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どこのスタートアップに行っても使いたいサービス。正確さと効率化で「守り」のコーポレートを支えるsmartround(株式会社クアンド 佐伯 拓磨さん)

※記載の状況は取材当時(2023年9月19日)のものです。

株式会社クアンドについて

 📌 「地域産業をアップデートする」をミッションに掲げ、2017年4月に創業。製造業や建設業に対し、現場の判断を加速する遠隔支援ツール「SynQ Remote(シンクリモート)」の開発・提供を行い、DXを推進している。世界遺産・官営八幡製鉄所のある福岡県北九州市に本拠地を置き、福岡市内・東京・沖縄にも拠点を持つ。2022年に九州の有望なスタートアップ33社としてJ-Startup KYUSHUに選出。2023年には、経済産業省のスタートアップ育成プログラムJ-Startupにも選出。
公式ページ:https://www.quando.jp/
smartroundページ:https://www.smartround.com/public/startups/quando

佐伯 拓磨さんプロフィール

📌 株式会社クアンドCFO。熊本出身で、 2011年に新卒で肥後銀行に入行。法人融資などを担当する。その後、独立系プライベートエクイティファンドであるDOGANのファンドマネージャーを経て、2019年8月より現職。

サマリー

・株主総会業務はsmartroundに集約し、やりとりの煩雑さを解消。承諾や議事録の記録も一元的に管理
・資本政策smartroundでは、綺麗にミスのない表が作れ、複数パターンのシミュレーションが可能。
・株主総会と資本政策の活用で、従来の手間を半分以下に削減。

地域に根差したレガシー産業をアップデート。建設業・製造業など現場のある業界に特化したコミュニケーションツールで効率化

ーー事業内容について、改めて教えてください。

ミッションとしては「地域産業をアップデートする」を掲げており、レガシー産業と言われている建設業や製造業でも使いやすく遠隔でも指示できる「SynQ Remote」というツールを提供しています。イメージとしてはZoomやTeamsの現場版に近いかと思います。

ーー地域と産業、という2軸で課題解決を試みているのは、どういった背景からなのでしょうか。

地域と産業は切り離せないもので、例えばクアンドの本拠地である北九州ですと、1901年に八幡製鉄所ができてから、鉄の街として100年ぐらい発展していく中で、TOTOや安川電機など、地方発のグローバルメーカーが生まれてきたんですね。
鉄という大きな産業の課題が、次世代の新しい産業を生んだ結果だと思っています。このような地域産業の循環が生まれ、新しい雇用を作り、街に新しい文化が生まれていくと考えています。

翻って、いまの日本を見てみると、労働力のバランスが大きな課題として挙げられます。需要と供給のバランスがかなり崩れていて、特に、地方に多い建設業や製造業で需要の強いノンデスクワーカーの供給不足が顕著です。

実際、設備工事業を営んでいる弊社代表の実家でも、ベテランの技術者に業務が偏り多忙な状況が続いたが、それが改善されない、という理由で、彼らが辞めてしまったんですね。
彼らは何で忙しくなっているのかと分析してみると、定期的な打ち合わせや突発的なトラブル対応などに加え、平均して30%が移動に時間が取られていることが分かりました。

移動に時間が取られて辞められてしまうのは勿体無い、ということで開発したのが「SynQ Remote」です。建設業・製造業などのノンデスクワーカー向けになっており、現場で意思疎通をするための機能を搭載しています。

例えば、現場別に担当者間で連絡を取りながら、その場で撮った写真や動画を現場に紐づけて保存していけるグループ分けの構造や、作業中に複雑に入り組んだバルブや配線などをポインターで指し示す機能、騒音で聞こえにくい場合に備えて会話を文字起こしする機能など。デスクワーカーを想定したWeb会議システムでは手が届かない部分までサポートしています。


