米国医師国家試験を勉強しながらの初期研修マッチング体験談〜前半〜
初期研修のマッチングに向けて
3月の受験申し込みが遅れた結果、私は完全にやる気を無くしてしまっていました。
しかし、私が足を止めたとしても医学生を取り囲む環境はどんどんと移り変わっていきます。
特に4月から6月までの間は医師としての基盤を作る初期研修先選びに最も重要な期間です。
周りからすでに遅れをとっている自覚があった私は、仕方なく初期研修のマッチングにエネルギーを注ぐことにしました。
そもそも元はと言えばこの初期研修のマッチングに向けて英語の学習をして来ていたわけですから、本筋に戻ったようなものでした。
実は私の両親も医者でありその両親に常々「最初の2年でとことん働けなければいい医者にはなれない。」ということを吹きこまれていたため焦る気持ちもありました。
その結果その言葉に背中を押され(怯え?)ながら自分の将来について真面目に考え始め、結局初期研修先をいくつかの病院に絞りました。
その際私がピックアップした病院は、以下の点で徐々に絞っていきました。
私の出身地域の圏内にあること
後期研修を見据えて、お世話になるはずの医局人事の派遣先であること
メジャー科・マイナー科問わず複数科を院内に揃えていること
科と科の間での紹介の垣根が低いこと
が最初の条件でした。
そして、マイナビに参加した際にいただいた初期研修先のデータが載ったおっきな青い本に印を付けていき、少しでも当てはまる病院にはマークをつけていきました。
その際は特に、自身が出身地から離れた大学に通っていたことから激戦区である地域では戦えないだろうと踏んで、
いわゆる医療過疎が進み、病院側が「うちのような田舎でもやっていけるか?」と確認するような地域に目星をつけていました。
そして実際にいくつかの病院先に伺ってみると、自分の大学がその地域からずいぶんと離れた場所にあることから
縁もゆかりも無い学生がなぜうちに?という流れで興味を持っていただいたり、訝しんでいただいたりしました。
そのような見学の中で特に感じたことは
田舎でやたらとプライドの高い病院や排他的な病院は、上司の目が怖い上に
常に採点されているような雰囲気があり
自分が実際に働きはじめてからも気が休まることは無いだろうということでした。
当時YouTubeで初期研修先の選び方について検索する中で今は動画を削除されてしまいましたが、「ドクターのすきー」というYouTuberさんが
おっしゃっていたことの中で
一つアクシデント(初期研修医のドロップアウト)があった時、その背景には15以上のインシデント(辞めかけの初期研修医)がいる。
という言葉が刺さり少しでもそのようなリスクを感じた時は惜しみながらもどんどんと切っていきました。
私は本当に豆腐メンタルなので人間関係のプレッシャーは最大のリスクファクターでしたから
そこの要素は外せませんでした。
これらの出来事からの教訓として、
働いている先生方の目が死んでいないこと
初期研修期間の間に消息が途絶えた先生がいないこと
は、職場を選ぶ上で本当に大事なんだと学びました
イケない病院は、初期研修医のドロップアウトについて質問するとその場の雰囲気がキーンと凍りつくのですぐにわかりました。
上記のようなことをしていると、気づくと対象となる病院の頭数はぐんぐんと減っていき
結果残った病院は3つになってしまいました。
さらにそのうちの一つの病院は、最近は待遇の悪さからか目玉となる医師が辞めていきもう下り坂だ。ということをあちこちで聞くような有り様で最終的には履歴書すら出さずに終わってしまいました。
結果的に残った受験先は2つ。
どう見てもアンマッチのリスク群であり
実際にマッチングの際に会話をした他の大学の受験生は自分が2つしか受けないことを知ると
みんな口を揃えて
「結構しっかり絞って、ここ狙ってるんだね😅」
「2つだけなんて、君自信すごいね😅」
と、慰めにも安心にもならないもやもやするコメントをくれました。
しかしそうなってしまったものは仕方ない。
