見出し画像

LayerX・SmartHR「SaaS×エンタープライズの要『プリセールス』を大解剖!」を開催しました!

こんにちは!SmartHRのなんせき(@nanseki)です。
2024年7月26日、LayerXとSmartHRの共催でエンタープライズセールスの要である「プリセールス」を紐解くイベントを開催しました。この記事では当日の様子をお届けします。

LayerXさんもイベントレポートを公開してくださっています。こちらもぜひご覧ください!

イベント概要

SaaSではまだ馴染みのない「プリセールス」ですが、近年SaaSにおいてその重要性・存在感が高まってきています。

当日は、株式会社openpage 執行役員CROの志村 裕司さんをモデレーターに迎え、LayerX・SmartHRからプリセールス組織を牽引するメンバーが登壇。以下の3つのテーマについてパネルディスカッションを行いました。

・なぜSaaS事業でプリセールスが求められるのか
・SaaS×プリセールスの面白み・やりがいとは
・プリセールスを経験することで広がるキャリアとは


ここから当日の発言を中心にイベント内容をお届けします


登壇者の自己紹介

志村 裕司さん(以下、志村):モデレーターの志村です。私は20代の頃にSIerでSEとプロジェクトマネージャーを計6年ほど経験し、30代ではSalesforceやBoxなどの外資系企業でプリセールスを経験しました。現在は日系スタートアップの株式会社openpageで執行役員CROを務めています。
プリセールスは現場とマネジメントを合わせると10年以上経験しまして、そういった背景もあり本日はモデレーターを担当いたします。

LayerXとSmartHRのお二人から、まずは自己紹介をお願いできますか?

圓岡 貴文さん(以下、圓岡):LayerXの圓岡です。私は新卒で独立系SIer企業に入社しプラントシステムの開発や、連結会計システムの導入コンサルタントを経験しました。その後、SHIFTにてプロジェクトマネージャー・ERPサービスマネージャーに従事し、2023年4月にLayerXにジョインしています。

LayerXは、バクラク事業、Fintech事業、AI・LLM事業の3つの事業を展開していて、バクラク事業は累計導入社数が1万社を突破した状況です。これまで紙だったものがオンプレミスになりクラウド化してきましたが、AIで業務そのものをなくしていきましょう、ノンコア業務をなくしてコア業務に集中できるようにしましょう、そういった思想でプロダクトを開発・提供しています。この秋、勤怠管理サービスを提供開始予定で、SmartHRさんと今後競合になり得ますね(笑)。

久永一樹さん(以下、久永):SmartHRの久永です。私は新卒でアクセンチュアに入社し、基幹システムやSaaSの導入支援を経験しました。2022年2月にプリセールスの3人目のメンバーとしてSmartHRに入社しています。

SmartHRの事業は労務管理からはじまり、現在は従業員データを起点に、タレントマネジメント領域や情シス領域など幅広く事業を展開しています。圓岡さんに言及いただいたように、年内に一部の導入企業さまに対して「勤怠管理」機能の提供も予定しています。
事業も組織も急成長・急拡大を続けておりまして、そんな自社のフェーズを「スケールアップ企業」と定義しています。今日はよろしくお願いします!

1. なぜSaaS事業でプリセールスが求められるのか

志村:まず最初は「なぜSaaS事業でプリセールスが求められるのか」について。外資企業の場合は事業立ち上げの段階からプリセールスが存在することがほとんどですが、日本のSaaS企業でプリセールスの必要性が増してきたのはここ最近ですね。

背景として、プロダクトの進化や世相に伴いエンタープライズ企業での導入が増えてきたことが挙げられます。以前は、日本のスタートアップはシングルプロダクトでSMBの顧客が中心だったので、一人のセールスが商談を完結させることが多かったです。近年、エンタープライズ顧客との商談や導入が増える中で、商談期間が長く要件も複雑で、受注単価も高い案件が増えてきた。そこで、チームセリングの必要性が増しており、LayerXやSmartHRのようにプリセールスを採用する企業も出てきました。

(スライド)1.なぜSaaS事業でプリセールスが求められるのか
・エンタープライズ攻略→ チームセリング
・プリセールスの役割・事業貢献
・大型受注の背景にあるプリセールスの貢献
当日のスライドより抜粋(テーマ1)

ただ、プリセールスの役割は会社によっても異なりますよね。それぞれどのような役割を担っていますか?

