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IT初心者だったエンジニア採用担当がITを学んだ2step

[なんの記事] IT初心者でありつつもエンジニア採用を担当することになった筆者がしていた勉強法を振り返った記事。

昨今、ちまたに様々な参考書やqiitaなどの情報発信記事、プログラミングアプリがあふれているとはいえ、当時全くの初心者だった私は「何から始めていいかわからない」となることが多く、はじめてITを学ぶことはかなりハードルが高かったことを覚えています。

前提:なぜエンジニア採用は、ITを学ぶのか

▼そもそもエンジニア採用のミッションは何か
これは非常にシンプルで「会社の事業成長に必要なエンジニアを採用すること」です。
そして採用のプロセスを通じて「会社と候補者とを適切につなぎ、マッチングを高め、会社を好きになってもらうこと」が必要となります(これはどの職種の採用にも共通していますね)

候補者と会社が出会う窓口となる採用担当は、相手のエンジニア自身と自社のこととを技術の観点から理解できるよう、ITの知識を身に着けることは不可欠です。

▼ITを理解することで、候補者に安心感を与える

どの候補者も選考を受けるにあたっては「自分はどのように評価されるのか」ということに非常に敏感です。

採用担当者が非エンジニアであれば、技術を評価されたいエンジニアは「この採用担当は自分のスキルを正しく評価できるのか」と当然不安が出るでしょう。
付け焼刃の知識ではもちろん、ITが全く分からないという態度では、不安以前に「技術に会社・人事の人は興味がない=エンジニアが評価されない会社なんだ」と失望され、会社から去ってしまいます。

逆に、候補者および募集しているポストに求められているスキルセットの概要を理解し、的を射たフィードバックをすることができれば、候補者に「自分の実力は適切に評価された」と安心感を与えることができます。

そのため、私の場合、学ぶことのゴールはいったん、「候補者がどの領域に技術的強みを持っているのか」のアタリをつけ、社内のエンジニア/募集中のポストとつなげられるだけの背景知識を身に着ける、と設定していました。

IT初心者だったエンジニア採用担当がITを学んだ2step

ーやったことー
1. ぐぐる。
2. 社内のエンジニアに質問する。

0. 使ったもの

基本的には上記の通り、知らない言葉が出てきたら「調べて質問する」を愚直に繰り返すことにつきます。素材としては以下の4点を中心に使用していました。

■自社の事例/自社エンジニアが作成した勉強会の発表資料
 =普段のエンジニアの「成果物」について理解・説明できるようになる
■募集要綱
 =募集しているポジションをミスマッチなく説明できるようにする
■エンジニアの社内チャットで話題のニュース(なければ、エンジニア界隈のうち誰かのtwitterをフォローするのがよいかなと思います)
 =エンジニア界隈での「現在の」興味関心にアンテナを立てる
■TechCrunch / CoralCapital (twitterフォロー)
 =世の中的な技術への期待感にアンテナを立てる

 1. ぐぐる。

上記資料を読む、候補者から話を聞く中でわからない単語がでてきたら息を吸うようにぐぐりましょう。とりあえずぐぐる。何度でもぐぐる。

ただし、ここで大事なのは「ぐぐっただけで理解したつもりにならない」ことだと思います。私自身も何度か痛い目にあった結果、当たり前のことではありますが、以下2点を肝に銘じるようにになりました。

 ・名前は知っていると説明ができるは違う。
 ・言葉上での理解と、実際に使うものとしての理解は違う。

エンジニア用語は日本語ですが、専門用語も多く、わかったつもりになりやすいので、きちんと概念を理解していく必要があります。

 2. 社内のエンジニアに質問する。

学びの中でわからない言葉が出てきたときは、社内のエンジニアを頼り、素直に「わからないので教えてください」と質問することがすごく効果的だったと感じています。

エンジニアに質問をすると、いわゆる用語的な説明だけではなく、そのエンジニアなりの解説・批評・想いを聞くことができます。

この技術はなにか。どのポイントが優れており、技術的課題はどこにあるのか。発展した先にどんな可能性を持っているのか。似ている技術は何で、差別性はどこにあるのか。
加えて、質問をするときは知識面だけでなく、その技術に関心を持ったきっかけは何か、その技術のどこに魅力があるかといったエンジニア自身のストーリーもあわせて質問することを心がけていました。