この2つの病院に勝負をかけるしかなかったのでした。
マッチング先での実習
私の大学は心優しいことに、6年生の4〜6月の間に一ヶ月希望する学外の病院に実習に伺えるシステムをもっていました。
ただし、これは全て自分で相手側の病院にアポを取り書類を作成してもらう必要があったため私も漏れなく先方にメールを打ち何週間かをかけて書類を作成していただきました。
最初は自分のような縁もゆかりもない学生を受け入れてもらえるものなのか疑問に思っていましたが、
二つ返事で許可をもらい拍子抜けをしたのを覚えています。
学内の友人たちのほとんどは学外実習などせず、国家試験に向けてという名目で
学内での実習を選択していたため
なんだかみんな勿体無いなぁと思いながら
1人実習に旅立ちました。
一ヶ月間の実習は先方の病院にアピールする場でもありながら、少しでもボロが出れば落とされる可能性を膨らませる可能性のある、
ある意味諸刃の剣でした。
私は出来る限りフレッシュでエネルギーがあってやる気に満ち溢れている学生(足りない頭で理想の学生を妄想した結果辿り着いた結論だった)を演じるべく
遅刻なし・欠勤なしという社会人として当たり前すぎる、最低限すぎる目標を胸に
とにかく先生方の後ろをひよこのように付きまといました。
また、志望先の病院へ実習に行った際に無知なままではいけないと思い
4、5月は学内で志望科の実習をみっちり二ヶ月間行ってから参加することにしました。
結果的にこれは大成功だったと思います。
学生期間の実習ごときで何が出来るようになるわけでも無いですが、この二ヶ月間の実習のおかげで志望先の病院で無駄なことを質問せず
自分の大学で見たものとの違いなどについて質問を出来たことでくだらない質問で先生方の手を煩わせずに済んだと思います。
当時の私にできることはそれぐらいでしたので
なんとか実習生活に喰らい付いていきましたが
なんだか鬱陶しい学生だったかもしれません。
しかし、それで切られたらどうせ働いても上手くいかないだろうと割り切っていた部分もありました。
結局、実習期間に開催された病院説明会含め1ヶ月間の実習を無事終えることができましたが
毎日疲れすぎて帰っては寝るか、友人とZoomで面接の練習をするかどちらかの生活をおくっていました。
(面接の際に使える返答集や私が調べた結果辿り着いた解答についても今後記事にしていきたいと思います。)
唯一この期間のほろ苦い経験としては、
「うちらの病院説明会が今週末にあるから、参加しておきなさい。」
と部長に言われ参加した説明会に
何も考えずに紺のポロシャツとシャカシャカのズボンで行った結果
29人のスーツ姿の学生とシャカシャカのポロシャツ野郎が説明会に参加するというカオスを引き起こしてしまいました。
「みなさん今日は暑いのでネクタイを外していいですよ
あ、1人ネクタイすら無い子もいますね」
と、研修担当の先生に弄られた頃にはもう意識はそこにありませんでした。
私は、周りの評価を気にしないタイプだと
友人からよくからかわれていますが
あの空気感だけはもうこりごりです。
みなさん、スーツがなんでも無難です。
海外での留学実習
私は本当はアメリカに臨床実習に行きたいと学校のプログラムに申し込んでいたのですが、あいにくのコロナウイルスの影響でこれは完全に頓挫してしまいました。
これはかなり食らいましたね。
本当に行きたかったです。
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だらだらと書いていたら長くなり過ぎてしまったので一旦今回はここまでにしたいと思います。
今は卒業旅行中で記事の進みが遅いですが
合間を縫って書き上げるので
みなさま気長にお待ちください。
次回以降の記事
は
初期研修のマッチング結果
USMLEの勉強を半年放置した後の模試
受験直前期の学習
卒業試験と国家試験
受験前日の過ごし方
などについてかいていきたいと思っています。
今後とも何卒宜しくお願い申し上げます。
ではまた!