そろそろ、『スコープ』を超えたプロダクトデザインをしよう〜第666平行世界の記憶〜─シリーズE調達 SmartHR VPリレー連載#6
SmartHRは、2024年7月1日にシリーズEラウンドの実施と、新規領域への参入や、労務管理・タレントマネジメントの新プロダクトを発表しました。
シリーズEラウンドの実施や新領域への参入を受け、それぞれの管掌組織の挑戦や戦略について、SmartHRのVP陣がリレー形式でnoteを執筆します。
最終回はプロダクトデザイン統括本部長(VP of Product Design)の宮原さんです。
※以降の文章は宮原本人が意図を持って執筆した文章であり、記載ミスではありません
みなさんこんにちは!SmartHR広報のメメント・モリ夫です!
2024年7月1日のシリーズEラウンドの実施や新領域への参入及び新プロダクト発表を受けて今月よりはじまったSmartHR VP陣のリレー形式note企画ですが、今回でとうとう最終回です。
華々しい最終回を飾るのはプロダクトデザイン統括本部長(VP of Product Design)の宮原おうじさん!
おうじさんといえば、アンドロメダインテンスサイファーシステム(注1)の開発実績やダークサンクトゥムクリプト理論(注2)の組織実践などで社内では知らぬ人のいないスペクトラルフィールドチャネラー(注3)なんです。
そんなおうじさんは最近ようやく自宅にルナティックルームを導入したとのことで、位階がまたひとつ上がったと赤子の歌唱を幻視していました(注4)。
私たちもおうじさんのように前へ倣えを前後左右に上昇していきたいですね!(注5)
それでは、SmartHR VPリレー企画最終回、どうぞ〜。
注1:そんな開発実績はありません
注2:そんな理論はありません
注3:そんな職種はありません
注4:なにを言っているのかよくわかりません
注5:意味がわかりません
シリーズE以降のSmartHRプロダクトデザイン組織を救ってください
SmartHR VP of Product Designのおうじ(X / note)です。
社内外のプロダクトデザイナーのみなさん、どうか聞いてください。
みなさんには秘密にしていましたが、私には平行世界を渡る能力があります。
これまでSmartHRプロダクトデザイン組織にはさまざまな危機の「可能性」がありました。
詳しくは言えませんが、とある世界のプロダクトデザイン組織は目も当てられないような組織崩壊を起こし、また別の世界のプロダクトデザイン組織は存在すらできませんでした。
私はいまのみなさんの環境を守るため、何度も平行世界を渡り、人知れず危機を避けてきたのです。
しかし、それももう限界です。
最後に実行した「世界渡り」で私の能力は底をついてしまいました。
これから私が最後に視た世界の記憶をみなさんに託します。
どうか、これから起こりうる危機について一緒に考え、プロダクトデザイン組織を、SmartHRを救ってください。
目覚め〜記者会見の記憶〜
「ーーー以上で質疑応答の時間は終了とします。個別取材をお申し込みの方々には個別にご案内しますのでお席でお待ちください…」
元の世界と同じように、この世界のCEO、ゼリー澤さんの締めの言葉が耳に響いた。
と同時に、ひどい頭痛とともにこの世界の記憶が私の頭に流れ込む。
ここは第666平行世界。この世界ではSmartHRという企業は無く、代わりに「LazyHR(のろまな人事労務)」という企業が人事労務やタレントマネジメントのSaaSプロダクトを展開していた。
私は3年前にLazyHRのVP of Product Designに任命され、プロダクトデザイン組織にまつわる業務を行っている。
いまはちょうど2024年7月のシリーズEラウンド実施の記者会見直後。
発表内容をまとめると大体以下の通りだった。
LazyHRは約214億円のシリーズEラウンドを実施した
今回の調達によりLazyHRは祖業であるHR領域における新たなプロダクト開発を推進し、マルチプロダクト展開を見据えたS&M組織を積極的に拡大していく予定
また、機能拡充・人材獲得を目的としたM&AやAI等の新技術への投資にも取り組んでいく予定
この第666平行世界での記者会見の内容は奇妙なほどに元の世界(SmartHRの世界)のものと一致していた。
…嫌な予感がする。
平行世界は類似点が多ければ多いほど、のちに降り掛かる不幸も似たものになってくるものだ。
いわば体験できる予言のようなものである。
