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青年の死とジーンとミーム

とある青年が白血病で亡くなった。彼が生前に残した文章を読んで色々なことを考えたのでメモ。

彼は死の直前まで克明に自らのやりきれない思いや、死への恐怖、理不尽に対する怒りをインターネット上に書き残した。Twitter、ブログ、note。そうやって彼が書き残した物を読んで、何か書き止めて置きたいという気持ちが起きたので、彼の死は、生きている我々に影響を与えているものと思われる。

彼はブログの中で、太平洋戦争に出征する若い兵士と自らの境遇を重ねていた。おそらく出征した日本兵たちと歳の頃もちょうど同じくらいだろう。自らの意に反して死地に向かわねばならないと言う理不尽も同じだ。

日本兵たちは生きた時代があまりにクソすぎたので、自分の本当の思いや気持ちさえ後世に残せなかった。しかし、彼は言葉を残した。しかも大量に。そして、今まさに、文章を読んだたくさんの人に影響を与えているのだ。死んでいった名もなき将兵たちに、もし言論の自由とペンと紙が与えられていたら、きっと彼と同じような文章を書いたに違いない。そんなことを思った。

ジーン(gene)とミーム(meme)ということばがある。ミームという概念はリチャードドーキンスが作ったものらしい。

そこまで深く理解してないのでアレだが、遺伝子の拡張概念であるミームとは簡単にいえば言葉やアイデア、メロディなど、人から人に伝わっていき、複製、拡散されていく情報のこと。phaさんの説明がわかりやすい。

人間が喋ったもの、書いたもの、働いて作り出した成果物、全ての表現活動や生産活動、そうした他人に影響を与えるものは全てミームだ。この世界の人間たちの間では常に無数のミームがやりとりされ、複製されて拡散し、混ざり合って突然変異を起こし、その中から淘汰されたものが残っていき、さまざまな文化や風習や芸術を作り上げている。

子沢山なマイルドヤンキーたちが残しているものがgene(遺伝子)ならば、彼が残した文章やツイートはmemeとなる。つまり、彼は若くして不幸にも夭折してしまったがたくさんのミームを残したということになる。少なくとも誰かに文章を書きたいと思わせるくらいには。

人はジーンが残せなくてもミームは残せるし、ミームが残せなくてもジーンは残せる

そして、この立場にたつならば、虫けらのように死んでいった日本兵や一般国民たちも、たくさんのミームを残していったということになる。それは、もう、日本の国体を変えうるほどの。現に彼らの残したミームが戦後の日本に大きな影響を与えていることは間違いない。

「LGBTは種の保存に反く」と言った
自民党の議員はもしかするとミームと言う概念を知らなかったのかもしれない。まあ、議員たちにも色々思うところがあるのだろうから、ここでは何も言わない。

とある青年の死。彼が残した文章に影響され、そこからどんどん話が広がりnoteを書くに至った。
話が飛び飛びになったが備忘録として。

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