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【読了10分】Weekly ASEAN Tech News【19年1月第1週】

こんにちは、三上蒼太(@sota_mikami)です。
東南アジアのスタートアップ情報を日々チェックしています。

先週(2018年12月31日~19年1月6日)に報道された、注目すべきASEAN Tech Newsをピックアップします。

本記事では、10個のニュースをピックアップしました。

◯老舗EC企業によるブロックチェーンベースのECサイト「QuuBe」ローンチ
◯ベトナムの民泊プラットフォーム「Luxstay」がUS$3Mの資金調達
◯求人アプリのGrabJobsがUS$930Kの資金調達
◯ベトナム産の配車アプリ「FastGo」がミャンマー進出
◯自動車周りのデータ分析サービスを提供する「Carmen」がUS$730Kを資金調達
◯SoftBank Ventures KoreaがSoftBank Ventures Asiaに改名。シンガポールにも拠点開設予定
◯ベトナムで新サイバー法施行
◯タイ国立電子コンピューター技術研究センターがブロックチェーンを用いた投票システムの開発発表
◯マレーシアのドロップシッピング「Kumoten」が金額非公開で資金調達
◯ワーカー向けAirbnbを展開するFlySpaceが、香港の同業社を買収

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老舗EC企業によるブロックチェーンベースのECサイト「QuuBe」ローンチ

シンガポールで最大級の規模を誇る老舗ECのQoo10が、ブロックチェーンのスマートコントラスト技術を活用したECサイトをオープンしました。

この記事のポイントは以下
・販売者と購入者間の取引にブロックチェーン技術を活用している
・よくある"マーケットプレイスの手数料10%"がなくなるため、販売者により大きな利益獲得が可能
・QuuBeは広告モデルでのマネタイズを図る
・将来的にインドネシアやミャンマーに進出予定

ベトナムの民泊プラットフォーム「Luxstay」がUS$3Mの資金調達

ベトナム版Airbnb「Luxstay」がUS$3Mを調達し、累計調達額がUS$6Mに達しました。

この記事のポイントは以下
・Luxstayは空き家をレンタルできるシェアリングエコノミー
・すでにベトナム全土に1万以上の宿泊施設が登録されていて、急成長中
・ミドル〜ハイクラス向けのアパート物件を多く取り扱っている
・18年9月には楽天とLIFULLが共同運営する「楽天LIFULL STAY」との連携も発表しており、日本とベトナムの相互のマーケティングにおいて協力体制がなされている。(プレスリリースはこちら

19年1月6日時点で、Luxstayのfacebookいいねは60万超え。
サイトトラフィックを観測できるSimilarWebで見ると、楽天LFULL STAYとの提携後にPVも大きく成長中。

ベトナム中部の観光都市ダナンが、トリップアドバイザーの選ぶ人気急上昇の観光都市トップ10で1位に選ばれてから、成田と関空からダナンへの直行便が就航されるなど、日本からダナンへの観光客は増加中。それに伴いベトナムの観光地としての認知度も高まりつつある気がします。
Luxstayの伸びが楽しみです。

こちらの記事でも発表されている、東南アジアでの投資を本格化しようとされているジェネシア・ベンチャーズさんですが、こちらのLuxstayに17年1月のシード段階からリード投資を実行されています。先見の明ですね..!

チャットボット活用の求人アプリGrabJobsがUS$930Kの資金調達

シンガポールに拠点を構え、フィリピン・ミャンマー・タイなどにも展開しているGrabJobsがシードラウンドでの資金調達を実施しました。("Grab"と社名に含まれてはいますが、配車サービスのGrabとは無関係)

この記事のポイントは以下
・15年創業の同社は、シードラウンドでの調達が続いている
・18年中にシリーズAラウンドへの上昇を計画していたが、まだシードでの成長加速を選択
・この調達で、19年4月までにキャッシュフローがプラスに転じる予定
・シンガポールの名門大学「南洋理工大学(NTU)」と連携し、チャットボットの機能向上などにより注力していく
・求人をより手軽にする仕組みや機能を開発している企業。求人サイトと提携し、求人情報を手に入れることで大きく加速できるビジネスモデル

ベトナム産の配車アプリ「FastGo」がミャンマー進出

加熱しまくるベトナムにおける配車市場の1プレイヤー「FastGo」は18年10月にインドネシアとミャンマーへの展開を発表していましたが、まずはミャンマーからスタートさせました。

