人の心を動かすための神作「影響力の武器」を、死ぬほど分かりやすく解説してみる#2「一貫性」
どうも、メンタリストの清水陽介(@smzyuskmental)です。
今回は、前回に引き続き、人心掌握の神『影響力の武器』より、第2の武器である「一貫性」について、ざっくりと解説。「一貫性」は概念がちょっと難しいので、ここでつまずく方が多いんですよね。
そんなわけで、前回と同様、わかりやすさを重視してザーッと説明して参ります。まだ影響力の武器を読んでない方は、参考にしてみてください。
それでは、GO!
section①
人の心を動かす最強の武器その②
「一貫性」
一貫性というのは、「人は、一度ある態度を取ると、それに一貫した態度を取りやすい性質がある」ということです。もっとわかりやく言うと、「一回言ったことは守らなきゃいけない気がする理論」みたいなイメージです。
たとえば、Twitterのタイムラインで「8月までに2キロ痩せます!!!」と呟くと、痩せないわけにはいかなくなりますよね。少なくとも、「みんなに言っちゃったから、マジで痩せないと」と、プレッシャーにはなるわけです。
つまり、人は一回でも「俺はこうだよ!」という態度をとると、その通りの行動、つまり一貫した行動をとりやすくなります。これが、「一貫性」です。
これは有名な実験がありまして、トーマス・モリアーティさんが1975年に行った実験。この実験では、まずビーチでくつろぐ一般人を見つけて、その近くにバッグのような荷物を置いて、放置します。そしてしばらくした後、サクラが登場して、その荷物を盗んでいきます。で、この時に一般人はその荷物を守ってくれるのか、っていう実験なのですが、ここでは
・なにも言わずにただ荷物を置いてくパターン
・荷物を置いたあと「荷物を見ていていただけませんか?」と頼む
の2パターンを比べてみました。つまり、「一回でも約束をしておくと、その通りの行動をしやすくなるんじゃない?」ってことを調べてみたわけです。すると結果は、
・なにも言わなかった場合、20人中4人はドロボーを止めてくれた
・「見てくれませんか」と言った場合、20人中19人もドロボーから荷物を守ってくれた!
という感じ。つまり、相手に「私はあなた荷物を守りますよ」という態度を取らせることで、それに一貫した行動を取りやすくなる、というわけです。
で、「なんで一貫した行動を取りたがるの?」って話ですが、これは主に、「態度が一貫していた方が、社会的に好ましいから」であります。たとえば、「12時に新宿ね!」と自分で言っておきながら、「ごめん、寝坊した!着くの14時になりそう!」とか言ってきたら、その人は信頼を失いますよね。約束を守る人の方が、周りから好かれるわけです。
つまり、一度でも態度を表明すると、「それを守らなければいけない」という社会的圧力がかかるので、その結果、最初にとった態度と一貫した行動を取りやすくなる、ということです。
ちなみに、「私はこうだよ」と、自分の態度を示すことを「コミットメント」と言います。日本語にすると「約束」とか「宣言」みたいな意味ですね。たとえば、「Twitterで痩せる宣言をする」なら「Twitterでダイエットのコミットメントをする」みたいに使います。
概念が少し難しいですが、ちょいちょい出てくる表現なので、「コミットメント」の意味はなんとなくで良いので押さえときましょう。
というわけで、ここまでを一旦まとまると、「人はコミットメントすると、そのコミットメントに一貫した態度をとりやすくなる」というところ。
section②
一貫性を発動させるための
4つのポイント
ここまでで、「相手を動かしたいなら、コミットメントさせて一貫性を発動させればいい」ということが分かったわけですが、一貫性を発動させるためにはいくつか条件があります。というのも、ただコミットメントさせればいいってわけではなく、相手に特定の行動をしてもらうためにはコツが4つほどありますので、とりあえずそこだけ拾っておきましょう。
一貫性を発動させるコツ①
行動を伴ったコミットメントほど一貫性が強くなる
一貫性を発動させるための1つ目のコツは、「できるだけ具体的な行動を伴うこと」。もっとカンタンに言うと、「頭の中で意識させるだけではなく、しっかりと口で言わせたり、文章で書かせたりすると、一貫性が強くなる」ということです。
たとえば、「夏までに2キロ痩せよう!」と思った時に、頭の中で「痩せるぞ!」考えるだけでは、カンタンにサボれてしまうわけです。ところが、友達に「夏までに2キロ痩せる!」と言えば、ダイエットを頑張るようになりますよね。
つまり、コミットメントは実際に行動に移すことで、一貫性が強固なものになり、実際にそのコミットメントに一貫した行動をしやすくなるわけです。
だからたとえば、会社の営業とかだと「今月の目標を書きましょう!」みたいなのがありますよね。「なんでわざわざ書かせるんだ?」って感じですが、あれは、目標を実際に紙に書かせることが「俺は頑張る人なんだ!」という態度を示すコミットメントになっているわけです。つまり、目標を書かせることで一貫性を作り、実際に仕事を頑張ってもらう、という意味があったわけですねぇ。
というわけで、1つ目のコツは「行動を伴わせること」。
一貫性を発動させるコツ②
大勢の前でコミットするほど一貫性は強くなる
2つ目のコツは、「できるだけ大勢の前でコミットメントさせること」。これはどういう事かと言いますと、「コミットメントはなるべく多くの人に見てもらった方が、一貫性が強くなる」ということです。
