(株)スマートワークス 人材開発フィールドノート

ビジネスパーソンの成長の重要な側面の一つは、知識や能力を応用、展開して、優れた結果が出…

(株)スマートワークス 人材開発フィールドノート

ビジネスパーソンの成長の重要な側面の一つは、知識や能力を応用、展開して、優れた結果が出せるようになること。グローバルな調査研究から生まれた最新メソッドで、時代にマッチした人材開発をサポートする日々の感動やつぶやきをご紹介します。  www.smartworks.co.jp

最近の記事

心理的安全性の基本「信頼」。データ分析からわかったこと。

心理的安全性の重要さは広く認知されています。もともとはグーグルが様々な分野の専門家を集めて行った、生産性の高いチームとそうでないチームの違いを特定するプロジェクトがきっかけとなって、世に知られるようになりました。 心理的安全性を簡単に説明するなら、大きな目標を目指している組織の中で、皆が非難や拒絶される不安を感じることなく、自由に発言できる安心感がある環境です。ただし心理的安全性は「勝手気まま」あるいは「ぬるま湯」の状態とは別物です。心理的安全性の前提は、「大きな目標を目

    • 社員の人材開発は不要不急の経費?

      子供を対象とする学習塾のビジネスは、少子化によって難しい局面を迎えているといわれます。ただ、学習塾というビジネス自体は不況による影響が少なく、むしろ厳しい経済環境であればあるほど、子供への出費を控えるどころか、むしろ手厚くしたいという親心が働くと、一般的に考えられています。 同じ教育事業でも、企業研修、すなわち企業が社員の能力を伸ばすための人材開発費は不況時に真っ先にコストカットのメスが入る分野です。この分野に身を置く者としてうれしくはありませんが、筆者の気持ちは脇に退ける

      • データドリブン人事が研修を選定するとき、知っておきたいことは何か?

        ビジネスの課題に対して、データを取り入れた意思決定や判断をすること、それをデータドリブンという呼び名で表すことが、多くの人に理解され歓迎されるようになってきました。 人事の分野でもデータドリブンの人事戦略という言葉が広まっています。データドリブンの人事は、当然ながら採用や評価、従業員満足度や定着率、福利厚生、報酬制度、そして人材開発と育成など、人に関わるあらゆるものごとに関わるコンセプトです。 そのゴールは、多くの戦略的方針決定をデータが指し示すものに基づいて行うことです

        • アフターコロナというチェンジ・マネジメント: どんなリーダーシップをとる?どんなコミュニケーションをとる?

          新しい年が明けました。先行きが未だ完全に透明なわけではないものの、コロナ後に向けて何をすべきか考え、行動する機運が高まっています。 コロナに翻弄されるなかで多くの新しい考え方が生まれ、試行され、積極的に推進されて、今も続いています。“リモートワーク”、“オンライン授業”、“オンライン会議”、“AIを活用するデータ・ドリブンな商品開発や意思決定”、“副業”、などなど。このほかにも、以前は萌芽に過ぎなかったたくさんの新しい考え方が一気に開花の時を迎えました。 従来は企業でのみ

        心理的安全性の基本「信頼」。データ分析からわかったこと。

          アフターコロナに不可欠な新人や若手のリーダーシップ

          若手や新人にはリーダーシップなんてまだ不要だと即断せずに、少し待ってください。不要かどうかは「リーダーシップとは何か」次第です。 この記事では言葉の意味合いを説明することが目的ではないので、詳しい説明は別の記事に譲ります。手短に言うと、弊社がリーダーシップと呼んでいるのは、自分や周囲の人のパフォーマンスを高めたり、チームや会社にポジティブな影響を与える言動のことです。 たとえば・・・ ✓ 学習意欲の高さ ✓ 優れたコミュニケーション・スキルを有する ✓ 結果を出す意欲が強

          アフターコロナに不可欠な新人や若手のリーダーシップ

          ヒューマン・スキル: 「なぜするか」と「何をするか」だけでは結果が出ない

          ライザップのトレーニングの効果はすごいと思ったことがありませんか?何年も何十年もスリムで健康になることを夢見るばかりで実現できなかった人たちが、次々と成功するではありませんか。 ライザップの登場以前から、スリムになるためにやるべきことは、誰でも知っていることでした。食事やエクササイズのコントロールだけです。でも、多くの人は、それができませんでした。 つまり、「何をするか」(食事とエクササイズでスリムになる)、「なぜするか」(健康になるし、かっこよく見える)がわかっていても

          ヒューマン・スキル: 「なぜするか」と「何をするか」だけでは結果が出ない

          リモートで働くチームのエンゲージメントを高める

          弊社の研修メニューの中にいくつか、ゼンガー・フォークマンという提携企業が開発したものがあります。ゼンガー・フォークマンは数十年のグローバルなデータ収集と研究から、個人やチームのパフォーマンスを向上する方法を見つけ出して、ハーバード・ビジネス・レビュー誌上で反響を呼びました。 研究結果を受けて、弊社の研修でも使用されている、リーダーやマネジャーのパフォーマンスを測定する360度調査が開発されました。研究から得られた発見の一つは、その調査のスコアが飛びきり高まると、経営にとって

          リモートで働くチームのエンゲージメントを高める

          アフターコロナの職場で一体感を高める

          最近疲労がたまっていることを自覚しているとします。ある日突然、背中に切りつけられるような激痛を感じて、その傷みが止まらないなら、どうしますか。 疲労のせいだろうと考えて、痛み止めを飲みますか。それとも原因を調べたり、病院に駆けつけたりしますか。前者はとりあえず痛みという症状を封じておく対症療法のアプローチ、後者は痛みが発生した原因を特定して、根本的な問題を解決するアプローチです。 症状が重篤で、将来や周囲への影響が深刻なら、ほとんどの人は根本的な原因を突き止めて、正しい治

          アフターコロナの職場で一体感を高める

          研修後のアクションプランは、ゴール達成を助けてくれていますか?

