大学(大學)

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                               題字:暁美

映画、小説、アニメやゲームなどの題材によく使用され、日本の歴史で最も人気があるのは江戸時代の幕末・明治維新の時代です。そして尊敬する歴史上の人物などの企画があると必ず名前が上がるのが、吉田松陰、高杉晋作、西郷隆盛、坂本竜馬、土方歳三など、歴史に興味がなくとも聞いた事がある人物ばかりではないでしょうか。

 そして隣国である中国の歴史において人気が高いのが三国志の時代です。曹操孟徳、劉備玄徳、孫権仲謀、諸葛孔明など数多くの英雄達が登場します。日本人にとってもこの三国志の英雄達の魅力は人々を惹きつけてやみません。この異なる2つの東洋の国における百花繚乱ともいえる英雄の時代にはある文化の影響がありあます。
 
 それは儒教です

 儒教というと今では男尊女卑や封建時代のような序列を絶対とする悪しき風習のイメージが強いですが、元来そういったものは儒教のもつ徳性とは程遠いものです。
 儒教の本質は、修己治人の教えであり修養の学問です。修己治人とは、上に立つ人間は人を治める(指導する)前に自分自身を修めなければならない、という教えであり。その教えは政治家だけのもではでなく、どんな立場であろうとも誰しもが活かすことの出来る学問なのです。自身の習慣を改め、人格を磨き続け、家庭や職場に良い影響を与え社会に貢献していく修養の教えであり、儒教の祖・孔子の理想とする教えを体現する事ができる人物、”君子”に近づく事を目的とした学問であります。
 この儒教の教えが、先にあげた2つの時代に大きな影響を与えています。三国志の時代においては後漢の光武帝の時代、明治維新においては徳川幕府(特に松平定信の寛政の改革)の文教政策によって、儒の教えは多くの若者の心を陶冶していくことになりました。
 この東洋で生まれた儒教は数多くの英雄達を生み出し、後世の歴史に絶大な影響力を与えるものとなったのです。

 その儒教を学ぶ上で必読とされるのが四書五経と呼ばれるのが、4冊の書(『論語』『孟子』『大學』『中庸』)と、5つの経典(『書経』『詩経』『礼記』『易経』『春秋』)です。
この中で最も人気があるのが儒教の祖である孔子とその弟子達の言行録『論語』、日本でも次の1万円札の肖像画となる渋沢栄一の『論語と算盤』も昨今話題となっています。特に聖書やコーランに次ぐ発行部数をほこる『論語』は間違いなく世界的な古典の名著であることは疑うべきもありませんが、儒教を学ぶ上で最も重要な書は『大學』にあると私は考えます。『論語』に比べると内容も薄く、元々は経典である『礼記』の一篇に過ぎません。
 
 しかしこの『大學』は四書の一つとして『論語』と並んで加えられただけあって、儒教のエッセンスがシンプルな形で凝縮されています。日本の聖人・中江藤樹や二宮尊徳、上杉鷹山、『武士道』の新渡戸稲造など数多くの偉人が影響を受け、その遺産は現在の私たちの文化や日常生活にも大きな影響を与えてきました。
 そんな古典の『大學』を原文と意訳、それをテーマにしたエッセイをこのnoteに随時投稿していきたいと考えています。


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