人の想いがのせられた言葉で技術を理解することを心掛けると、表面的な理解にとどまらず、エンジニアの「感覚」を理解することにつながります。
そうすると、自分はそれらの技術についてどこまでの説明はできて、ここより深い話はエンジニアに託そう、という境界線を自分で引けるようになります。

▼エンジニアに質問して仲良くなろう。

社内のエンジニアとつながる手段としても、勉強会に出させてもらう、質問して勉強させてもらうといったことは意味があります。社内エンジニアと技術の話題を通じてコミュニケーションをとることで、結果的に顔を売ることもできました。

学びのプロセスは自己完結だと表面的な知識の習得にとどまってしまいますが、実際に技術を扱う当事者である彼らから。以下のような話も合わせて聞くことができると、候補者・協力者との距離感が少し縮まります。

①それぞれの研究にあたっての「よくある苦労」
 ・データ分析って、そのものの前のデータ収集・成形のところも大変だよねみたいな実際にさわるとわかる大変さ
②プロダクト・ソリューションに対するエンジニアの意図。
 ・「こういうことができるもの」という結果論にとどまらない、「こんな風に生みだし、こういう使われ方を想定している」といった出来上がるまでの過程、作り手としての想い。

(ちなみにやった? 基本/応用情報技術者 & プログラミング)

▼基本/応用情報技術者試験
資格としては応用情報技術者まで取得しました。幸運にも基本情報は会社の方針で取得必須だったので、その勉強を継続することで応用まで取得しました。IT知識の全体感が理解できること、また初心者向けのテキストがたくさんあることから、学び始めるきっかけに適したものだと考えます。と

資格は「スキルの明示化」であるため、取得すると自らの自信につながります。また、非エンジニアでもエンジニアに対して「ITを学ぶ姿勢がある」ことを事実として示せるため、信頼関係の構築にも役立ったかなと思っています。

▼実際に自分でプログラミング
基本/応用技術者の午後試験対策で少しやっていました。一番長く書いたのが参考書を見ながらjavaを100行くらいだったかと思います。なお、候補者との対話の中で出てくることはほとんどありませんでした

しかし、「対話で使わない=やらなくてもよい」ということではありません。プログラミングは百聞は一見にしかずの側面もあり、「難しそうなのでやりませんでした」と「やってみたら難しかったです」とでは、経験値としては大きく差が出ます。最終的に動くものを作り上げるレベルまでは不要ですが、試行錯誤した経験があるとないとでは、エンジニアからの信頼感は変わるのではないかなと思います。

さいごに

ただ、私はエンジニア採用がITを学ぶ意味は、募集要項で書かれた要件と候補者のスキルセットの理解をするためだけのものではないと考えています。

エンジニア採用担当者は「なぜ」技術を学ぶ必要があるのか。
私は、候補者および社内のエンジニアと信頼関係を結ぶために必要な過程だから、だと考えています。

エンジニアにとって技術の知識は自らが成果を出すための武器ですが、
私たちにとっての技術の知識は、目の前の候補者と協力者への理解を助ける背景知識・文脈となるものです。

出すべき成果が異なるので、エンジニアと同じ知識は不要です。ですが、彼らが技術に対して持っている真摯さは同じだけ持っている必要があります。
人は、自分が大切にしているものを軽んじる人とは信頼関係を築けません。

相手自身を理解したいという想い、相手へのリスペクトが表出した行為が「学び」であると思っています。

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