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文系受験生は、数学とどう向き合うべきか?その3

文系受験生とのやり取りを通して考えていくシリーズ。今回は3回目です。
前回はこちら。

高校3年生になると文系の受験生は、新しく習うことがなくなります。
そのため学校では、受験向けの参考書や問題集をやり始めます。
学校でよく使われているのが、『メジアン(受験編)』(数研出版)です。

この問題集、よくできていると思いますが、多くの文系受験生にとって、高いハードルになっていることが多いです。ほとんどが解けずに苦しむこ場合も珍しくありません。だからといって、やさしい問題集にダウングレードすると、入試に間に合わないリスクを伴います。なかなか悩ましい問題です。

ここで、アドバイスとして気を付けているのは、理系の常識をそのまま当てはめないようにすることです。

苦境にある文系受験生に言ってはいけないと心がけているのは、「暗記に頼るな」という言葉です。

私も安易な暗記は、よくないと思っています。
例えば、何か難しい問題に当たった時、文系受験生の中に、「あっ、これは暗記するやつですね」とサラッと言われることがあります。そのときは、さすがに暗記への警戒シグナルが心の中で鳴りますが、

一方で、解けない問題を解けるあてもなく、延々と考え続けることは、それ以上に問題です。

数学の先生は、自分の体験に即して、考えることの重要性と説くことと、暗記への過剰な否定的な考えを持っていることとが重なり、
文系受験生にも理系受験生同様に暗記へ否定的なメッセージを発しがちですい。それは、それで正しいことではあるのですが、

数学を苦手にしている受験生には、そのメッセージは、あまりいいことではないと思っています。

和田秀樹さんの存在を世に知らしめた『受験は要領 たとえば、数学は解かずに解答を暗記せよ』(ゴマブックス)は、「数学は解くべき」という常識を打ち破り、ベストセラーとなりました。

暗記でもよい(和田さんの主張は、単純な暗記ではありませんでしたが)というメッセージは、数学で悩む受験生への福音となったことは間違いありません。勉強法として、正しかったことは特筆されるべきだと思っています。

しかし、時代は過ぎ、数学の問題へのアプローチは、また元の木阿弥になった印象があります。

多くの文系受験生の悩みが「問題が解けない」ことにあります。テストや模試で解けないことに悩むのは当然かなと思いますが、普段の勉強でも解けないことに随分と心を痛めていることに気づきます。

数学が苦手な文系受験生には、「解けない」ことへの心理的な呪縛を解くことが大切だと思っています。

そのため、考えの筋道を理解しつつ、内容をインプットする練習を行っています。数回指導すると、自分でできるようになります。反復することで、さらに勉強の効率が上がってきます。

ここで意識しているのは、解答の筋道をきちんと追うということです。論理的な展開をしっかりと体得することが何より大事だからです。これを暗記と呼ぶかと言われれば暗記ではないでしょう。なので、意識して暗記とは呼ばないようにしています。

先日、受験生が問題をスラスラ解いていたので、その点に触れると、「これは前にやったから、難しくないです」と答えていました。

このように問題についての基盤ができると問題によっては、難しくなくなります。

ただ、ここでポイントなのは、問題のインプットさえすればいいのだというわけではないことです。

ここからが講師の出番なのだろうと思います。
その点については、別の機会に。

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