この記事のポイントは以下
・Grabを代表する配車サービスの一つで、ベトナムのハノイで創業された会社
・他の配車アプリとの違いは、パーセント型の手数料ではなく、一律ということ。長距離移動であればあるほどドライバーに恩恵がある
・ただ、母国ベトナムの配車アプリ市場は現在競争が超激化。Grabだけでなく、Go-Viet(Gojek)の参入がかなりの痛手に。Beという、高期待値の新プレイヤーも参入している。
・FastGoは国内にとどまらず、東南アジア全域に拡大戦略を選択
・まずはベトナムとミャンマーでポジション獲得を狙い、19年中にインドネシア・フィリピン・カンボジア・タイへの進出も計画
・ミャンマーはまだGrabしか強いプレイヤーがいない状況
・新規参入にあたり、ミャンマーでモバイルインフラを提供しているMytel(親会社はベトナムのViettel)と提携しドライバーへの保険をアピール

自動車周りのデータ分析サービスを提供する「Carmen」がUS$730Kを資金調達

シンガポールに拠点を置くデータ分析サービスのCarmenがSilicon Solution Venturesのリードで資金調達を実施しました。

この記事のポイントは以下
・Carmenは、バッテリーや燃費など自動車周りのビックデータを分析し、故障前に警告をくれる技術を開発している
・車保険やディーラー、修理屋などと連携し、データを駆使して売り上げを伸ばすソリューションを提供
・Carmenの最大の強みは、顧客のプライバシーを侵害しない形でのデータ収集と分析を可能にする技術力
・東南アジアをターゲットとしており、この市場には1億台もの車がある
・調達資金は東南アジア全域への展開に使用予定
・1年以内にシリーズAを計画

SoftBank Ventures KoreaがSoftBank Ventures Asiaに改名。シンガポールにも拠点開設予定

ソフトバンクの投資会社「SoftBank Ventures Korea」が、アジアへの投資意向を表明するべく改称しました。

この記事のポイントは以下
・現在同社の拠点はソウル・北京・サンフランシスコ・テルアビブ(イスラエル)
・改称と拡大の一環として、上海とシンガポールに拠点開設予定
・シンガポールは、同社のはじめての東南アジア拠点となる
・ポートフォリオにある東南アジア企業としては、インドネシア最大級ECユニコーンのTokopedia・インドネシアでPOSシステムを作るMoka・シンガポールの中古車C2C Carro・シンガポールの中小企業向けP2PレンディングのFunding Societies・ベトナム版メルカリSendo・インドネシアのコワーキングEV Hiveがある

ベトナムで新サイバー法施行

これまでベトナムにいなかった(オフィスのなかった)facebookやGoogleといった巨人たち。
彼らがベトナムに来ることを迫られています..!

タイ国立電子コンピューター技術研究センターがブロックチェーンを用いた投票システムの開発発表

マレーシアのドロップシッピング「Kumoten」が金額非公開で資金調達

※ドロップシッピング:仕入れの必要がないネットショップを開設できるサービス。提供企業(※Kumoten)が仕入れや発送をやってくれる。ネットショップを開設したいユーザーは、カタログの中から販売する商品を選択するだけ。

そんなサービスをマレーシアで展開する「Kumoten」が金額非公開でプレシリーズAの調達を実施しました。

この記事のポイントは以下
・Kumotenはマレーシア最大のドロップシッピングサービス
・誰でもノーリスクでネットショップを開設できるという点で、マレーシア人の副収入を促進する
・インドネシア、フィリピン、タイでも事業開始予定
・東南アジアのドロップシッピング市場は2020年にUS$7.5Bという予測
・商品カタログはすでに10万点以上
※日本最大級はもしもドロップシッピング。カタログ40万点超。会員数50万人超

ワーカー向けAirbnbを展開するFlySpaceが、香港の同業社を買収

アジアの数カ国でフレキシブルワークスペースマーケットプレイス(長w)を提供するFlySpaceが、香港の同業社Quikspaceを買収しました。

この記事のポイントは以下
・FlySpaceはシンガポール、マニラ、セブ、クアラルンプール、香港、ジャカルタ、マカオに展開中
・東南アジアだけでスペースは3,000以上保有
・スペースオーナーが、中小企業やスタートアップ・ノマドワーカー向けに短期オフィスやミーティングルームとしての貸し出しを可能とするマーケットプレイスを運営
・香港のQuikspaceは香港に1,200以上のスペースを獲得しており、それがFlySpaceにマージされる
・今回でFlySpaceの買収は2社目。16年11月にはマレーシアの同業者8spaceを買収している(参考
・FlySpaceはweworkなどとは競合しないモデル。むしろ彼らが拡大するにつれ、FlySpaceも引き上がっていく構図

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