「SynQ Remote」の画面。伝わりやすさや現場に寄り添った機能を評価され、ZoomやTeamsといったコミュニケーションツールに加えて導入されることも。

「地域経済を活性化させたい」銀行勤務の経験を通じて気付いたデジタルとスタートアップの必要性

ーー佐伯さんご自身は、どういうキャリアを経てジョインされたのでしょうか。

2011年に新卒で肥後銀行に入りました。私自身が熊本出身ということもあり、地域経済を支えていけるような仕事ができたらと思っていたんです。
地元企業の経営者とも話していくと、当時の銀行のビジネスモデルでは、経営・財務のコンサルティングから資金提供というところまでひっくるめていい方向に導く、というのは難しいと痛感したんですね。

26歳の時にDOGANという、九州や瀬戸内地域を中心に活動している独立系プライベートエクイティファンドに転職しました。ファンドマネージャーとして、地域のオーナー企業や金融機関と一緒に、地域にお金を循環させて事業を成長させる、いわゆる金融の地産地消の仕組みを作る一方、社外取締役として地元の中小企業に入って金融・経営の面で改善に取り組んでいました。

その中でも今の損益構造では何をしても乾いた雑巾を絞るようで効果が薄く、デジタルの力で構造から変えていく必要を感じました。
そこでクアンドに出会い、こうした企業の中で成長に寄与すれば、地元の企業も良くなっていくんじゃないかと思い、取締役CFOとして2019年8月からジョインしました。

ーーかなり初期の段階から、CFOなどのお金の管理を担当される取締役がいらっしゃるのは珍しいと思うのですが、そのあたりのメリット・デメリットはどう捉えていらっしゃいますか?

メリットに関しては、ファイナンスのリスクヘッジができたというところですかね。ファイナンスの打ち手を間違えずに進められたというのはあるのかなと思います。

あとは私がファイナンスやコーポレートにおける対応を行うことで、他の経営陣が事業に集中できる体制が早々に作れたなと感じています。


クアンドのメンバーたち。現場と上流の営業などに知見のある代表の下岡など、経営陣のバランス的にファイナンスのピースをCFOとして埋められたら事業がもっと前進すると感じたのも入社のきっかけのひとつ。

デメリットについては、やはり給与面はどうしても出てくると思います。私は最初の一年、複業の形で関わり、他でもお給料をいただくことでデメリットを小さくしていました。

他のデメリットといえば、事業をキャッチアップする大変さですかね。スタートアップはまだオンボーディングの体制が整っていないところが多いので、自分から動いてキャッチアップしていく大変さはあるかなと思います。

私自身、事業やクライアントのことを深く知るために1ヶ月かけて全国のお客さんのところを回らせてもらいました。キャッチアップの時間は定期的に確保していくことが大事だなと感じますね。

ーー佐伯さんのように金融の知見がある方を採用したい、というスタートアップも多いと思うのですが、どうやって出会えばいいですかね?

例えば地銀などが主催する地域のコミュニティイベントや、政府系の金融機関のイベントなど、定期的に金融バックグラウンドのある人と出会えるような場所に出ていくのも方法としてあると思います。

いわゆるスタートアップ村のようなコミュニティだけだと会える人に限りがあるので、スタートアップにこだわらない方が、色々な可能性に触れられるかなと。

株主総会と資本政策smartroundの活用で、稼働時間が半分以下に

ーー導入のきっかけはなんだったのでしょうか。

VCの紹介かSNSで知ったのがきっかけだったかと思います。弊社で使い始めたのは2021年7月頃でしたが、実は2020年ごろから別の会社でも使っており、便利だったのでクアンドでも導入しました。

ーー現在、コーポレートの体制はどうなっていますか。

フルタイムで働いているのは私1人です。総務・労務・財務に関しては業務委託の2名と連携して対応しています。
人事や広報は、代表の下岡と他のメンバーを交えて、なんとか回していますね。

人数で言うと、フルタイム・業務委託など含めて40名弱の組織体制になっており、コーポレートも細かい話が増えているので、人員強化のために採用に注力しているところです。

ーー主に使っているのはどの機能ですか?