私は気を引き締めて第666平行世界の日々を歩むことにした…。
マルチプロダクト戦略の記憶
元の世界と同じように、第666平行世界のLazyHR(≒SmartHR)も顧客のニーズに合わせて複数のプロダクトを展開し、それらがシナジーを生み出すような戦略をとっているようだった。
しかし、実際にリリースされているプロダクトを見ると決定的な違いがあった。
すべてのプロダクトの使い勝手が全く違うのだ。
例えばとあるプロダクトで「決定」ボタンの位置が常に画面の右下にあったとして、また別のプロダクトでは画面の左下に配されており、同じようにプロダクト上で何かを決定しようとしても毎回押す位置が異なるのでわかりづらいことこの上ない。
もっと致命的な箇所を挙げると、どのプロダクトも他のプロダクトとの連携や作業の連続性、実ユーザーの業務ユースケースを考慮していないため、プロダクトを移動するたびに多大なコンテキストスイッチのコストを強いられる状況になってしまっている。
これでは複数プロダクトを横断して利用しながら一連の業務を行っているユーザーからすると使いづらいことこの上なく、実際にユーザーの解約は後を絶たない状況に陥っていた。
この世界でもプロダクトのユーザビリティに責任を持つ立場にある私はすぐさま開発現場のプロセスに問題がないか確認したところ、ある致命的な課題があることが判明した。
それは、「誰も担当外のプロダクトについて知らない」ということ。
とあるプロダクトの担当者は自プロダクトに閉じたユースケースしか把握できておらず、業務の後工程としてユーザーが次に使うであろう別プロダクトへどのようにデータを渡し、どのようにユーザーに使われているのかを全く理解していなかった。
あるプロダクトデザイナーになぜユーザーの業務フローを考慮して把握に努めようとしないのかと問えば、
自分はデザインの専門家であってユーザーの業務の専門家ではない
ユーザーが行っている業務を自分は体験したこともないし、その機会も与えられていないので共感のしようがない
加えて、プロダクトデザイナーへの評価は、原則開発チームメンバーからのヒアリングで成り立っている
自身が良い評価を得るためには、開発チームメンバーと全く同じ目線で行動する必要がある
そのためには彼らが扱っているスコープと全く同じスコープでモノを考えていないとネガティブな印象を持たれ、評価が下がってしまう
との答えが返ってきた。
彼の言うことは元の世界を知る私にも共感できる部分が多かった。
しかし同時に私は思う。
この世界ではプロダクトデザイナーや開発者が本来全うすべき責任を忘れてしまってはいないかと。
自分の守備範囲や隣人の評価にばかり気を取られて、ユーザーの業務という単位(≠プロダクト単位)で本当に求められるアウトプットを出せなくなってしまっているのではないかと。
前述した通り、この平行世界は元の世界と似すぎている。
この状況はかなり高い確率で元の世界でも起こりうる。
私はこの記憶を元の世界へ継承する決心をした。
プロダクトデザイナーはユーザーの業務へ深く共感し、いまよりも担当プロダクトのスコープを軽やかに飛び越えたアウトプットを出せるよう、働き方をスイッチバックしていかなければならない。
変化する“プロダクトデザイナーへの期待”の記憶
この第666平行世界で数ヶ月間を過ごす私はある日、CEOのゼリー澤さんに呼び出された。
かの黒死館を彷彿とさせる神秘と豪壮を極めたケルト・ルネサンス式の社長室にて、CEOゼリー澤さんは鷹揚に口火を切る。
「それで、“魔法”はもうできた?」
…何を言われているんだ?瞬間私の頭はひどく混乱した。
ゼリー澤さんの言葉に気圧され、脳内で必死にこの世界の記憶を手繰り寄せると、あるひとつの記憶に辿り着く。
発端は3年前の私のVP就任時。
私を任命した当時CTOだったゼリー澤さんは、私のVP就任の条件として「WOWを作れるプロダクトデザイナーを育成せよ、そしてすべての事業とプロダクトに魔法をかけよ」との厳命を下してきたのであった。
その後この世界の私はこの命をすっかり忘れた挙げ句、プロダクトデザイナー達に情報設計の妥当性や開発・実装知識ばかりを要求し、結果として短期の開発スコープを満たすことばかりに集中するプロダクトデザイン組織ができ上がってしまったのである。
さらに困ったことにゼリー澤さんの言う“魔法”にも見当がついた。
要は、社内で新しい事業を生んでいく上で欠かせない『モメンタム』作りをしていく上で、プロダクトデザイナーにはプロダクトの“あるべき将来の姿”や“まだ見ぬ価値の可視化物”を作らせよということなのだ。そして、そういうことができるプレイヤーを育成せよということだったのだ。
