見出し画像

ウチの子 発達障害!?vol.76~80

vol.76「まずは気づく、そしてできることから」

 早いもので息子は中3になった。「発達障害」はこの10年でかなり知られるようになったが、ネガティブなイメージが先行するためか、乳幼児を抱えている人たちの中には「うちの子は大丈夫かな?」と不安を感じている人も多いようだ。
 先日、息子の通級指導教室で一緒だった人と話をした。今はお互いに発達障害のことで相談を受ける機会が多いのだが、「たぶん赤ちゃんの頃に他の子とちょっと違うな…と気づいていたはずなのに、どうして小学校高学年や中学生になるまで放置したのかなぁと思うことが多い」と、私と同じことを感じているようだった。
 発達障害かもしれないと思った時、すぐに精神科医の元へ行かなくても、先にできることがあると思う。環境を整えても周囲に適応できていないなぁと本人もしくは親が思った時に、医師に相談すればいいのではないか。息子が中3になった今も私がこの場に文章を寄せているのは、こういう思いからである。(2017.6.27)

vol.77「いろいろすごかった修学旅行」

 6月下旬には息子が楽しみにしていた修学旅行があった。息子の中学では京都、奈良に加え、広島も行程に入っている。楽しみはもちろん行く先々で乗る電車。行く前からずっと嬉しそうにしていた。
 出発の日、集合場所の新横浜へは小田急線と横浜線を使って行くことになっていたが、思わぬ事故で横浜線が止まったため、別ルートで行くことになった。そのルート変更ですら息子は大喜び。しかしそれだけでは終わらなかった。広島での見学と夕飯を済ませ、京都の宿へ向かうために乗った新幹線が架線トラブルに見舞われ、新神戸に2時間ほど停車して京都駅に到着したのは午前0時前になってしまったのだとか。やむを得ず翌日の行程は時間をずらすことになり見学箇所は減ったそうだが、「乗りたい電車には乗れたので良かった」とのこと。
 彼が撮ってきた写真は3日間で755枚、そのほとんどが電車だった。広島電鉄、京都市営、京阪、近鉄、JR…。とにかくすごい量だった。
(2017.7.28)

vol.78「世間の認識なんてこんなもの」

 「アスペって何?」「アスペルガー症候群?何それ?」「キチガイ、頭のおかしい人のこと」…。先日、息子と二子新地のバーベキュー広場へ向かっている時、後ろを歩いていた20歳前後と思われる若者たちからこんな会話が聞こえてきた。彼らの会話の中からそういう話になったのだとは思うが、とっさに、二子橋の交差点で電車の写真を撮る息子の姿を見て「アスペ」を連想したのかと思い、ドキッとした。
 息子が低学年の頃、学校の懇談会で通級指導教室へ行っていることを話していたが、それを聞いて「頭のおかしい子?」なんて思った人もいたかもしれない。所詮、世の中の発達障害に対する認識はこんなものだろうと思った。
 「そう思う人には思わせておけばいい」と言われるかもしれない。でも自分の子どもがもし…と考えたらそう言えるのか。最近はテレビでも発達障害を取り上げることが多くなったが、同じ診断、同じような傾向でも人それぞれ違うのに、決めつけたように特徴を挙げるなど誤解を招くような内容が多くてがっかりだ。(2017.8.25)

vol.79「虐待は負の連鎖」

 テレビで虐待のニュースが流れ、虐待した親が連行されている場面を見る度、「この人も虐待されて育ったんだろうな」と、良くないことだが思わず同情してしまう。
 私も虐待されて育った一人だ。息子が小さい頃は、自分が親からされたのと同じように息子を怒鳴ったり叩いたりしていた。それが虐待に当たるなんて、これっぽっちも思っていなかった。でも外出先で子どもを優しく諭す親を見るにつけ、どこか違和感を抱えながらも「もしかしたら間違っているのは私なのでは?」という思いに駆られた。
 私の場合、たまたま身近に「このままではいけない」と気づいて伝えてくれた人がいて、自分の中にも同じ気持ちがあったから、少しは修正できた。でも息子には大きな心の傷を負わせてしまったと思う。
 心を傷つけられた子どもは、他人に対して攻撃的になってしまうことが多いように思う。いじめだったり大人なら虐待だったりといった悲しい負の連鎖を、何とか断ち切ることができないものかと日々考えている。(2017.9)

vol.80「支援は終了間近。その後は…」

 小学1年生から通い続けた通級指導教室も残すところあと2回になった。小学生の間は週1回だったが、中学になってからは年間およそ5~8回で通学も一人。私服での登校が許可されていてバスに乗って通えるので、毎回嬉しそうに出かけていく。
 入学前は、中学では通級に行かなくてもいいかな…と思ったこともあったが、中学でもちょくちょく周囲とのトラブルに巻き込まれたりからかわれたりということがあり、全く問題なく過ごせたわけではなかったので、在籍する中学校以外にも相談できるところがあってよかったなぁと思う。
 高校には現状、通級指導教室のような支援はない。だからこそ、何かあった時に自分の力で問題解決するための土台作りをしようと、息子とともに頑張ってきた。その甲斐あってか、彼のコミュニケーション能力はかなり上がったと思う。しかし進学には学力も必要で、息子にとって大きな課題になっている。ここからは勉強もしっかり頑張ってもらわなければならない。
(2017.10)
※現在は神奈川県立高校3校(生田東、保土ヶ谷、綾瀬西)に通級指導教室が設置されています。利用できるのは、通級が設置されている学校に在籍する生徒のみです。(2020.5)

サポートいただけると励みになります!いただいたサポートは、会員の皆さんの活動につながるよう、使わせていただきます!