          人間はすべてのものごとを見聞きしているわけではありません。周囲の情報をふるい分けして、その状況において自分が重要だと判断したものにだけ、注意を向けます。ふるい分けは無意識のうちに行われることが多く、自分が、どんな理由で判断したのかもわからないことが多いものです。ふるい分けのための「ふるい」はメンタルモデルとかパラダイムなどと呼ばれます。 ところで、マネジメントやリーダーシップなど習慣化や行動化がカギとなる研修では、研修後に職場で何をするのか計画を書き出す作業を行うのが一般的

          研修後のアクションプランは、ゴール達成を助けてくれていますか?

          イノベーションもDXも人材開発も、ゴール設定なくして、成功か失敗かの判断はできない

          先に、イノベーションやDXでは高度な専門スキルを持った人材だけでなく、最低限の知識を持った多くの人や組織風土が必要だと書きました。多様な分野の専門家が同様の主張をしていますから、同じ話を聞いたことがあるかたもおいででしょう。 先ごろ目にしたコラムに、「ある文書が日本におけるイノベーションは業績拡大に役立っておらず、失敗していると報告した」と書いてありました。そのコラムの筆者は「そうは言ってもそのコラムがいう『イノベーション』の定義は、新製品の開発のことであり、シュンペーター

          イノベーションもDXも人材開発も、ゴール設定なくして、成功か失敗かの判断はできない

          イノベーションやDXは、専門スキルを持つ人々だけでは実現できない

          イノベーションやDXは、専門スキルを持つ人々だけでは実現できない。その人々を取り巻く組織が果たす役割が重要であるとよく指摘されます。イノベーションで言えば「異質なものを排除しない組織文化」。DXではそれに加えて、「データをどのように集め、活用するかを、皆が最低限理解していること」などでしょうか。 このことは米国のゼンガー・フォークマン社と一緒にリーダーシップ研修※をご紹介している弊社にとっては、とても興味深いものです。 ※ ここでのリーダーシップは、経営者、管理者だけでな

          イノベーションやDXは、専門スキルを持つ人々だけでは実現できない

          イノベーションやエンゲージメントをむしばむマインドセット

          マインドセットとは固定されたもののみかたや考え方のことです。 スタンフォード大学の心理学教授であるキャロル・ドウェック博士が同名の書籍を出版したのは2000年代の中ごろでした。大分遅れましたがその後日本でも同名の翻訳書が出版されるなどしています。博士の研究活動はどんどん広がったので、簡単に説明できるものではありませんが、誤解を恐れずにかいつまんで言うとこうなります。 ※TED等にも何度も登壇している方ですので、詳しく知りたい方はCarol Dweckで検索してください。 ▉

          イノベーションやエンゲージメントをむしばむマインドセット

          知識習得だけで終わらせない。目指すべきは行動化

          『やっぱり基本が重要: 人材開発のKnowing Doing Gap』では、Knowing Doing Gapに留意しておく大切さに触れました。行動変化が求められる時にこの基本を無視すると、手間ひまかけて何かを実施しても、皆、頭でわかっただけで、行動が変わらない可能性が高いからです。 「頭でわかっただけで習慣化していない」状況で研修効果を確かめるためにペーパーテストを実施すれば、正答率はそれなりに高いだろうと予測できます。ペーパーテストで高い正答率が出ればよいのなら全く問題

          知識習得だけで終わらせない。目指すべきは行動化

          やっぱり基本が重要: 人材開発のKnowing Doing Gap

          大好きだけど、本当は自分のためにならないからやめるべきだ、少なくとも控えるべきだと頭では十分にわかっているものを1つ思い浮かべてください。お酒?タバコ?スイーツ?オンライン・ゲーム?YouTube?携帯を見続けること?インターネットショッピング?韓流ドラマ? では、以下のとおりに実行してください。 今日、この瞬間からきっぱりとやめてください。または、一気に適正なレベルに減らしてください。できますよね?あなたはもう、頭で理解しているのですから。 できませんか?おかしいです

          やっぱり基本が重要: 人材開発のKnowing Doing Gap

          人材開発の方針:リンゴとリンゴを比べよう

          弊社が実施している人材育成のことでお客様と会話をしました。打ち合わせの用件を全て話し合ってしばし近況のやり取りをしているとき、お客様が「そういえば今度うちの会社でも課長たちの人材育成で、■■の研修をするつもりだ。うちの社員にも★★の行動をしてもらいたくね」とおっしゃいました。「▲▲株式会社が全社でやっていて、効果があるそうだから。今話題でしょ?」 それを聞いて、う~ん、と困ってしまいました。こういうとき、「思考の品質」、つまり、「自分の考えに誤りはないかどうか」をガッチリと

          人材開発の方針:リンゴとリンゴを比べよう

          思考や判断の品質と効率を高めるメソッド―腱鞘炎に応用してみた

          腱鞘炎になりました。治療後すぐに再発し、日常生活に支障をきたす症状です。 自由に動くのは頭と口だけなので、鋭く考える思考法を使って、次にすべきことを自問自答して考えました。 Q: ここまでの治療と経過の概要は何か。 A: 一般的な治療を1回受けた。痛みと炎症を鎮める注射だったが、2週間以内に再発して、治療前と同じ程度の重い症状が出ている。 Q: そもそも腱鞘炎の原因は何か。 A: 炎症を起こした部位の使いすぎ。 Q: 使いすぎとは何のことか。加重のかけすぎか、それとも頻

          思考や判断の品質と効率を高めるメソッド―腱鞘炎に応用してみた