まず、株主総会に関しては基本的にsmartroundで対応しています。
元々、招集通知から議事録まで、メールやFacebookのMessengerを活用していたのですが、どうしても連絡が散らばってしまうので管理・集計が大変だったんですね。

smartroundでは回答を集約できるので、運営がすごく楽になりました。
相手が承認したかどうかや議事録の管理など、一連の流れも同じサービスの中で記録に残せるところもありがたいですね。テンプレートの文言があらかじめ入っていて、効率化について考えて作られていると感じます。

株主総会smartroundでは、委任状の回収、格納、議事録まで一元的に管理可能。

資本政策に関しては、投資家や株主にsmartroundで作成したデータを提供したり、資金調達中のシミュレーションでも活用したりしています。
Excelと比べても、正確な表を作れて、複数パターンのシミュレーションができるなど柔軟性もあるので、今後もsmartroundで管理していきたいなと思っています。

株主総会も資本政策も導入してからは感覚として半分以下の手間で済むようになりました。
オンボーディングのコストが低いところもメリットの一つだと思います。ある程度のプロフェッショナルであれば、特に説明を受けずとも問題なく使える簡単さがありますね。

ーー逆に、今使えていなかったり、改善してほしい機能はありますか?

株主への定期的な情報共有はまだメールベースでのコミュニケーションになっているため、定例報告もsmartroundで完結できるといいなと。
株主が使いたくなるようなサポートの仕組みや機能をスマートラウンドさんに積極的に作っていただけるといいなと思います。

今後使っていきたい機能は、投資家アタックリストです。次回のファイナンスで活用して、今までと比べてどう変わるのか、見ていきたいと思います。

2023年8月に実装された「投資家検索・アタックリスト機能」。投資分野やチケットサイズ別に投資家を検索し、シリーズごとにアタックリストを作成して管理することができる。

正確で使いやすく、ノウハウも学べる。バックオフィスと一緒に成長するsmartround

ーー今後のスマートラウンドに期待することはありますか。

株主だけでなく金融機関も含めたプラットフォームになると、情報開示をはじめとするコミュニケーションもより円滑になるのではないかと期待しています。

また、マネーフォワードやクラウドサイン、SmartHRなど、会社運営に関わるサービスと連携して一元化できるようになると、バックオフィスとしては、より効率的に回せるようになって嬉しいです。

ーー佐伯さん自身は、この先、目指していきたい理想像などはありますか?

難しい質問ですね。日本全体でもDXの遅れなどの課題がある中で、地方は特に周回遅れであり、課題が山積しています。だからこそ、スタートアップのスピード感を持って一気に突破していくという解決方法が有効であると思っています。

ただ、まだまだスタートアップというイメージが浸透しきれていないので、スタートアップの世界観や働き方を啓蒙し、もっと多くの方に入ってきていただきたいですね。
それこそ都心以外にも、世の中を良くしていきたい、チャレンジしていきたいという思いを持っている人はたくさんいるので、選択肢を示しつつ、自分自身もロールモデルの一つになっていきたいです。

ーー最後に、smartroundの導入を検討している方に向けてコメントをお願いします。

コーポレートの仕事は「いかに効率的かつミスなくできるか」という守りの部分が求められますが、smartroundはそれを実行する最適なツールの一つであると思います。

経営やバックオフィスの経験が無くても、ノウハウ含めsmartroundがサポートしてくれるので実務の中で学べますし、自分の成長にも繋げられるツールです。もし仮に私が別の会社に行ったとしても、smartroundは使い続けたいですね。

株主総会作成画面。株主総会の種別などの右上に小さな?マークがあり、「これってなんだっけ?」と思った時にすぐ詳細を確認できるだけでなく、「株主総会マニュアル」や「資金調達マニュアル」など、バックオフィスをサポートする仕組みになっている。

ーーそう言っていただけることが一番嬉しいです。本日はありがとうございました!

株式会社クアンド様の会社情報はこちらからご確認いただけます。

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