見出し画像

「データから戦略を立てる」SmartHRマーケのデータアナリストの働き方

”データアナリスト”と聞くとデータ分析によって示唆を出す業務のイメージがあるかもしれませんが、SmartHRマーケティンググループの堀井さんは「そこから一歩踏み込んで、”データを使い戦略を立てる”ポジションです」と話します。会社ごとに所属組織や業務内容が異なるデータアナリスト職について、SmartHRマーケティンググループの堀井(@horry)さん、岡田(@okada)さんのお二人に聞きました。
社員数が急増し、間も無く1,000人となるSmartHRで、「今」データアナリストとして働く魅力について、教えてください。


社内の大量のデータを使い、事業貢献に繋がる取り組みを

ーーまず、@horryさん、@okadaさんのお二人が所属している組織について教えてください。

horry:SmartHRでは、マーケティンググループ(以下、マーケG)のメンバーが約80名、その中にマーケティングアナリティクスユニット、通称「マケアナ」があり、私と@okadaさん含め6名が所属しています。

マーケティング(以下、マーケ)活動には、認知・好感から、興味・関心、比較検討、導入、その後の活用フェーズがありますが、SmartHRではユニットと呼ばれる4〜5名ほどの組織が各フェーズを担当しており、その活動によって、社内には多種多様の大量なデータが蓄積されるので、マケアナはそれらを集約しまず整備を行います。

これらのデータをマーケG全体の何かしらの意思決定に活用する他、事業貢献に繋がる取り組みを見つけ実行することがマケアナには求められています。また、データを活用した様々な判断を能動的に行えるように、マケアナ以外のメンバーへの支援も行っています。

正面を向いて話す男性の写真。
【堀井 剛さん(@horry)】株式会社SmartHR マーケティンググループ所属。
メガベンチャーでメルマガ配信、キャンペーン開催などマーケターとして活動、またデータ基盤の構築、 BI ツールの導入、モニタリング、データ分析などを通じて組織へデータ活用を推進する取り組みを経て、2021年7月にSmartHRのマーケティング組織にデータアナリストとして入社。

ーー@okadaさんはご入社されて3か月が経過しましたが、日頃どのような業務を担当していますか?

okada:大きく2つあります。1つ目は、マーケの1対nのコミュニケーションを実現するためのプロセス整備です。SmartHRは祖業の人事・労務領域から始まり、現在はタレントマネジメント領域でもサービスを展開しています。そこで、プロダクトを通してお客さまにサクセスいただいた後、ニーズに合ったアップセル(※1)・クロスセル(※2)による更なるサクセスが重要だと考えています。そういった場面でのKPI設計やデータ活用がしやすいように、ダッシュボードを整備し、常にみんなが同じデータを見られる状態を作っています。

2つ目は、マーケの予算策定です。これは入社前から特にやりたかったことでもあるんですが、これに関わると、事業を伸ばすためのドライバーがどこにあるかを把握しやすいと思っています。予算を通して組織を俯瞰することで、インパクトが大きい部分が見えてくるんですね。

左を向いて座って話しをする男性の写真。
【岡田 崇嗣さん(@okada)】株式会社SmartHR マーケティンググループ所属。
MBA取得を機に化学業界からIT業界に転身し、Webディレクターや新規事業の立ち上げを経験。その後、freee株式会社でデータアナリストとして、機械学習を用いた分析業務などを行い、2023年8月にSmartHRに入社。入社からマーケGの予算策定やデータ分析に携わる。

horry:予算策定を担当しているデータアナリストは、もしかしたらあまり多くないかもしれません。SmartHRの特徴の一つだと思いますね。

okada:私も前職では予算策定に関わっていませんでしたが、データアナリストが関わることで経営や事業に近い情報を知れるので、これはSmartHRで働くメリットの1つかもしれません。

ーーマケアナでは、予算策定のようにメンバーごとの業務の担当が明確に決まっているのでしょうか?

horry:そうですね。@kewpieさんはデジタルマーケティングを、@lynnさんはテックタッチ(※3)プロジェクトとエクスパンション(※4)を担当されています。他には、マケアナのマネージャーである@genboさんがいます。

