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#04 原因と解決は別次元にある - 解決志向アプローチ -

この記事では「解決志向アプローチ」の考え方について、一緒に学んでいきたいと思います。数回に分けて書いていきますが、今回は「問題を解決するのに必ずしも原因を追及する必要はない」というお話をしていきたいと思います。


問題にぶつかったとき

僕たちは、日常生活を送る中で大小、様々な問題にぶつかります。その問題がなんであれ、問題を解決したい時、多くの場合、「何が原因なのか?」と原因を追及することで、その糸口を見つけようとします。「スケジュール管理が苦手だから、いつも遅れてしまう」「内気な性格だから、発言ができない」等、問題を解決するためには、まずは原因や悪い部分を見つけようとします。このように「原因を見つけて、直す」という問題解決のやり方は小さいことからよくやっていることです。

「原因追及」の限界

勿論、このような「原因を見つけて、直す」という「問題解決」の考え方は、機械の故障やウイルス性の病気である場合はとても役に立つのですが、一方、私たち、「人間」という複雑な生き物が抱える問題は、それがメンタルの問題であれ、仕事の問題であれ、何か一つのことが原因になっているケースよりも、複数の事象が折り重なって生じている場合がほとんどです。

こと、メンタル面の問題では、自分自身の考え方や性格、生育歴などの内的要因だけでなく、人間関係や職場環境などの外的要因もあり、それらの相互作用により生じるケースがほとんどです。また、何を「問題」にするか、その捉え方によっても「原因」は変わっていきます。機械の故障やウイルスの特定のように「原因を見つけて、悪い部分を修理する」という「問題解決」の考え方は、一般的によく使われますが、実は複雑な「人間」が抱えている問題の解決法としては限界があるのです。なぜなら、「原因を一つに特定できる」という前提自体が私たちの幻想だからです。

「原因」と「解決」は別次元にある

そのため、「何が原因でこの問題が生じてしまったのか」と、いくら原因を探っても、解決に結びつかないことが多々あります。身近な例として、例えば、お腹が空いている人に対して、「なぜお腹が空いているのですか?」と問いただしたところで、この問題は解決しません。この問題が解決するためには、その人が食べたいものを食べることであり、問題の「原因」と「解決」は必ずしも直接的な繋がりはなく、「原因」と「解決」は別次元に存在するのです。

We cannot solve our problems with the same thinking we used when we created them.  –  Albert Einstein
我々は問題が発生した時と同じ考え方で, その問題を解決することはできない。- アインシュタイン

特に人間の「心」という、目に見えない問題を扱う場合は、このことが顕著に現われます。例えば、職場の人間関係に馴染めず、メンタル不調に陥った場合、一見、それは職場の人間関係が原因のように見えても、その人が過去に経験した幼少期の出来事が影響しているかもしれませんし、性格的な思考や認知の癖が原因かもしれません。家庭での問題が職場に影響を及ぼしているかもしれませんし、職場の人たちの関わり方、またそのような関わり方をせざるを得なくなった原因が、別にあるかもしれません。その問題の原因を一つに特定しようとしても、どれも当てはまるようで、結局、何が原因か特定することができず、あり地獄のように抜け出せなくなることが多々あります。

さて、このような場合、どのように「解決」の糸口を見つければよいのでしょうか?(つづく)

原因がわからなくても、その問題が解決したことはありますか?

ここでは、問題を解決したいとき、「原因」の追及が必ずしも「解決」に結びつかないということを学びました。次の記事で「解決の糸口の見つけ方」を学んでいきたいと思いますが、ぜひ、皆さんも「何が原因なのかわからない状態でも、問題が解決したときがなかったか?」ちょっと立ち止まって、ぜひ振り返ってみてください!

【参考文献】
De Jong, P. and Berg, I. K. (2012). Interviewing for Solutions. 4nd Edition, Brooks Cole, Pacific Grove, CA, 152.

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