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行動の習慣化―本当に役立つ行動はどれか

業務で重視される行動の中には、若手の時から重要だったけれど、キャリアが前進して責任や役割が大きくなればなるほど、重要度やインパクトが増すものがあります。

例えば「どんな時でも倫理的で正義に基づく行動を選択する」で考えてみます。若手にとっての倫理的行動は、「営業先に向かう時、飲酒運転しないこと」かもしれませんが、マネジャーなら「意見の異なる部下にも平等に成長と昇進の機会を与える」ことかもしれません。巨大企業を率いるCEOにとっての倫理的行動は、「大規模なバッシングと巨額の損失が生じるとわかっているときに、実は自社製品が過去数十年も法定基準をクリアしておらず、しかも、クリアしているかのように世間を欺いてきたことを公にして、商品をリコールする」ことかもしれません。どの人にとっても取るべき行動は「倫理や正義に基づいた行動」なのですが、その難易度やインパクトは大きく違います。

同じことはコミュニケーション力や戦略的に考える能力や、その他、業務に不可欠な多くの能力についても言えます。責任や役割が大きくなると同時に、難易度も飛躍的に高まっていきます。

ではどうしたら、より大きな責任と役職に見合う行動をする能力が身に付くかと言うと、若い時から現場で実践練習するしかありません。誰でも本能的にわかる答えです。つまり、長い間「上司の顔色を見て、上司が喜びそうなことだけ発言し、自分で考えず、何も決めてこなかった」人が、役職が高くなったら急にきっぱりとした意思決定をするようになる…なんてことはあり得ないわけです。

ですから重要な行動は、時間をかけた反復練習が重要になります。その時、とても重要なことは、抽象度の高い「行動」を「意識」するだけでは、ほとんど成長に貢献しないという点です。抽象度が高い行動とは、言葉の意味合いが広くて、様々な行動の総称として使われている言葉のことです。一例として、「相手を思いやる」などです。複数の行動の総称なので、具体例がさまざまに考えられます。「あなたの意見はどう?」と聞くとか、「ねぎらいの言葉をかける」などです。

抽象度の高い行動を意識するだけでは、能力を高める効果が得られない理由は、抽象度が高すぎると、「今」「まさにここで」行動しなければならないときに、実行できない確率がとても高いからです。後でその場面を思い出して「あ~、これを言えばよかったのに。思い出せなかったな」と言う経験が誰にでもあるはずです。そんなことが続くと、やがて、その行動を意識することすら忘れがちになります。

練習を通じて、何らかの有意義な行動を習得したいのなら、必要な時に確実に実行できる具体性を備えたものであることが肝心です。もちろんその行動が業務や組織にプラスの効果を与えるものでなくてはならないのは、言わずもがなです。

株式会社スマートワークス