人生初。 セイベル100%のワインを呑む。
2019年に山形県上山市に拠点に立ち上げたワインブランド『DROP』のワインを入手。雪国での葡萄産地を継続していくことの難しさは想像を絶するが・・果たしてその味は・・いかに?
『DROP』 / ラベルデザイン
ワインのラベルデザインは、そのワイナリーの作り手の想いやブランディングにも大きく関わってくる。そういう意味では、DROPのラベルはインパクトがりワインの味への想像を掻き立てられる。
そして・・・
このワインの名前は? と思いきや、ラベルの左下隅に控えめに"dormance 休眠"とある。なんとも意味深なネーミング。さらにワインの味への探究心がもちあがる。こういった点にも作り手、出来正光氏の思いがあらわれる。
ワインから想像するいろいろな情報も、味わいに影響するのかもしれない。
初めてのブドウ品種『セイベル』
セイベル100%で作られた白ワインを飲むのは初めて。
近年、日本の生産者の栽培レベルや醸造技術が上がり、ヨーロッパ系ブドウ品種の品質が高まりを見せ、そういったブドウ品種を使う日本ワインの作り手たちが増える中で、シャルドネやメルローよりも前に山形県上山では植樹された品種らしく、温暖化とともに栽培が難しくなり減少傾向にある品種を上山でワインを造る以上、しっかりと向き合っていきたいと語る出来氏。これからも期待をもって飲んでみたいと思いました。
”休眠”を目覚めさせてみる
王冠を開けると・・プシューっと泡音が! 「微発泡」は控えめすぎるっ(笑)感じの勢いの泡が落ち着いたあと、グラスに注いでみる。かなりきめ細かい泡立ちがシュワっと。
グラスから口に含むと、少しトロんとした濃度を感じる、新しい感覚。
日本酒を優しくしたようで、爽やかで上品な青リンゴのような果実味&酸味の中に、極々うっすらと蜂蜜を思われるニュアンスも感じる発泡酒。
これは好みが分かれそうだが、ハマる人には刺さる味わい。
お蕎麦と茄子の煮浸しと・・セイベルと
さっそく蕎麦とかき揚げと茄子の煮浸しに合わせてみた。
ワインの味の輪郭が優しいぶん、やはり和食には合う。特に、お蕎麦との相性はとても良いと感じる。そして、かき揚げの玉ねぎや舞茸、しめじなどとの味わいと歯応えに、優しくトロンと口の中で交わるセイベルの優しい酸味が、いつもの味を上品に変えてくれる。歳はとるもので・・・ナチュラルワインで舌も敏感に育ってきたのか、これはこれで味わい深い。
翌日を、気持ちよく迎えられるワイン
辛口の日本酒とも共通点を感じるDROPの"dormance 休眠"。販売がスタートすると即座に「完売」の理由がわかる、セイベル100%。
驚くほど飲みやすく、サクサクと1人で1本飲めてしまう。そろそろ酒量を抑えていく貴兄には・・ある意味、恐ろしいワインだ。
1つ救い(?)なのは、ほぼ1人で1本飲んでも翌日にまったく残らないことだ。そんなワインはフランスやイタリアものでは、なかなかお目にかかれない。新鮮な驚きだ。・・おもしろい。
ちょっと日本ワインを見直す・・また新しい沼に足を踏み入れた感じだ。
次はDROPの赤を飲んでみたい。
DROP
https://www.instagram.com/drop_yamagata/
文・写真 et conte 村雲 伸二
JASエキスパート・ワインフィッター