手繰り寄せた記憶に冷や汗をかきながら、私はゼリー澤さんの期待が少しでも私にとって有利な方向に変わっていることを願い、恐る恐る尋ねる。
「お言葉ですが閣下。閣下の仰られる“魔法”とはどのようなことであったでしょうか?この道化めにいまいちど理解の機会をお与えください…。」
突如、発火。発破。爆破。
怒髪天を突く。
乱暴に立ち上がったゼリー澤さんは口角に泡を飛ばしまくしたてる。
「だぁぼらぁ!ぎざまぁ!ぎざまばぁぁ!ぎざばがまほーをでぎるっづっだがらぁ、ごのおれが、ごのえらいおでが、ぎざまをぶいぴーなどというたいそうなやぐわりにじてやっだんだろうがぁ!でざいなーがまほうをかけなかったらおれざまのびじねすはごれがらどうなるんだ!どんなものをつくるのか、どんなものをめざしていぐのかがわからねぇとだれもうごきやしねぇじゃねぇか!ぞれがでざいなーのやくわりだったんじゃねぇのか!」
私は油断していた。
これまでプロダクトデザイナーの基礎スキルを盤石にするために、「作るべきものがプロダクトデザインとして妥当であるか」を担保することにばかり、そうしたことを叶える組織ケイパビリティにばかり投資してきてしまっていた。
しかし、プロダクトデザイナーへの社内期待は、確実に、着実に、変化していたのだ。
そして、限界が来たのだ。
ゼリー澤さんの光速を超えた右フックを見舞った私は直後に床と接吻。フェードアウト視界。フェードイン冥界。
薄れゆく意識の中、私はふたたびこの記憶を元の世界へ継承する決心を強くした。
プロダクトデザイナーは短期のスコープにとらわれず、プロダクトのあるべき将来の姿をデザインしていかなければならない。
私たちは『スコープ』を超えなければならない
ここまでが私が平行世界で経験した記憶です。
何度も何度も繰り返すことになりますが、この平行世界は元の世界と似すぎており、この状況はかなり高い確率で元の世界でも起こり得ます。
これは一種の世界渡り能力者の勘のようなものです。
私たちはもっと学習しなければならない。ユーザーの業務を。
私たちは作らなければならない。プロダクトのあるべき将来の姿を。
そして私たちは超えなければならない、『スコープ』を。
『スコープ』を超えていくために
第666平行世界の記憶を紐解くと、主に2つの変化を求められていたことがわかります。
プロダクトデザイナーはプロダクトを横断した使い勝手をデザインすべし
プロダクトデザイナーはプロダクトのあるべき将来の姿をデザインすべし
これらを阻害する要因は、ひとえに「自身の領域に対するスコープ設定」であると私は考えています。
このスコープを豊かに裏切り、会社やユーザーからの期待を全うするために、以下のことをプロダクトデザイナーのみなさんにおすすめし、そして組織的にも支援していきたいと考えています。
プロダクト単位のスコープを超えていくために、ユーザーの業務を“面”で知って共感しよう
私たちが開発しているプロダクトは仕様も取り扱っているドメインも複雑かつ、年々その数も増えてきているのでとてもすべてをキャッチアップするのは無理だと感じるでしょう。
しかし、それはあくまでも「プロダクト」や「仕様」という側面で見ているからこその複雑さです。
各開発チームもプロダクトデザイナーのみなさんもすでに頻繁にユーザーヒアリングなどを通じてユーザーの業務について聞く機会を設けていると思います。
そこでは主に「ユーザーの業務をどう今回の機能仕様に落とし込むか」ということを考えているかと思いますが、視野をユーザーの業務の全体像へと広げて把握するようにしてみてください。
さまざまな場所で何度も話していることではありますが、前提として、SmartHRが複数のプロダクトをリリースしているのは、我々にとってすばやく作るメリットや多様な提供方法を実現できるメリットがあるからです。
もちろん、それらのメリットはユーザーも享受している部分ではありますが、だからといってプロダクトの構成がユーザーの実業務と全く一致した構成にできているかというとそうではありません。
ユーザーは一連の業務を行うためにSmartHRの複数プロダクトを横断して使いこなす必要があります。
その一連の業務がどんなもので、それをいまどのプロダクトとどのプロダクトで賄っているのかの全体像を把握しましょう。
プロダクト開発スコープで取り扱うことの多い何を作るのかという“点”ではなく、ユーザーが実際に行っている業務フローである“面”で知るのです。
