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中途採用が増え、JTCのメンバーシップ雇用が終わる。労働市場で高く評価されるためには。

今朝の日経新聞の記事から。
日経新聞の調査によると「中途採用5割迫る、24年度「新卒中心」転換点」とのことです。

#日経COMEMO #NIKKEI

【この記事のポイント】
・中途採用比率は過去最高の43.0%
・補充要員ではなく、戦略的な経営
・新卒中心の採用慣行は転換点

日本経済新聞

日本型伝統的企業(JTC)は、高度経済成長を支えた「年功序列」、「終身雇用」軸としたメンバーシップ型の雇用戦略をとってきました。しかし、記事のように能力、技術がある中途採用者を積極的に採用するジョブ型採用が今後も増加するならば、メンバーシップ型の雇用体型は崩壊する可能性が大きくなります。

メンバーシップ型は、新卒者を一括採用して、充実した社内研修、教育を受けさせ、先輩の背中を見ながら一歩一歩成長していくという雇用形態です。一人前になる前の若い時期は、給料が安くても我慢すれば、後半期でどんどん給与が上がる年功序列の仕組みが徹底されています。若いうちの充実した教育と社内キャリアを積むほど給与や職位が上がるため、若いうちはじっと我慢して会社の言うことを聞きます。紙切れ一枚でどこにでも転勤します。

昭和の価値観が支配的な組織なので、急な転勤はあたり前なので、配偶者は専業主婦の場合が多いかもしれません。その昔は社内結婚が当たり前で、上司が仲人というのが通例で、新卒女子は社員のお嫁さん候補だったりしていました。

「つとめあげる」ことが美徳とされ、定年時には高額な退職金を手にして悠々自適の生活を送ることができました。

しかし、昔と違って、今は人生100年時代。60歳とか65歳で定年になっても、それからの人生は10年以上あります。何十年も同じ会社に勤めていたら、価値観もカチカチに凝り固まってしまって融通が効かず、プライドも高いので次の職場に馴染めないなどの問題もあるようです。

最近、中途採用が増えた理由として、新人がすぐ離職して定着しないとか、世の中の進化が早すぎて、社内で育成した人材では対応できないことが増えていることがあります。技術や知識、経験、スキル持った即戦力の人が、年功序列型の企業に外部からいきなり刺さり込んでくると、社内で着々とキャリアアップをしてきた人にとっては、ポストを取られてしまうことになるんですね。

JTCのメンバーシップ型雇用体系は、自らの成長を雇用先の企業に託すことになり、自己研鑽なども社内の研修制度などを活用して実施することになります。自主的に学ぼうと思わなくても、学校みたいに教えてくれるのです。

日本型雇用体系であるメンバーシップ型と欧米で一般的な雇用体系であるジョブ型雇用体系の両立は難しいと思っていました。なぜなら、メンバーシップ型は約束された将来の安定と収入増加と引き換えに若いうちは、少々のことは我慢しているからです。いわば、JTCの安定的企業の既得権益があったわけです。

しかし、優秀な中途採用者が増えることで、この既得権は無効化されつつあります。社内で認められ、重要なポストを確保するためには、自らキャリアアップして中途採用者よりも会社にとって有益であることを示さなければなりません。

労働市場で自らの価値を高めなければならないのです。知識や経験、技能だけでなく、コミュニケーション能力などの社会性なども評価されることになるでしょう。さらに、健康状態も重要なファクターとなります。

中高年と言われる年齢になってからは、むしろ健康であることがベースになるでしょう。高年齢労働者と呼ばれる頃には、最も重要な要素になります。

健康や体力レベルも、知識や経験と同等に短期間で身につけれるものではありません。30歳代から運動や食事、睡眠などに注意して築き上げるものです。

厚労省も高年齢者雇用に際し、体力づくりや現場での労災予防に関する補助金、エイジフレンドリー補助金を設定していましたが、高齢者になる前の健康づくりが重要だとして、この補助金を全世代型にすることを決めています。

雇用者の側から見て、知識、経験、技能、健康を持つことの重要性はもちろんですが、企業の側から見ても雇用を確保するためには、知識、経験、技能と知った直接仕事にかかるものだけでなく、体力を評価する手法が必要になるでしょう。