君が笑えば、世界は君と共に笑う
第一章 日々
現在高校生の僕に教師や大人たちはこう問う。
将来の夢は?今後の進路は?と。
僕の通っている高校は、至って普通の高校で典型的な自称進学校だ。
今ここで頑張ってもせいぜいサラリーマンやフリーター行きだ。
なりたくもない職業につき、社会に出ていく。
こんなことをしていて本当に生きる意味はあるのだろうかと、よく考える。
安定した収入、落ち着いた家、共に過ごす人。これら全てがあれば仕事の内容なんかどうでもいい。
という人も少なくはないだろう。
実際そうだ。安定した収入があり、安心して過ごせる家があるならそれでいい。
つきたい職業についていこうなんて贅沢だ。
世の中には、職をなくし、家をなくして人生が一変した人もいる。
これからの進路をどう決めるかで、今後の生活の選択が変わっていく。
どうしたものか。
こんなことを考えながら僕の毎日は始まっていく。
制服を見に纏い、ボタンを閉め、今日もまた、変わらない日々がやってくる。
ドアを開け、いってきますと小さく呟き、家を出る。
高校まではバスで約30分。後ろの席に腰を下ろしイヤホンをつけ、外を見ながら憂鬱に浸る。僕はこの1人の時間がたまらなく好きだ。
雲の隙間から溢れる光が窓に当たり体の体温が上がっていく。
すっかり季節は冬だ。バスを降りて少し息を吐く。
白く曇った息は宙へと消えていく。
僕の淡い心と共に。
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