自己紹介② 【視力をなくす】

ぼくは40代半ばで病気により視力をなくしました。
2度入院し、3度の手術を受けたのですが、良くはなりませんでした。
徐々に眼が見えなくなっていき、左眼は光を感じる程度、右眼は眼前で手が動くのがわかる程度の視力です。
試しに、眼をつぶった状態で日常生活動作をしてみてください。
いかがですか?
眼が見えている方は、つぶった眼を開ければ元通り見えますが、ぼくはずっと眼をつぶった状態が続いているようなものです。
眼が見えないというのは不便なものです。不便さをいくつか挙げてみると。
・ひとりで歩けない
・今までできていた日常生活動作ができない
・家の中でも物や壁にぶつかる
・文字が読めない、パソコンができない
・今までの仕事ができなくなり、辞めざるを得ない
等々、物理的な困難は数えきれないほど。
それに加えて、精神的にも
 病気を受け入れることができず、[まだ何とかなるんじゃないか]という現状否定
→[何で自分だけが]という怒りや悲しみ
→[これからどうなっていくのだろう]という不安や恐怖
→[もうどうにもならない]という落ち込み
→[もうどうにでもなれ]という自暴自棄
とだんだん追い詰められていきました。
何もやる気がなく(物理的にもできず)、ほとんどの時間ベッドで寝ていました。
ひとりで悶々としていて、会話するのは妻だけ。
そんな日々が1か月くらい続いた頃ろです。
ふと、友人と話をしてみようと思い立ち、電話することにしました。
後で振り返ってみると、この頃は少しずつ障害を受容できるようになっていたようです。
友人は、話を聴いてなぐさめてくれますし、アドバイスもくれます。
でも、そのアドバイスのほとんどが的外れだったりもします。
ぼくのことを思ってアドバイスをくれるのはよくよくわかっているのですが、やはりイライラします。
そんな中、あるひとりの友人から[カウンセリングを受けてみたら]というアドバイスをもらいました。
ぼくは見えているときに、カウンセリングなどに興味を持ち、勉強したり資格を取ったりしていたので、その有用性はわかっていたのですが、
そのことに全く気が回っていませんでした。
やはり精神的におかしかったのでしょう。
そんなわけで、話を聴いて的確なアドバイスをくれるカウンセラーを探すことに。
何人かを探し当てたのですが、中途障害を専門のひとつにしているカウンセラーは見つかりません。
今のようにオンラインカウンセリングが普及していれば、全国からカウンセラーを探すことができ専門の方も見つかったのでしょうが、
当時は対面でのカウンセリングしかなく、家から通えるところのカウンセラーを探すしかなかったのです。
そんなわけで、仕方なく地元の良さそうな方2人にカウンセリングを受けました。
しかし、中途障害のことをちゃんと理解し、的確なアドバイスをくれる、ぼくに合ったカウンセラーはいませんでした。
ここでぼくが思ったのは、中途障害において、物理的なことに関しては専門の方がいるのに、なんで精神的なことに関しては専門の方がいないのだろう?ということです。
物理的な困難に関しては、役所のケースワーカーや病院のビジョンサポートの医師など専門のアドバイザーがいます。
実際、その方々のアドバイスを受け、制度や人的援助、支援用具を使うことにより、物理的困難はだんだんと改善していきました。
しかし、精神的な面に関してはどうにもならず、自分で乗り越えるしかなかったのです。


次回、【再生に向けて学校へ】に続く

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