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【連載】ずうずうしい日記 vol.8愛と恋と蚤の市

《前回までのあらすじ》
オンラインWSにかこつけて、おいしいカツサンドをご馳走になった新人プロマネ津田。お次は明太子パスタを売りまくる…⁉

《前回記事はこちら》

ミッション:明太子パスタを売りまくれ!

こんにちは、津田ひかるです。
最近は飲食店が早く閉まってしまうので、晩御飯を食べ損ねないことをがんばっています。

ある日たまたま弊社オフィスのテストキッチンを通りかかったとき、おいしそうな香りにつられ、中に入るとそこにはクリームベースの濃厚な明太子パスタが…!
「ツダちゃんも食べる?」という先輩の優しいお誘いに白々しく「いいんですか~?」なんて答えて、ずうずうしく、そしておいしくいただいたのが始まりでした。

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「よし、ツダちゃん明太子パスタ屋さんやるよね?」

食べ終わったころ唐突に言われたひとことに二つ返事で「よくわからないけどやります!」。こうしてわたしは明太子パスタのキッチンカー「きみとめんたいこ」の自称看板娘を引き受けることになりました。

裏ミッション:PTBMを成功させよ!

キッチンカーを出すのは、弊社のセレクトリサイクルショップブランドPASS THE BATON主催のイベント、PASS THE BATON MARKET vol.4(以下PTBM)。「日本の倉庫を空っぽに」をコンセプトに、企業のB品やデッドストックを販売する、これまでにない蚤の市です。今回はKOKUYOさんとの共催で、品川駅港南口にあるKOKUYOさんのオフィス「THE CAMPUS」にて、感染症対策を念入りに行ったうえ4月23日、24日に開催いたしました。(25日は緊急事態宣言の発令により中止)

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わたしが自称看板娘を務める「きみとめんたいこ」は、昭和23年創業・博多から全国に明太子のおいしさを発信するふくやさんの商品を使用した明太子パスタのキッチンカー販売。”明太子パスタを食べた時の「あ、明太子好きだ」と改めて思ってしまうときめき"をテーマに、濃厚なクリームベースの「愛」と、パンチの効いたオイルベースの「恋」(各税込み1000円)という、二種類のメニューを販売しました。

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「きみとめんたいこ」チームを率いるのは、2月に中途入社したCDササキさん、3月に海苔弁専門ブランドより異動となったPMオオクボさん、そして4月に新卒入社したコイケちゃん、というチーム・ニューフェイス。商品開発には(YOKANKAでお馴染みの)クズカワさん、当日オペレーションにはわたし含むスープストックトーキョー出身者。「スープストックの現場で働いていた経験は、必ず生きてくるから」と何度も言われましたが、飲食経験としてこうも直接的に役立つとは思っていませんでした(笑)。 久々の接客に、テンションが明らかに上がってしまう。

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PTBM当日は、もうただただ楽しくて。
「濃厚な愛か、刺激的な恋、あなたはどっち⁉」「(整理券番号)100番目の恋でお待ちの、ロマンティックなお客様~」と大真面目にお声がけ。チーム全員、ふくやさんブースで販売をしていたふくや社員のマツオさん、そしてお客さんも一緒に、お祭り状態のその状況を楽しんでいました。

PTBM、無事終了!

めんたいパスタも、PTBMも、2日とも大盛況の大成功。きみとめんたいこでは、ディスタンスも相まって長蛇の列となっても慌てず騒がず営業し、結果一件もお客様からのご意見なく無事に終了。たくさんのお客様から「おいしかった」のお声もいただき、嬉しい限り。最高の2日間でした。よく眠れた~

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PTBM全体に関しては土曜日はオープンから夕方まで、入場に1時間半待ち
建物全体をぐるっと囲って、日差しの中並んでくださるお客様。この2日間で3,588名の方々にご来場いただき、14,897点もの商品を生活者の方々に届けることができました。PTBMが反響をいただけたのは、いくつか仕掛けとポイントがありました。

①特別でカジュアルな、唯一無二の買い物体験

今回のPTBM全体に満ちていたわくわくする空気の正体のヒミツ。それはイベントとしての特別感と、ラフでフラットな雰囲気のバランスにあります。良品計画さん、ベイクルーズさん、BEAMSさん、BIRDS' WORDSさん、ALL YOURSさん、COOHEMさん、などなど全54の出展ブランドさんは、心ときめく素敵なブランドさんばかり。このメンバーが一堂に会するイベントはそうない、だからこその特別感や高揚感があります。

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一方で、会場の雰囲気は至ってカジュアル。開放的な空間に、あえてラフにつくられた店舗スペースと、隣に並んで会話をするようなフラットな接客。かしこまった印象というより、まさに蚤の市的なワイガヤを感じる雰囲気があります。特別感とカジュアルの共存こそ、他にはない、PTBM唯一無二の買い物体験を生み出します

②入場料が"感度のスイッチ"

イベント終わりに出展ブランドさんを回っていた時、出展者のかたからこんなお声をいただきました。

「蚤の市、というと価格の安さだけを求めてくるかたも中にはいらっしゃるかも、と正直少し思っていたんですが、そんなことは一切なく。みなさんここに並んだ背景まで含めて、私たちの商品を大切に扱ってくれるのが伝わってきて、感動しました。」

PTBMにいらっしゃるお客様は、本当に良いかたばかり。だからこそ、「きみとめんたいこ」チームの接客も受け入れられたのだと感じています。(みなさん一緒にたのしんでくれて、ありがとうございます!)