圓岡:LayerXのプリセールスは受注責任を負っている特徴があります。アカウントエグゼクティブ(AE)と一緒に商談に臨み、業務ヒアリングを通じてAs-Is、To-Beを描き、ギャップをお客さまと握る役割を担います。

久永:SmartHRも受注責任を負っています。エンタープライズ営業は日に日に難易度が増しています。SaaSの参入障壁が低くなったことで差別化が難しくなり、各種プロダクトの機能拡充が進み解ける課題が大きくなったことでお客さまの「選ぶ」難易度も高くなっています。

そこで、セールスとプリセールスはますます二人三脚でタッグを組む必要があります。セールスはお客さまの窓口として関係性を構築し商談の手綱を握る、プリセールスは商談を設計する。そういった役割分担です。

志村:事前の打ち合わせで、LayerXではプリセールスが導入支援もされると伺いました。ここは特徴的ですよね。

圓岡:組織とプロダクトのフェーズによる部分もあります。私は事業開発組織の配下にあったエンタープライズグループに、一人目のプリセールス・導入コンサルタントとして入社しました。当時は商談に同席して要件整理や機能開発を行う一連の流れをPdMが担っていて、その顧客折衝部分を引き継いだ形です。

志村:なるほど、スタートアップらしい動きですね。次に「大型受注の背景にあるプリセールスの貢献」というテーマでお話しできればと。久永さんからお話しいただけますか?

久永:ありがたいことに毎年コンスタントに大型受注に関わらせていただいていますが、昨年受注した小売業のお客さまは思い入れが強かったです。導入の費用対効果をご説明することはもちろん、タレントマネジメントの重要性についても具体的に提案させていただきました。事前に実店舗に足を運ぶことで、働き方やオペレーションの丁寧さ・熱心さを感じることができ、その様子も踏まえ想いも乗せて提案させていただき……受注が決まった時は本当に嬉しかったですね。

志村:素敵なストーリーですね。圓岡さんはどうでしょう?

圓岡:大手建設企業さまの導入支援を担当させていただいたのは印象に残っています。バクラク導入の目的に、業務効率化や生産性向上とあわせて「業務の平準化」も掲げておられました。お客さまにとってはじめてのSaaS導入でしたが、業務プロセスの可視化・バクラク導入後の業務フローの整備をプリセールスが推進し、無事に導入を完了することができ安心しましたね。

志村:セールスとプリセールスがタッグを組む時、セールスのほうがポジティブでプリセールスが冷静に検証してバランスをとる構図がよくあると思うのですが、LayerXの場合はいかがですか?

圓岡:LayerXの場合、逆にプリセールスがポジティブな提案をすることもあります。セールスがお客さまの状態を冷静に捉えているのもありますし、プリセールスやエンジニアの目線だからこそ「実現できる」と判断できることもあるんですよね。

志村:なるほど。外資企業の場合、プロダクトの仕様変更はなかなか叶わないんですよね。その点、LayerXやSmartHRのようなエンジニアとビジネスの距離が近い会社は、プロダクトを一緒にアップデートしていける強みや面白さがありますね。

圓岡:エンジニアの開発スピードは本当にすごいです。毎週金曜に、開発サイドが今週の機能アップデートを紹介する時間があるのですが、「これを一週間で!?」といつも驚きます。同時に「これはお客さまに早く届けないと」とモチベーションが高まる時間です。

2. SaaS×プリセールスの面白み・やりがいとは

(スライド)2.SaaS×プリセールスの面白み・やりがいとは
・仕事のやりがいや楽しさを感じる時
・仕事の難しさ
当日のスライドより抜粋(テーマ2)

志村:プリセールスとしてどんな時にやりがいや楽しさを感じるか、久永さんいかがでしょうか?

久永:僕がやりがいを感じるのは、お客さまに喜んでいただけた時ですね。初回の商談では渋い顔をされるお客さまもいらっしゃいますが、琴線に触れる提案ができて「それだ!」という表情をしていただけた時や、受注に至った時の喜びはひとしおです。

プリセールスは自分たちだけでは何も成し遂げられません。営業の泥臭いアプローチや開発の努力があり、総力戦で受注を獲得しています。その分、受注の瞬間はやはり嬉しいですね。

圓岡:プロダクトがまだPMFしていないという前提でお話ししますが、自分が関わった案件を通じて、他社でも汎用的に使える、今後必須になる機能が実装された時は嬉しさを感じます。実装された機能が、企業規模によらず他の企業でも使われていると聞くと嬉しいですね。

機能を検討する際に大事なのは、「何を解決したいのか」を突き詰めてお話しすることだと思っています。「ほしい」と言われる機能も、深堀りしていくと機能がほしいのではなく、業務自体をなくしたいといったケースもあります。ピンポイントの機能ではなく業務について会話し、最適なソリューションを提案する力が必要だと感じます。

志村:ありがとうございます。機能による置き換えではなく、業務を本質的にはどうしたいのかを追求する必要がありますね。
次に、仕事の難しさについてはいかがでしょう?久永さんからお願いします。

久永:お客さまにとってSmartHRを導入することは大きな投資です。会社によってはコストセンターと言われることもあるバックオフィス領域でのシステム導入は、壁も多く、難しいと感じますね。

プロダクトに目を向けると、労務管理クラウドは参入障壁も低くレッドオーシャン化が進んでいます。タレントマネジメント領域では、私たちは後発です。ビジネス組織と開発組織ががっちり組んで挑む必要があり、難しさとまだまだだという課題を感じます。

開発組織とお酒を飲みながらときどき語り合うのですが、「あのプロダクトの機能拡充をもう少し頑張ってほしい。時間とお金は自分が稼いでくるから」と言うと、「みんなが頭を使わなくても売れるくらいいいプロダクトをつくるから見とけよ」と言われたりします(笑)。
そういうちょっと熱苦しいようなコミュニケーションがよくあって。タッグを組むことが大事で、そこに難しさも面白さもあると思います。

志村:本当に1,200人いるんですよね?(笑)
敢えて熱苦しいと言いますが、その熱苦しさは今のSmartHRのフェーズでも必要なんでしょうか?

