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【連載】ずうずうしい日記 vol.4羊羹と綱渡り

《前回までのあらすじ》
女神のような先輩、キモトさんの背中を見ながら、初めての外部案件 &WOLF を無事ローンチさせた新人津田。お次の課題は内部事業の新商品づくり。またもや試練の予感…!

《前回記事はこちら》

YO KAN KA??

こんにちは、津田ひかるです。
先日、スマイルズの運営する 「お茶と酒 たすき」 から、新たな羊羹ブランド 「YO KAN KA(ようかんか)」が発売されました。

わたしもこのプロジェクトのメンバーとしてこのなんとも不思議なスイーツづくりに参加しておりました。
前回の&WOLFをはじめ、ほとんどの仕事が外部のクライアントさんとの案件であるのに対し、こちらは内部事業のブランド。今回はクライアントワークとはまたちょっと違う楽しみと試練を、徒然していきますね。


裏ミッション:PMとはなにかを解明せよ!

YO KAN KAチームのメンバーは、クリエイティブディレクターであり、当時PASS THE BATONの事業部長であったノザキさんとパティシエでプロジェクトマネージャーのクズカワさん(今回は商品開発を担当。写真右)、そしてキモトさん(※詳しくはvol.3 女神の背中にて)が独立したことによりジョインしたデザイナーのウダさん(写真左)と、プロジェクトマネージャー(以下PM)のわたし。

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ここまで&WOLFを含め、先輩についていき、その場その場でボールを打ち返すことに精一杯だったわたし。PMとして参加してはいるものの、実をいうとPMの仕事がなんなのか、正直よくわかっていませんでした。先輩に聞いてみても、みんなそれぞれの解釈をしている感じ。なんとなくはわかるけど、でもやっぱりわからない。スケジュール調整と、クライアントの窓口、あとは予算管理が仕事かな?みたいな。

YO KAN KAプロジェクトは途中参加の内部案件とはいえ、PMとしてひとりで初めて参加する案件。わからないなりにも進めていくことで、PMとはなにかを、自分なりに解像度を上げて語れるようになることを今回の裏ミッションに掲げました。


まるで石鹸のような

実は2年ほど前から、ノザキさんの目論見のひとつであった新しい羊羹づくり。インスパイア元は出張先の沖縄で見た石鹸だったらしく、いろんな素材が混ざり合ったような、そんなテラゾーのようなヴィジュアルがひとつのテーマとなっていました。(あんまりおいしそうではないので、ここだけの話にさせてください。)

YO KAN KAは手土産を想定した食物販としての販売。わたしはキービジュアルとしても使われる、VMDを進めていくことになりました。

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ツダの推し石

ひとまず試しにテラゾーを発注。
してみたはいいものの、石材屋さんのカタログをいただいたときにサンプルで見せていただいた大理石がほんとうに美しくって…!奥行のあるキラキラが、小さい宇宙のようで引き込まれてしまい、VMDにはすべて違う種類の大理石を使用することになりました。

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たくさん石材サンプルをいただいて、クズカワさんの作った試作を置いてみて。繰り返すうち少しずつ大理石に詳しくなっていって(そして好きになって)、見ただけでだいたいのお値段がわかるようになりました。笑
こうやって思いがけず今まで知らなかった世界を知れるのも、お仕事の楽しみのひとつです。

出来上がりは、組み合わせも含め大満足。キラキラの宇宙にYO KAN KAがたたずんでいて素敵すぎる~!ちなみにわたしの推し石は、ラム酒と70%チョコレートのヨウカンカ×ノルウェイジャンローズ。アースカラーの多い天然石で、こんなにかわいいピンクは珍しくてただでさえ愛おしいのに、こっくりしたチョコレートと相まってかわいさが爆発していますね、恐ろしい。目に入れても痛くないレベルです。ちなみに、ほとんどがYO KAN KAが映えるように組み合わせているのに対し、チーズとパンのヨウカンカだけ同系色にしています。これに使われているイエローオニックスも希少な石種で、ほとんどがクリスタルであるため透明感が抜群です。チーズとパンのヨウカンカを載せてみた時、あまりの溶け込み方に、あらま~このテーブルの上で運命の出会いが起きてしまったのね~、とため息が出ました。ちょっとしゃべりすぎですね。

