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人の心を動かすための神作「影響力の武器」を、死ぬほど分かりやすく解説してみる#5「権威」

どうも、メンタリストの清水陽介(@smzyuskmental)です。


引き続き、影響力の武器を分かりやすく解説してみたシリーズ」です。

前回まではこちら。

#1「返報性」

#2「一貫性」

#3「社会的証明」

#4「好意」


で、今回は第5の武器である「権威」について解説。6つの武器の中でも特に強力なのがこの「権威」ですので、説得力に自信がない人は、ここだけでも押さえておくと何かと楽です。

それでは、GO!


人の心を動かす最強の武器⑤
「権威」

5つ目の影響力の武器は、「権威」。これはカンタンに言うと、「人は、偉そうな人や凄そうな人の言うことを信じやすい性質がある」ということです。

たとえば、一般人の友達に「寝るときは裸で寝た方がいいよ」と言われるのと、東大の教授に「寝るときは裸で寝た方がいいよ」と言われるのでは、信頼性が大きく変わりますよね。言っていることは同じなのに、それを言う人が東大の教授というだけで、発言の内容が正しそうに聞こえます。これが、権威のパワーです。

つまり、人は「物事の正しさを判断するとき、”なにを言っているか”よりも、”誰が言っているか”を頼りにする生き物」であり、「特に、権威性のある人物や、専門家の意見には”盲目的”に従う」ということです。

たとえば、「世界1位のミシュランのシェフが、料理のレシピを公開!」みたいに聞くと、「これがプロのレシピか!」とその料理を真似したくなったりしますが、これも権威の効果です。つまり、権威のある人が何かを発言をすると、その発言にまで権威が乗っかかるわけです



権威の持つ影響力の強さ

で、この「権威」ですが、6つある影響力の武器の中でも、特に非常に強力な部類に入ります。なんでかって話ですが、これは「権威には、合理的思考や倫理観さえ無視させるパワーがある」からです。つまり、人は権威を目の前にすると、半ば盲目的に服従してしまうわけです。


これはイェール大学のスタンレー・ミルグラムさんの行った有名な実験。まず、この実験室には、以下の3人の登場人物がおります。

①実験を担当する研究者

②「教師役」の参加者

③「生徒役」の参加者

で、まず「生徒役」の参加者には単語のリストを暗記してもらうのですが、研究者はこう言います。

「これから、”生徒役”のあなたには別室に移動してもらい、記憶テストをしてもらいます。そして、”生徒役”のあなたが問題を間違えた瞬間、”教師役”の参加者は、あなたに電気ショックを与えます。また、電気ショックは、問題を間違えるたびに、少しずつ強くしていきます。もし、痛みに耐えられなくなったら、インターホンで教えてください。」

みたいな感じ。要するに、生徒役の人がクイズを間違えるたびに、教師役の人は電気ショックを送るよう指示したわけです。

で、実際にテストが始まるわけですが、生徒役の人が答えを間違えるたびに、教師役の人がビリビリと電気ショックを流します。そして、電気ショックの強さはどんどん上がっていき、痛みが強くなると、生徒は耐えられなくなり、「もう無理です!」と言います。

ところが、そこで研究者は教師役の人に「大丈夫です。まだ続けてください。」と言います。ドSですねぇ。

そして、教師役は指示に従って、200ボルト、300ボルトとさらに強い電気ショックを与えるわけですが、壁の向こうからは「もう死んでしまう!部屋から出してくれ!!!!!」と泣き喚いて言う声が聞こえます。しかし、それでも研究者は「気にせず、続けてください」と言います。ものすごくヒドい実験ですが、この過程で、どこまで電気ショックのボルトが上がるかを調べます。つまり、教師役の参加者は、生徒役の悲痛な叫びを無視して、どこまで研究者の指示に従うかということを調べたわけです。

ちなみに、ここまでを聞くと「倫理的にヤバすぎるでしょこの実験」という感じですが、実は、電気ショックは流れておりません。つまり、電気ショックを受ける生徒役はただの演技をしているサクラであり、本当の実験参加者は「教師役」だけだったわけです。

で、結局どれくらい研究者の指示に従ったのかって話ですが、その結果が凄まじく、

・研究者に指示された教師役の60%以上は、生徒役の叫びを無視し、電気ショックのパワーを”最大”まで上げた。

・さらに、教師役のほとんどは、最後まで研究者の指示に従った。

・また、あらかじめ「心臓疾患があるんです。」と言っていた場合でも、65%の人は電気ショックのパワーが最大になるまで続けた。

とのこと。

つまり、教授役の人は、目の前で生身の人間が苦しんでいるにも関わらず、研究者に「大丈夫だ」と言われると、「なら大丈夫だ」と考え、生徒役の人を苦しめ続けたわけです。

そして、その後の実験で「指示に従ったのって、研究者の指示だからだよね」ってことを調べるために、生徒役と研究者のポジションを入れ替えてみました。要するに、研究者が電気ショックを受ける側で、生徒役がそれを止める側パターンをやってみたわけです。で、その結果はというと、

・生徒役の人が「まだ続けてください」と言っても、その指示に従った人は”ゼロ”だった。

という感じ。要するに、教師が「続けろ」と言ったらほぼ全員が従ったのに対して、生徒が「続けろ」と言っても従った人は誰もいなかったということなので、「人は、”権威”に対して服従する」ことが分かったわけです。


ということで、これらの実験から言えるのは、「人は、自分の意思や倫理観を無視してでも、偉い人の意見に従おうとする」ということですね。これが、権威の持つ影響力の恐ろしさです。


たとえば、仕事で上司から出された命令が、どう考えても論理的におかしいと分かっていても、それに異を唱えずに「そういうもんなんだ」と受け入れてしまうのも、この権威への服従ですよね。

つまり、自分より偉い人の発言には、例えそれが間違っていると分かっていても目をつぶって従ってしまうわけです。権威って恐ろしいです。



まとめ

というわけで、影響力の武器の5つ目、「権威」についてざっくりと解説しました。カンタンにまとめますと、

・人は、偉い人や専門家の意見ほど信頼する

・特に、権威ある専門家の意見には、倫理観や自分の意見に反してでも従おうとする

という感じでした。とにかく、権威には非常に強いパワーがあります。くれぐれも、見せかけの権威に騙されないようにしましょう。騙されないためには、「その人が本当に専門家なのか?」「今の話題と、その専門性に関係はあるか?」などと考えるクセを付けた方が良さそうですね。

たとえば、なにかの資格を持っている人はその分野に詳しそうな気がしますが、そもそもその資格の取得難易度がめちゃくちゃ簡単、って場合が結構あります。そして、こういった場合に「資格」を持っている意味はないわけですが、「カウンセラーの資格を持ってます」とだけ聞くと、やはり言うことを信じてしまいがちですよね。気を付けねばなりません。


本書ではさらに、「どういう人が権威的に見えるの?」って話や、「見せかけの権威に騙されない方法」などが書かれていますので、ぜひ参考にしてみてください。


というわけで、今回も最後までお読み頂き、ありがとうございました。

次回は、最後の武器、「希少性」についての解説です。

次回も、お楽しみに。

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