たとえば、「今日は本を1冊読む!」という目標を立てた場合。親に「今日は本を1冊読むから!」と言うよりも、家族全員に向けて言った方がサボりづらくなりますよね。もっと言うと、フォロワーが何百人もいるTwitterでも「今日は本を読みます!」と言い、会う友達全員にも「今日本読むから!」と言うと、全員を裏切るわけにもいかないので、ちゃんと本を読むようになりますよね。
つまり、コミットメントはなるべく多くの人に知られた方が強制力が働いて、実際に行動しやすくなるわけです。これは感覚的にも分かりやすいところですね。「目標は大勢の前で言った方が達成しやすくなる」っていうのは、この一貫性によるものです。
そんなわけで、2つ目のコツは「なるべく大勢の前で晒すこと」。
一貫性を発動させるコツ③
自主性が伴うこと
一貫性を強くする3つ目のコツは、「自主性の伴ったコミットメントをさせること」。というのも、ただコミットメントさせればいいってわけじゃなくて、あくまで、「自分の意思でコミットした」と思ってもらうことがポイントになります。
たとえば、子供に部屋を片付けてほしい時に、「ほら、部屋を片付けなさい!」と言って「はい、片付けます」と言わせても、おそらくちゃんと部屋を片付けないですよね。ところが、子供に「これから美人のお姉さんが家に来るよ!」と言うと、自分で「片付けなきゃ!」と考えて、喜んで部屋を片付けますよね。
つまり、無理やりコミットメントさせるだけではあまり意味はなく、相手の意思でコミットメントさせた方が一貫性が働く、ということです。無理やり「やります」と言わせても一貫性は発動しないので、行動につながらないわけですな。あくまで、「自分で言った」という形のコミットメントをさせることが大事です。
だからたとえば、友達に集合時間を守ってほしい時は、「12時に新宿ね!いい?」と言うよりも、「明日の集合時間って何時だっけ?」と聞いて、相手の口から「12時に新宿だよ」と言わせればオッケーです。一貫性がはたらいて、約束を守ってくれやすくなります。
というわけで、3つ目のコツは「自主性が伴うこと」。
一貫性を発動させるコツ④
努力を伴うこと
一貫性を発動させる4つ目のコツは「出来るだけ努力の伴ったコミットメントをさせること」。というのも、コミットメントの内容がハードになればなるほど、一貫性は強く発動します。
たとえば、「あなたのことが好き」という態度の場合。「あなたのことが好き」と口で言うだけよりも、100万円のネックレスをプレゼントしながら「あなたのことが好き」と言う方が、「努力を伴うハードなコミットメント」になります。そしてこの場合、後者のようにハードなコミットメントの方が、「あなたのことが好き」という態度を一貫しやすくなります。
つまり、相手になにかをコミットメントさせるとしたら、できるだけ努力やコストの伴うコミットメントをさせることで、「自分はこれが好きなんだ。大事なんだ」という一貫性が強く働くわけです。
たとえば、「無料のnoteよりも有料noteの方が、安いnoteよりも高いnoteの方が、スキが多い」ってのがありますが、それもこれと同じ原理です。つまり、「noteに対して高いお金を払う」という努力を伴うコミットメントが、「私はこのnoteが好き」という態度を強めているわけです。そしてその結果として、「このnoteの内容を絶対に覚えよう!」という行動が起きるわけです。
僕のnoteをちょいちょい有料にしているのは、このためです。確実に身にして欲しいものは有料にしとります。カンタンに手に入るものよりも、努力して手にしたものの方が大事にしますからね。
というわけで、最後のコツは「苦労するコミットメントをしてもらうこと」。
まとめ
というわけで、第2の影響力の武器、「一貫性」について、カンタンに解説しました。今回をまとめると
・人は、一度ある態度を取りと、それに一貫した行動を取りやすい。これを「一貫性」と言う
・一貫性で大事になるのは、「コミットメント(宣言)」させること。
そして、コミットメントのコツは、以下の4つ
①行動を伴わせること
→目標は書かせたり発表させた方がいい。
②大勢の前でコミットメントさせること
→1人よりも10人。10人よりも100人に向けてコミットした方が一貫性が強くなる。
③自主性が伴うこと
→あくまで、自分の意図でコミットさせること。
④努力を伴うこと
→苦労させた方が、一貫性が強くなる。
という感じでした。
とりあえず押さえておくといいのは、一度でも「YES」と言うと、そのあとも「YES」と言ってしまいやすくなる、というところですね。
テレビショッピングなんかでよく、「こんな商品あったら欲しくないですか?」みたいなセリフがありますよね。そう言われると「うんうん欲しい」ってなるわけですが、ここで一貫性が発動しているわけです。で、そこで「実はそれが、あるんですよ」と言われると、買いますよね(笑)。 つまり、一回「買いたい」という態度を取ってしまっているので、一貫性の圧力で商品を買ってしまうわけです。気を付けましょう。笑
では、今回も、最後までお読み頂き、ありがとうございました。
次回は、第3の武器、「社会的証明」についての解説です。次回もお楽しみに。
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