見出し画像

つながって生きる。

こんにちは😃北海道十勝で、児童養護施設出身、少年院出身の青年達の自立をサポートするNPO法人スマイルリングの青年達との日常をnoteしています。

『お母さん、何してるのかなあと思って』

俯きながら電話をしている
彼の姿が目に浮かぶ。

“うんうん、分かったよ!
後で行くからね…。”

もうすぐ関東へ出稼ぎに行く、
スマイルリングホームに住むあの子達に
晩御飯を作りに行く。

今日はその前に
刑務所への面会と

最近なかなかゆっくりと
話が聴けて居なくて、
気になっている青年に会いに行く。

私達が会う子、話を聴く子達は、
どの子も悩み事や、
頑張らなければならない事などで
心がいっぱいだ。

ただ、いろんな事を
一生懸命考えても

悩みや現実を乗り越えるのは
中々上手くいかないものだし、

私自身がそうなのだが、
『やらなければ』と思っても、

それがたとえ、
人から見れば凄く簡単な事でも、
動けなくなってしまう。

そんな時は誰だって
誰かがそっとそばにいて、
話を聴いて欲しいのだ。

この世の中にたった一人でもいい。
自分のこの気持ちを、
ただただ受け止めてくれる人に
出会いたい。

“それは甘えだ”とか、
“こうするべきだ”とか、
そんな事を言わないで欲しい。

『本当に自分の話を聴いてくれているのか、
 本当にこの気持ちを、この人は分かってくれて
 いるのか』

気になるのはただそれだけなのだ。

ブンブン車を走らせて
顔を見に行く。

面会室の申し訳無さそうな顔。
もう2度と、こんな所に来なくても良い
人生を歩んで欲しい。

“何かあった時に相談してこない”

それは普段の関わりに
まだまだ信頼関係が足りていないせいだと
私は感じている。

沢山問題を起こすにしても、
普段から些細な事でもよく話せている子は、
黙って居なくなったりはしない。

むしろ、
『どうしてもお金が欲しくて、
これから犯罪をしに行きます』
と言ってくれたお陰で、
すんでのところで思い留まる事が出来た事もある。

人の支援をしているからといって、
いつも感謝される訳では無いし、
何かしてあげるから
絆や繋がりが出来るのでは無い。

普段から、
『何があっても、
自分の良いところも悪いところも、
この人はありのままの自分を
人として認めてくれるんだ』

そう感じられる
人間関係を作る以外に無い。



次は、バイトの面接に落ち続け、
自信を無くしている顔に会いに行く。

車の中でおにぎりを食べさせながら、
どうして面接に落ちてしまったのか
話し合った。

静かに話していた彼が突然、
大きな声で、
そして思い切った表情でこう言った。

『そりゃあもう、
 めっちゃ落ち込みましたよ!』

履歴書には本当の事を書いたし、
面接でも、聞かれた事を正直に話した。

高等養護学校とはどんな人が通う所なのか。
どんな高校生活だったのか。
そんな質問をされたのだと言う。

彼なりに
知的、発達障害などがある事なども
説明したようなのだが、
『ここは貴方には難しいと思う』
そう言われ、

彼の住むグループホームの職員にも、
『貴方には難しい障害があるのだから
働くのは無理だよ』
と言われたのだそうだ。

『結局、こんな障害持ってる自分には、
夢なんか叶わないのかって思ったら、
泣いちゃいました…。』

彼を3年間見てきた。
『本当にそうなのかなぁ?』と私は思う。

確かに障害はあるかもしれないけれど、
一日2〜3時間のアルバイトなら
彼には出来るのではないかと私は思うのだ。

あがり症で口下手な彼の事、
上手く面接が出来なかったんじゃ無いのかなぁ。

働いてみて本当にダメなら仕方ないけど、
面接で落ちて諦めるのは悲しいよね。

“よ〜し!!
一緒に履歴書を書いて、
面接の練習しよう!”

そう約束し、
ホッとした顔になった彼は
いつものように、ニコニコと手を振りながら
見送ってくれた。

発達障害や精神障害の子は多い。

そんな彼等にも得意な事や
優れたところは必ずあり、
そこがピタリとマッチすれば、
思わぬ力を発揮するものだ。

スマイルリングでも、
そんな彼等が心から楽しいと思えて、
『自分に合ってるな!!』と感じられる
“職場”を作れないものかと
真剣に考えているところだ。


小走りで買い物を済ませ、
急いでホームに車を走らせた。

支援者さんから送って頂いたじゃが芋で
肉じゃが、豚汁、
土鍋で炊いた“鶏の炊き込みご飯”を作る。

嬉しそうな顔で
無意味に冷蔵庫を開けたり閉めたり、
台所を行ったり来たりする彼等と、

台所仕事に立ちながら、
この一年間にあった出来事を
振り返ってお喋りする。

“去年の今頃、
お正月から喧嘩して、
顔の骨、折ってたもんねぇ”

“こっちに来てからの仕事は
本当に頑張ったねぇ。
夏は暑かったねぇ……”

『はい〜。
 ホントに、ヤバかったですよね、自分』

一時はどうなる事かと思った彼は、
いつも一人であっちにこっちに行っては、
酒を飲んで暴れていたのだが、
今では会社で、立派な戦力となっている。

『いい匂い!お腹空きました〜!』

10月に九州から来たこの子も、
来た時よりはずっと良い表情になった。
この子なりに頑張った数ヶ月。

ニコニコ笑いながら
ご飯を食べているこの子達が
本当に可愛いのだ。

春になったら、
また逞しくなって帰って来るんだね。
楽しい事が沢山ありますように。

私達はなるべくゆっくり、
君達の成長する姿を見守っていくよ。

NPO法人スマイルリング
理事 ののむら ちあき💫

NPO法人スマイルリング
#社会的養護 #児童養護施設  #少年院
#青年自立支援 #アフターケア事業
#伴走型支援 #エッセイ #日記 #物語
#怒り #過去を価値に変える
#つながる





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?