机を前にしてオレンジ色の椅子に座っている、正面を向いた男性の写真。
@horryさん

ーー@horryさんはプレイングマネージャーである「チーフ」を担当されていますね。日頃の業務内容を教えてください。

horry:メンバーの担当領域のアサインやアレンジをしつつ、下記を行っています。
1つ目は、データの見える化です。マーケGのKPIや、広告運用・メール配信といった施策の成果をすぐに確認できるよう、モニタリング環境を整えています。

2つ目は、テレビCMなどのマスマーケ施策を行うユニットと、コミュニケーション戦略を策定するユニットとの連携です。これはデータ分析での新しい取り組みだと感じていて、まだ試験段階ですが、SmartHRのブランド資産を獲得していくために、データを活用した定期的なモニタリングを始めています。

その他、データガバナンスプロジェクトがあります。データの活用には、データ基盤の整備と構築が必要ですが、今までは「最低限の品質」という状態。今後も長期的に安定した運用を行うために、プロジェクトオーナーの@lynnさんと共に議論しながら進めています。

※1 アップセル:顧客が購入した製品よりも上位の製品を提案し、購入いただくこと。
※2 クロスセル:顧客が購入しようとしている商品とは別の商品をご提案し、一緒に購入いただくこと。
※3 テックタッチ:人を介するサポートではなく、チャットやウェブなどのテクノロジーを活用しサービスの導入や活用を支援する取り組みのこと。
※4 エクスパンション:アップセル、クロスセルなどによって、顧客が製品の利用範囲を拡大すること。

データを広め浸透させていくことで、意識が変わる

ーーでは、SmartHRに入社して驚いたことはありますか?

okada:2つあります。1つ目は、データの定義などが想像以上に整っていること。データの整備が手付かずのところもまだありますが、ビジネスに必要なKPIを定義するロジックが昔からしっかりしていてブレがありません。「過去と現在で数字の定義が違うため比較ができない」といったことが無いので、データ分析が非常にやりやすいです。

2つ目は、自分では思い付かなかったようなアイデアをマーケGの他のメンバーに出してもらうなど、物事の考え方への新鮮な驚きです。SmartHRのマーケGは各領域の担当を細かく分けているからこそ、専門性の高さを感じますね。
例えば、これまではBtoBのコミュニティによる事業インパクトのイメージがあまり湧いていませんでした。しかし、SmartHRユーザー向けオンラインコミュニティ「PARK」の事業インパクトの大きさを説明してもらったことで、新しい発見がありましたし、分析テーマとしてもぜひ取り組みたいと思いました。

右を向いて話す男性の横顔の写真。
@okadaさん

ーー確かにSmartHRのマーケGは担当の細分化が進んでいると思いますが、ご入社間もない頃に各ユニットの情報を吸い上げる難しさは感じましたか?

okada:各ユニットが目的を明確に持っていて、かつ言語化しているので、疑問は抱きませんでした。また、入社から2週間が経過したタイミングで、様々なグループの計30名と1on1をさせてもらったことで、自社への解像度が上がったというのもあるかもしれません。マーケ・セールス・カスタマーサクセス・PM・PMMのメンバーに、現在の担当業務と、その中での課題感、データに対する期待をお聞きしました。

ーー30名との1on1の内容を社内ドキュメントで公開していて驚きました。1on1を「やってみよう」と思ったきっかけは何ですか?

okada:実は入社前から「1on1をやるぞ」と決めていました。きっかけとなったのは、前職で「okadaさんは自分の等級に見合ったインパクトの出し方をしていない」という厳しいフィードバックを受けたことです。事業をもっと見た方がいい、他人からの情報をキャッチアップした方がいいという内容だったので、転職を機にそこを変えたいと思いました。一次情報は重要だと思うので、1on1でそこを吸収したいと考えたんですね。

horry:確かに生の声は大事ですよね。入社2週間目の時点で、okadaさんのカレンダーが1on1でパンパンに埋まっていたのが印象的です(笑)。

左を向いて微笑む男性の写真。

ーーでは、今までの分析事例で特に印象的だったものを教えてください。

horry:2つご紹介します。1つ目は、お客さまの商談に至るまでの行動を分析した事例。具体的には、商談に繋がる関係性を築けたお客さまと、そうではなかったお客さまをわけた要因は何だったのかを分析しました。過去のデータを分析したところ、会社規模や地域・業種問わず、あるウェブ上での行動に違いが見つかったんですね。その閾値を商談までの先行指標として関係ユニットに伝え、施策実行時の活用に繋げました。