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プロであるということ

「YO KAN KAのメインの購買層は、20代女性。つまりツダちゃん。だからツダちゃんが欲しい!と思えるものでなきゃいけないってことだかね。」
そうノザキさんから言われてから、わたしの重要任務は自分のN=1を素直に表明することだと解釈していました。

ただ、それって案外難しい。
プロの作るお菓子やデザインに対して自分の率直な意見を言うのは、とても勇気がいることです。しかも(わたしに限らずですが)世の中にないヨウカンカという食べ物をつくる中での意見は、正解がなく、さらに難しい…。

でも「いい」「おいしい」「かわいい」と当たり障りのないことをいうだけでは、わたしの存在価値はなくなってしまう、とも思いました。言いづらいと感じることを言うことにこそ、価値がある。ここで”ずうずうしい”を発揮できなくていつするんだ!!!

というわけで生意気であることは100も承知のうえで、甘くて飽きるだの、人に贈りたいと思えるデザインじゃないだの、好き放題でした。

でも、先輩たちはそれを蔑ろにせずしっかり聞き入れ、修正をかける。
実際にお客さんとなるひとの意見だからと当たり前のように一意見として受け入れる謙虚な姿勢に、プロだと感じました。めっちゃかっこいいな。
だからこそわたしも「ずうずうしいのプロ」として、全力で率直な意見をぶつけなければいけないと背筋が伸びました。

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ドキドキの綱渡り

デザインを担当するウダさんが、YO KAN KAのパッケージに少し悩んでいる様子を見せたときがありました。それをなんとなく察して、納期が迫っている状況にドキドキしながらも、わたし自身どうすればよいのかもよくわからない

YO KAN KAはそんなこんなで綱渡り状態になりつつも無事、なんとかローンチ・リリースを迎えることができました。その後の反応も上々で、滑り出しは好調です。が、わたしにとってはめでたしめでたしではありません。もっとできることがあったのではないか、とひとり反省会です。

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PMはスケジュールの進行管理が仕事だと思っていました。でも、全然違った。
スケジュール通りに進めるために、プロジェクトメンバーと足並みをそろえることこそPMの仕事だと思いました。ドキドキ、ヤキモキしてるだけじゃだめで、なんで行き詰っているのか、その状況から脱却するにはなにが必要なのか、絵は描けなくても自分ができることはないか、仕事中にチョコレートを差し入れするほかに、どうするべきなのか。プロジェクトメンバーのひとりひとりを丁寧に観察し、把握し、察して動かなければならなかったと、いまは猛烈に反省しています。じゃなきゃ、チームで動いている意味ないじゃない!甘えていて、ごめんなさい!!

ツダ・2021

別件ですが、ウダさんとはその後もいくつかのプロジェクトでご一緒しています。初めてひとりでPMを担当している外部案件では、クライアントさんの声に圧倒されてしょんぼりしているツダに手を差し伸べてくれて
集中して作業しているところを何度「ウダさーん!」とジャマしても、イヤな顔ひとつせず、そして体の向きを変えて相談に乗ってくれて
デザイナーの仕事も、(少なくともスマイルズでは)全然デザインだけじゃないなと思いました。いつもありがとうございます。

2020年はこんな風に、助けられフォローされるばかりのツダでしたが、2021年は!!「ずうずうしいのプロ」として、生意気に先輩方と並走しちゃうPMに!!なってやるぜ~!!という意気込みを、このnoteに宣言いたします。これは壮大な抱負です。


それではみなさん、ここまでわたしの日記にお付き合いくださりありがとうございました。並走PMツダに成長するまで、どうぞ来年も見守っていただけると嬉しいです。それではみなさま、よいお年をお迎えくださいねっ。


今日の学び

キラキラしている大理石とカラフルな大理石は、基本的にお高い。


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▼クリエイティブチームのお仕事について


▼PASS THE BATTONについて


▼この記事を書いた人

横

津田ひかる(つだ・ひかる)|プロジェクトマネージャー
1996年、兵庫県生まれ、パキスタン・ベトナム育ちの一人っ子。慶應義塾大学環境情報学部で社会学・コミュニケーションデザインを学び、卒業。2019年株式会社スープストックトーキョーに新卒入社し、アトレ恵比寿店での経験を経て2020年クリエイティブ本部へ異動。現在はプロジェクトマネージャーとして、主に外部案件のプロデュースやコンサル、企画を担当。



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