久永:1,200人いるからこそ熱くなったほうが楽しいと思っていて。正直、波風を立てずうまくやることもできると思います。でも敢えて熱く、情熱を持ってやっていきたい。プリセールスの存在によって変化を促して熱さを伝播させたいと思っています。

志村:いいですね。仕事の難しさについて、圓岡さんはどうですか?

圓岡:LayerXは現在330名ほどで、プリセールスは正社員2名と業務委託1名の体制です。その人数で実はSMBのセールスの支援もやっていて。すべての営業活動に同席したいけれど、それはできない。プリセールスの業務スキルやIT知識をどう伝えて、どう提案に活かしてもらうかは日々考えながら難しいと感じます。

志村:プリセールスはどの会社でもリソースが限られ全商談にアサインすることは難しいですよね。どういった条件でアサインしていくかはマネジメントのテーマでもありますね。

3. プリセールスを経験することで広がるキャリアとは

(スライド)3.プリセールスを経験することで広がるキャリアとは
・プリセールスを経験することで磨けるスキル
・プリセールスを経験することで広がるキャリアの可能性
当日のスライドより抜粋(テーマ3)

志村:最後のテーマです。プリセールスを経験することで磨けるスキルについて、久永さんいかがですか?

久永:大事なのはプリセールスを経験することで本人が何を成し遂げたいかで、それによって磨けるスキルは本当にさまざまだと思っています。

SmartHRに入社して、仕事とは自分から能動的に何かを解決するための主体的な営みだと考えるようになりました。僕は商談などの場で、どこか瞳の輝きを失っているような人を見ると「SmartHRを導入することで輝かせたい。そこに伴走できる人間でありたい」と思うんです。導入してよかったと思ってもらえるよう、自分ごとで捉えて行動すればスキルは自ずとついてくると思います。

志村:特定のスキルではなく、解決したい課題や自分の意志によってさまざまなスキルを磨けるということですね。圓岡さんはどうですか?

圓岡:私も「これ」というものはなく、自由にその人が選択していいと思っています。プリセールスをする中で、ドメイン知識やIT知識はもちろん求められますが、すべてが始めから揃っていることはありません。まずは自分の得意を発揮し、必要に応じて磨いていけるといいと思います。プリセールスは仕事の中でさまざまな職種と協働するので、磨くスキルを見つけて選択することにおいて自由度が高いと考えています。

志村:さまざまな知識が求められるという話が出ましたが、プリセールスには営業マインドが強いタイプと技術に強いタイプがいると思います。今日はマネジメントの話ではありませんが、いろんなタイプのプリセールスがいるとよりよいチームになれるし、バランスを見てアサインしていくのはプリセールスのマネジメントの仕事でもありますね。

お二人は、今後のキャリアについてはどう考えていますか?

久永:私は逆算してキャリアを考えることは得意ではなくて(笑)。今やっていることを突き詰めていき、その先に広がりがあるような働き方は理想だと思っています。

圓岡さんがおっしゃったように、プリセールスはいろんな人と関わることができるので「この仕事、面白そうだな」と思えるきっかけもたくさんあります。実際、SmartHRのプリセールスの立ち上げメンバー3人のキャリアもそれぞれです。ひとりはプリセールスとして活躍を続けていて、僕はプロダクトに特化したセールスの立ち上げに携わり、もうひとりはPMMとしてプロダクトを企画する側に転向しています。3人ともプリセールスでの経験や学びを活かして今のキャリアがあると思いますね。

圓岡:この1年を振り返ると営業活動から市場の探索までいろいろな経験ができました。その中でやはり、営業やカスタマーサクセス、エンジニアなど幅広い職種と密接に関わることができたのはプリセールスならではですね。キャリアの可能性はすごく広がると思います。

志村:私の同僚もいろんなキャリアを歩んでいますね。プリセールスのエキスパートとして活躍する人もいれば、マネージャーをしている人もいますし、プロダクト組織のヘッドになった人もいます。私自身も営業に転向し、現在CROを務めていますし、プリセールスを経験したことでキャリアの選択肢が広がりましたね。プリセールス、おすすめです。

では、そろそろお時間なのでパネルディスカッションを終了しようと思います。本日はありがとうございました!

おわりに

今後ますます存在感を増すであろう「プリセールス」について、さまざまな目線で紐解く充実したイベントとなりました。ご参加いただいた皆さまにとっても実りある時間になっていたら幸いです。

モデレーターを務めてくださった志村さん、ご一緒させていただいたLayerXさん、改めてありがとうございました!

プリセールスやLayerX、SmartHRの仕事にご興味をもってくださった方は、その他の記事や採用情報もぜひご覧ください!