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今回のPTBMは入場料制。この入場料が、PTBMのもうひとつのポイントです。

入場料は、お客様にとってはひとつのハードルになります。ハードルは、時にある種の儀式のように受け手の気持ちやモチベーションを変えてしまう。今回の場合は"入場料を支払う"という行為によって、ただの買い物客、からPASS THE BATONの活動を一緒に行う同志、という関係性に変わったんだと思います。入場料が"感度のスイッチ"になった結果、経済的合理性(=安さ)だけではなく、商品自体の価値やストーリーへの共感性が高くなり、PTBM自体のクオリティが担保されたのです。

③KPIは熱量、のみ

先ほど、さらっと"心ときめく素敵なブランドさんばかり""フラットな接客"と書きましたが、これはもちろん、出展ブランドさんの協力なくしては実現できません。この運営と出展者の一体感こそ、PTBM最大の魅力なのだと思います。

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たとえば、今回の「きみとめんたいこ」のお話をすると。
元々ふくやさんとは以前、弊社のネクタイブランドgiraffeでふくやさんの会社ネクタイを制作したきっかけでご面識はありましたが、実はPASS THE BATONやクリエイティブチームとお仕事をご一緒したことはありませんでした。

しかしgiraffe出身のクリエイティブチームスタッフがきっかけでコンタクトをとり、「なんか面白いことができそう!」といわば社内で勝手に盛り上がり、商品開発をし、企画を立て、頼まれてもいないのに提案したことから始まっています。勝手な企てと言えど、こちらは超本気。ササキさんは何度も企画を練りに練り、コイケちゃんは入社1か月にしてがっつりデザイン制作。オリジナルステッカーやTシャツまで作っちゃう。(そして完売しちゃう。)これらは全部、余計なお世話にすぎないかもしれませんが、結果ふくやさんからの賛成をいただき、「きみとめんたいこ」を出展するに至りました。

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もうこの時点でわたしたちの関係性は、クライアントではなく一緒にPTBMをつくるチームメイト。当日もふくやさんの社員、マツオさんは真っ赤な法被を着て、わたしたちと同じテンションで接客してくださっていた、と思いきや、法被を脱ぐと「きみとめんたいこ」オリジナルTシャツ。マスクにステッカーまで貼って、完璧なフル装備で臨んでくださいました。(たのしかったですね!)

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そしてこれはほんの一例。
50を超える出展企業さんを、圧倒的な熱量で口説き、準備期間も伴走し、当日は一体となってイベントを作り上げる。これこそが、PTBMの源泉です。

そもそもPTBM最大の価値とは、"みんなで一丸となって取り組むこと"。
参加する全員が、立場に関わらず楽しみながらイベントをつくる一体感こそ、これからのものとの付き合い方を生活者レベルで再考するきっかけを生む。だからPTBMでのKPIは売り上げでも客数でもなく、熱量に設定しています。

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PASS THE BATONの事業部長のミノウラさん(タイトル画像中央)はこれを達成するため、準備期間からとにかく出展者のみなさんとのコミュニケーションを密にとっていました。例えば出展企業向けの決起会をオンラインで数回開催し、そこでPTBMにかける思いを、とにかくアツく、アツく、語る。

モノづくり企業に対して変革を求められている今だから、ということではなく、これまでも各企業それぞれが取り組んできたこともあるとは思うんです。でも改めて今思うことは、そうした取り組みを生活者に見える形でやるということが大事だということ。企業も生活者も、みんなで当たり前化していくために、まずは企業が一丸となり、大手を振って、「これは売れ残りだけど(訳があるけど)いい品です。」と包み隠さずに言っていく。
B品になった理由や、倉庫に眠らさざるを得なくなった背景までお客様に伝えたいので、当日はぜひブランドの担当者さんが現場に立って、お客さまとのコミュニケーションをとってほしいです。そこにこのマーケットの価値があると思っています。そしてこれからの当たり前のために、企業同士、横の繋がりが生まれることにも意味があると思っているので、この機会にとにかく出展者同士も仲良くなってくださいね。

そして会期中は会場を常に巡回し、出展企業の担当者さん全員と毎日必ず話す。些細なことでも、依頼や相談があれば快く、かつ丁寧に対応。わたしが質問をしたときも、小走りで解決してくれました。本当にかっこいい。

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一見地道に見えますが、こういう積み重ねは信頼へと変わっていきます。
PTMBを終えた今、出展企業さんからは口をそろえて
「スマイルズさんのチームワークや熱量に感化されました。」
と言っていただいているようで、
「スマイルズのみんなが率先してたのしむことで、その雰囲気が確実に周りに伝播しているのを感じられて、本当に感謝しかない。」と言うミノウラさん。いえいえ、どういたしまして♡(笑)

次回予告⁉

ここまで読んでくださったからには、次回の開催が気になるところですよね…?
そんな皆さまに朗報。実は、すでに次回開催を秋ごろに目論んでおりますー!出展/協賛企業のかたはもちろん、ボランティアスタッフさんも募集しています。詳しくは下記のリンクよりご覧ください。
スクラムの輪をどんどん広げ、みんなでアツくなれる日を、心待ちにしております。さて、次はわたし、なにを仕掛けてやろうかしら~~~~!

今日の学び

テストキッチンをのぞくと、ときどきおいしい晩御飯が食べられる


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▼クリエイティブチームのお仕事について

▼この記事を書いた人

横

津田ひかる(つだ・ひかる)|プロジェクトマネージャー
1996年、兵庫県生まれ、パキスタン・ベトナム育ちの一人っ子。慶應義塾大学環境情報学部で社会学・コミュニケーションデザインを学び、卒業。2019年株式会社スープストックトーキョーに新卒入社し、アトレ恵比寿店での経験を経て2020年クリエイティブ本部へ異動。現在はプロジェクトマネージャーとして、主に外部案件のプロデュースやコンサル、企画を担当。

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