見出し画像

【微笑みエッセイ】花火大会なんてなくなればいいのにと怨嗟の言葉を吐いた結果、こうなった。

今年はあの渋滞を回避した!よくやった自分。悦に入って天を仰ぐ。果たしてそこに見えたものは…


夏の暑さはまだまだ衰えることを知らないものの、朝晩はそこはかとなく涼しくなってきた8月の終わり。そう、ここ高崎では毎年恒例の花火大会が行われるのだ。

そんなことなど全く知らなかったワタクシ、高崎駅近くに車を置いて、東京にまなたびに出かける。

あ、「まなたび」というのは「学び」と「旅」を勝手に合わせて作った造語であります。

街の喧騒も和らぐ21時頃。今日も良き学びがあったな、とホクホク顔で高崎駅に着く。駅舎内はいつも通り人もまばらで…まばら…え?ナニコノヒトノオオサ。ナニガアッタノ?

エ、ハナビタイカイ。キイテナインデスケド。

ま、いいや、僕には関係ない。

喧騒から逃れるかのように駐車場まで辿り着き、お金を払って出たところで、文字通り固まる。

大渋滞。見たこともない大渋滞。え、群馬県にこんなに人がいたの?というくらい。車がびくとも動かない。

少しでも車の少ない方に行こうとするも、みな考えることは一緒。

いつぞやの政治家の牛歩戦術もかくやという程ののろのろっぷり。そこゆくウサギさん。どれだけ寝てても亀の如くゆっくり動く車には勝てますよ。

いつもなら15分で帰れる道のり。この日に家に着いたのは23時。

もう絶対に、花火大会の日に高崎駅に車停めない。


と、誓ってからはや一年。今年も運命のその日がやってきた。

もう花火大会なんてなくなればいいのに、と怨嗟の言葉を吐くワタクシ。花火大会に唾吐くとか、きっと僕と花火大会で告白して振られた少年たちだけであろう。

どれだけ恨んだところで花火大会はなくならない。諦めろ、少年たちよ。おっさんは諦めた。

さすれば昨年と同じ轍を踏まないように工夫するのがヒトというもの。

そうか、高崎駅に停めなければいいんだ。なんだ簡単なことじゃん。

さも良きアイデアを思い浮かべたかのように悦に入るワタクシ。高崎駅手前の駅に車を停め、まなたびに出かける。まなたび最高。

街の喧騒も和らぐ21時頃。今日も良き学びがあったな、とホクホク顔で帰路に着く。それにしても我ながらナイスアイデア。今年はあの悪夢を繰り返すこともなく快適に自宅に帰れる。そんな自分にご褒美をあげたい。プリンがいいかな、みかんゼリーがいいかな。

高崎駅で降り、花火大会に来たであろう人たちの波を掻き分け掻き分け、電車を乗り換える。車内スカスカ。

無事、駐車した駅に到着。よし、今年はあの渋滞を回避した!よくやった自分。プリン買って帰ろう。悦に入って天を仰ぐ。

…土砂降りの雨…

ワタクシについて

ワタクシのnote

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?