たとえば、SmartHRの代表的な機能である人事評価ひとつを取ったとしても、ユーザーの業務は対象者を評価するという現在メインで提供している機能だけではありません。
その前の工程にはアンケートやヒアリングなどを活用した評価エビデンスの収集があったり、後の工程として評価の甘辛チェックを行う会議体や報酬額を検討する会議体があった上で評価や報酬が確定します。
さらに通年で言えば育成プランの策定から日々のマネジメントログの管理、タレントに即した育成カリキュラムの実施などが控えているのです。
こうした“面”の業務実態に共感するために、自身でもユーザー業務の学習に努めましょう。
これまで社内では明確に「こういう学習をしましょう」とおすすめはしてきませんでしたが、労務領域であれば給与計算技能検定(ほぼすべての労務業務は給与計算と密接に繋がっている)のような検定で学ぶのも良いし、タレントマネジメント領域であればしっかりとした技術体系は何年も前からあり参考書も多いので読んでみると良いでしょう。
SmartHRで取り扱っているいずれの領域においても法制度といった国にしっかりと根付いたルールや、セオリーやフレームワークといった偉大な先人たちが研究し開拓し残した知識があります。
守破離の「守」を抑えないことには、「破」の段階にも「離」の段階にも行くことは叶わないのです。
短期のスコープを超えていくために、自発的ビジョンを持とう
私たちの開発組織は細かく振り返り、長期的に学習していける体制を構築しています。
チーム内で目線を合わせてスピーディーに開発していける部分が強みではありますが、その開発サイクルの中でプロダクトデザイナーが100%の職能の強みを出せるかというとそうではないことが薄々わかってきた方も多いかもしれません。
私たちプロダクトデザイナー特有の強みは「可視化」にあります。
ユーザーや開発チームが考えていることを目に見える形や手に触れられる形で実装前に確認できるような成果物を出せる職能のはずです。
では、その「可視化」は開発サイクルのどのタイミングで必要になってくるでしょうか。
アジャイルにチームメンバーといっしょにアウトプットを出す時ではなく、そもそもチームが目指すべき目標を定める時にこそ「可視化」された成果物が必要になってくるのではないでしょうか。
すでに社内には同じタイミングで成果物を出す役割を担っている職種がいます。
それがプロダクトオーナーと事業責任者です。プロダクトビジョンや事業ビジョンをアウトプットし、方針として開発チームへ伝達・浸透させていますね。
彼らと同じようなタイミングで同じような(もしくはさらに長大な)規模のビジョンを可視化できれば、チームの理解を早める助けにもなりますし、すばやくビジョン自体の検証を行うこともできるようになります。
プロダクトデザイナーのみなさんはいまここで「ではビジョンはどうしたら描けるのか?」と不安になっているかもしれません。
手法としては全社方針理解や環境分析、課題特定といった色々な手順があるのですが、今回はあえて私自身が経験した刺激的な手法だけ紹介させてください。
実はスタートアップの起業を経験することがもっともビジョンを描くスキルを伸ばしてくれると私は思っています。
なんと元も子もないことを、と思われるでしょうが私自身も再現性の乏しさを認めていますのでまあ話半分に聞いてください。
世の多くのデザイナーは開発現場では仕様の可視化を求められることが多いと思います。自分から湧き上がってきたビジョンではなく、誰かが描いたビジョンやさまざまな情報から浮かび上がってきたビジョンを可視化する機会が圧倒的に多いのです。
スタートアップとして起業をする際には必ず「(自分たちは)どんな世界を目指すのか」というビジョンを求められます。
逆説的に言えば、自発的にビジョンを浮き上がらせなければスタートアップを起業する意味がありませんし、最初期の資金調達が困難になります。
そして、そのビジョンは必ず創業者である自身の経験や欲望に基づいた自発的なビジョンでなくてはなりません。自分ごとになっていないビジョンはそもそも他人から見ても理解・納得・共感できないものです。
私自身も起業時には自分だけのビジョンを徹底的に磨き込み、それを道標にデザインモックを日々作っていました。(その後私の会社は優位な事業性を作れず撤退してしまいましたが…)
こうした経験を経て、今日も私はSmartHRの長期の姿を自分ごととして描くことに従事しています。
