええな。ビクセンはすぐ壊れるし海外製品なんて考えるな。

とおっしゃっていた。観測には相当こだわりのある方なのでかなり厳しい評価ではあるが、私も赤道儀と三脚に関しては元々海外メーカーの選択肢はなかった。鏡筒ならセレストロン社のシュミカセなど良いものも沢山あるが、赤道儀は譲れない。当たり外れが大きいという話を様々なところから聞いたからである。安定性は命。その点、タカハシ製品はほんとうに壊れにくい。

高校にはタカハシの小型赤道儀が置いてあったが、屋上へ運ぶときに受けた衝撃にもよく耐えてくれた。経験上、タカハシ製品はほんとうに壊れにくいのは本当だと思う。

5:アフターサービスが充実しているか

国内メーカーなら文句なしです。

タカハシのEM-200シリーズを目指す

私が関西人であることは身バレしたが、まあ良いとして。

大阪市の天体観測機材専門店を訪問し定員さんと1時間半トークした。

やはり、実物を前にし、知識・経験豊富な店員さんと直接話すと

タカハシ はやっぱりいいんだなー

と実感。手に取ってみた衝撃は今でも忘れられない。京都にも専門店はあるが、フィルターなどのカメラ機材が充実している代わりに赤道儀は沢山は置いていないからこそ感じたのかもしれない。

フィルター探しも宝物探しのようで楽しいけどね。

幸運

でも、タカハシ製品は他のメーカーと比べ高価である。赤道儀と三脚も値切り交渉しないと絶対買えない財政状況。しかし、この春部屋の整頓をしていたら、

???

古札めっちゃあるやん。。。

!!!

おじいちゃんが処分するにも勿体無いからとくれたやつ!交換してもええやろか。。

TEL

「ええよー自由に使ってー」

!!!!!!!!!!!!!(銀行)!!!!!!!!!!!!!!

ということで思わぬ収入が入りましたとさ笑(いくらあったかは内緒だぞ)。


この企画、想像以上に楽しいのでまた思いつけば更新します。タカハシを選んだ理由は大体言った気はしますが、具体的にどんな過程で機材を選んでいくかについては、もっと話したいこととかもあるのでまた記事にします。

夢中になって書いたので文章時々おかしいかもしれませんが、見逃してくださいませ。

では。


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