当時、このユニットの悩みとして「データはたくさん溜まっているが、どういった打ち手が良いか迷っている」印象がありました。そこで、「この指標を目指すと商談に繋がりやすいのでは」と提案したんですね。

そうしてファクトに基づいた統一の指標が生まれたことで、メンバーの目線が揃ったことが大きかったと思います。また、「その指標を達成するにはどうすべきか」という考え方や行動に変えられたことも意義があったと感じました。

ーー意識が揃い、目指す指標も見えたことは成果が大きそうですね。2つ目の事例も教えてください。

horry:もう1つは、マーケ活動の効果の分析です。SmartHRのマーケGは組織が大きく専門性もスキルも高いメンバーが多いです。そのため、他社と比べて投資額もかなり高い水準だと思います。
これまでは、サービスと組織が急成長していることもあり、費用対効果を分析しきれていない部分がありました。そこで、「これまでのおおよその効果を知りたい」というオーダーもあり分析を行いました。結果、取得できないデータがあったり、複数の要因が複雑に絡み合ったりと、精度の高い検証はできませんでした。
しかし、見えてきたデータをマーケGに発表したことで、グループ全体のコストに対する意識の植え付けの第一歩ができたと思っています。「お金は自由に使えるわけではなく、見合った成果が重要」という意識ですね。

ーー実は、データアナリスト職の方が初めてマーケGに入られたとき、データを分析するだけでなく、データを元に「こちらに進むといいよ」と示してくれると知って驚きました。

horry:そうですね。データ分析とその先の活用がセットである必要があると思っていて。成果の発表だけで終わると、受け手側はその後どうすれば良いかがわからない。そのため、分析を始める前に「何をしたいからこういう分析をする」という認識を揃える必要があると思っています。

あとは、「データアナリスト」という名前が適しているのかどうかはよく考えますね。”アナリスト”というと”分析する人”というイメージがありますが、データの整備やデータを使ったプランニング、戦略を立てる意識も持つべきポジションだと思います。

左がを向いている男性の写真。後ろには壁に付いたホワイトボードが写っている。

okada:データアナリストを「データリテラシーの高い企画屋さん」と表現することもありますが、「分析して終わり」ではなくデータを使った施策検討までが必要だと思っています。

1つ印象的だったのは、「PV10(ピーブイテン)」という指標です。これは、以前@horryさんがデータ分析を元に作った指標で、見込み顧客がどれくらい商談してくれやすそうかを表したものです。データを分析して「〇〇を進めると良いと思います」と伝えるだけでなく、キャッチーなフレーズを作ったことで、みんな合言葉のように口にするようになった。
グループ内でのマーケ活動とも言えるかもしれませんが、データアナリストもアウトプットを広めて浸透させていくことが大事だと考えており、私もこれからそういうことをやっていきたいです。

ーーデータ組織がもたらした成果や生まれつつある効果は、他にもありますか?

horry:先ほど@okadaさんが「データが整備されている環境だ」とお話しされていましたが、まさしく、そこの取り組みはずっと行ってきました。モニタリング環境を全体で整備したことで、誰でも揃った定義でデータを見られるようになった。こうして口にすると、当たり前のことのように聞こえるかもしれませんが、とても重要なことですね。

それまでは、色々なツールと様々な定義があったため、見る人によって結果が違うことがあったんです。そうすると、「数字がおかしいので調べてください」といった、問い合わせをする側・答える側双方のコミュニケーションコストが発生してしまう。これは現在は大きく解消されており、自分たちの施策に集中できるようになっているので、これもデータ組織による成果の一つだと思います。

また、私が入社した2021年当時は、マーケGのデータアナリストは3人でしたが、現在は6人。人数が増えたことで進出できる領域が広がっていて、実際に@okadaさんにはエクスパンション・テックタッチ・コミュニティといった領域での可能性を探るところを始めていただいています。

非常に早く成長する組織の中で、複数プロダクトのデータを分析できるのが魅力

ーーでは、@okadaさんがSmartHRに入社した理由を教えてください。

okada:先ほどお話しした”前職でのフィードバック”を受けて、データアナリストとしてはやはり、事業にインパクトを出す動き方をしたいという思いが強くありました。
では、事業インパクトとは何かを考えると、ホームラン級の大きな成果を出す施策ももちろん大切ですが、それだけではなくて。組織の考え方を変える、行動に変化をもたらす、そういった活動がデータアナリストには求められると思っています。