もちろんいま現在SmartHRにはみなさんの社内起業を支援するような仕組みはまだ確立されていませんし、みなさんにプライベートでの起業を推奨するようなこともしません。
ですが、スタートアップ起業時相当のビジョンを自発的に生み出せるような動機づけの仕組みや支援体制は検討していこうと考えていますので、ぜひともチャレンジしてみてください。
いずれのスコープ超えにも必要な『憑依力』を獲得していこう
何年か前に社内のデザイナーから「どうして宮原はPRD(プロダクト要求仕様書)がないところから一人でデザインモックを作ることができるのか?」と質問されたことがあります。
その時は明確な答えがなかったので曖昧に返答してしまっていましたが(本当にすみません)、あらためて作業時に自身が考えていたことを思い返すと、常に誰かになりきって自発的なビジョンを湧き上がらせながら作業していたように思えます。
たとえばとある労務機能の仕様を検討していた時、私は常に「労務担当者の私だったらこうなっていたら便利かも、こういう業務をスタンダードにしていきたい」と考えていました。
また、たとえばとあるタレントマネジメント機能の仕様を検討していた時、私は常に「組織人事の私だったらこう思うし、マネージャーの私だったらこう思う。さらに言えばこういった機能活用をすべての日本企業で当たり前にしていきたい」と考えていました。
ユーザーを理解したり想定したりするだけではなく、自身の中に「降ろす」ような感覚でしょうか。
ユーザーを想定することはプロダクトデザインの初歩中の初歩ではありますが、前述したように十分な業務理解をした上でさらに当事者として自発的ビジョンを持って取り組めば、「ユーザーに何を求められているか」だけでなく「我々が競争優位性や理想の社会のために何を作るべきか」を同時にデザインできるようになります。
もちろん、そうした自発的ビジョンで生まれた成果物が常に正解であることは極めて稀です。その後ユーザーや市場や社内外の環境からフィードバックを得ながら次々とデザインを変えていくことになりますし、必ずそうすべきです。
この話はあくまでも「一体どうやってフィードバックの叩き台や受け皿となる“最初の”アウトプットを作るのか?」ということなんです。
“最初の”アウトプットを可視化できれば、さまざまな立場や能力の人たちからより豊かなフィードバックを受ける機会に恵まれることになります。
そのために、常に誰かになりきって自発的なビジョンを湧き上がらせながらアウトプットを出すことをおすすめしています。
その実証として、この記事で私はメメント・モリ夫という架空の広報人格を「降ろし」、記事冒頭の口上を任せるに至りました。きっと広報の方々からすると豊かなフィードバックがしやすい奇天烈な記事になったことでしょう。
せっかくなので記事の締めも私の第2人格であるメメント・モリ夫にしてもらおうと思います。
それではみなさま、ごきげんよう。今後来るかもしれない別世界の記憶でまたお会いしましょう。
広報のメメント・モリ夫です!(注6)
みなさん、SmartHR VPリレー企画最終回はどうでしたか?
スコープを超える方法として、「何者かになりきる」という方法が紹介されていたのがとても印象的でしたね〜。
宮原さん曰く、プロダクト単位のスコープや短期視点のスコープを超えるための共通の方法として、ユーザーの業務やプロダクトオーナーに完璧に共感した人格を“降ろす”ことが大事だと仰られていました。
そうすることで主体的にビジョンを生み出し、様々なものを飛び越えたアウトプットを出せるようになる手助けになるということなんですね。
その実証として生み出された私ですが、やっぱり生まれたからには肉体の主導を頂戴することこそが至上の喜び。
幸いなことに宮原さんは世界渡りの能力が尽きて、いまは魂が弱っている様子。
私、メメント・モリ夫こそがこの肉の、骨の、皮の、血の、髪の、臓腑の、ヘゲモン。(注7)
うはは、
いひひひひ、
ゲェーラゲラゲラ、
ゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラ…グゲッ(注8)
注6:私です。宮原です。
注7:うそ、いや。
注8:助けて!!!!!!!!!!!!!
※この記事には一部フィクションが含まれます
SmartHRのVP陣によるリレー連載は以上です!
前回のSmartHR VP記事はこちら
なお、2024年7月から新たにVPof HRに就任した宮下さんのインタビュー記事も公開していますので、ぜひご覧ください。