SmartHRを選んだ理由は、面談を重ねる中でそういう動きを期待されていることを感じたことが一つ。もう一つが、マネージャーの@genboさんとお話しすることで、課題意識や解決のための方向性が合致すると感じたからです。

また、社内の情報が本当にオープンで情報共有も活発なことも魅力だと感じていました。これは入社後さらに実感していることですが、入社間もない私の意見も聞いてもらえる雰囲気があって、建設的に議論できるチームだと感じています。

左側を向いて座り、笑いながら胸の前に両手をあげている男性の写真。

ーー実際にご入社されてみて「良いな」と感じた点はありますか?

okada:先ほどのお話同様に、情報をオープンにする文化や「早いほうがカッコイイ」というバリューが浸透しているところです。個人の考えの背景と行動が小まめに共有されるので、いい意味でサプライズが無いんですよね。また、結果を待つだけではなく、初期の段階から話し合えることでフィードバックのループも回しやすい。働きやすいと思いますね。

技術面では、データの定義が割と整っていることで、分析のイシュー検討や、分析内容の検討に集中できるところです。これはデータアナリストとしてとてもありがたい部分ですね。

ーーSmartHRのマーケGで今、データアナリストとして働く魅力は何でしょうか?

horry:SmartHRは、組織の意思決定のスピードや事業成長スピードも非常に早い。これに比例して、今後経営から求められるオーダーも種類や数が増えていくと思います。また、マーケGとしてやるべきことも変わったり増えたりしていくでしょうし、スピードがさらに早くなるかもしれない。このダイナミックさを感じながら課題に取り組むのは、とてもチャレンジングです。色々なものが揃った環境で緻密にデータを分析していくデータアナリスト職もあると思いますが、この環境はSmartHRならではだと思います。

また、1つのプロダクトだとできることが限られますが、様々なプロダクトがあるので、「どう分析していくか」「データをどう活用していくか」の選択肢も増えていきます。そういった、多種多様なデータ分析に取り掛かれる環境が揃っていることをお伝えしたいですね。

これからはデータで組織を繋いでいきたい

ーーこれからSmartHRでやっていきたいことを聞かせください。

okada:繰り返しお話ししていますが、やはりデータ活用で事業インパクトを出していきたいと思っています。1つ具体的なところだとマルチプロダクト化を推進する中で、各組織をデータで繋げるところですね。連携しないとできなかった取り組みによって大きなインパクトが出せると思っているので、そこをデータの観点から推進していきたい。
そういえば、最近「データは共通言語なのでは」と思うことがあります。みんなで同じデータを見ることで方向性が揃い、組織も繋がる。組織を変える意味でデータ活用は、まだまだできることがありそうです。

もう1つは、まず成功事例を作って、それをチーム全体でコンスタントにできるように再現性を高めていきたいです。メンバーと成功事例や失敗事例をもとに議論し、データアナリストとしてインパクトの大きい動き方を体系化することができれば、データアナリストチームとしてのインパクトをスケールさせていけると思っています。

正面を向いて座り、右方向に顔を傾けながら笑う男性の写真。

ーー最後に、マケアナをどんな組織にしていきたいですか?

horry:データの環境が徐々に整ってきたと感じる一方で、まだできていないことも多いと思います。今まではマーケGの中だけで解決することが多くありましたが、これからはデータで組織を繋ぐことがもっと求められる。引き続き組織を大きくしていきながら、中期・長期と、マーケG内外という4象限でバランスよくデータ活用ができる体制にしていきたいです。


SmartHRでは、データアナリストとして一緒に働くメンバーを募集しています。@horryさん曰く、「自分の考えを明確に持ち、実際に行動して変えていきたいというマインドを強く持った方にご応募いただけると嬉しいです。また、そういう方には特に楽しく働いていただける環境だと思います」とのことです。

応募を検討する前に「まずは業務の詳細を聞きたい」「会社の雰囲気をもっと知りたい」という方は、カジュアル面談をご活用ください。

正面を向いて座り、談笑する男性2人の写真
左から順に、@okadaさん、@horryさん

また、@horryさん、@okadaさんのお二人がそれぞれnote記事を公開していますので、こちらもぜひご覧ください。


取材日:2023年11月8日

この記事が参加している募集

マーケティングの仕事