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全国紙の新聞社の未来について考えてみた【部数減少が、どこで止まるかで考察。危機感が新しいビジネスモデルを生む可能性にも期待】

新聞の部数減少が止まりません。

全国紙(読売、朝日、毎日、日経、産経)、ブロック紙(北海道、河北、中日、中国、西日本)、地方紙(いわゆる県紙)では事情が異なるのでしょうが、部数が減るデメリットは、スケールメリットのある全国紙のダメージが大きいので、変化は全国紙から表出するのではと思っています。

部数の現在地は↓のようです。

2024年6月度ABC部数
朝日新聞:3,391,003(-295,413)
毎日新聞:1,499,571(-185,983)
読売新聞:5,856,320(-480,369)
日経新聞:1,375,414(-192,767)
産経新聞:849,791(-109,818)

上記記事より

朝日新聞は、340万部を割り、読売新聞は、600万部を割っています。
雑に言えば、どの全国紙も1割程度の部数を落とすトレンドになっています。

では、全国紙の未来はどうなっていくのか考えることは考察するに値するテーマかなと思いました。今回はケース別に考えていければと思います。

注目点を、部数減少が、
(1)止まらない (2)どこかで止まる 
とシンプルにしたいと思います。

(1)止まらない
ゼロになることはないので、止まらないということはありえないものの、ビジネスとして成立しない数字まで減少すれば、そこでゲームオーバーなので、止まらないという可能性はあると考えます。

止まらないことを前提にすれば、その前に何かを手を打つ必要がありますが、やれることは限られます。その一つは、値上げでしょう。

購読している朝日新聞は、10月から福岡県での夕刊の取り扱いをやめたので、地方価格の月額4000円(税込み)となりました。

これを6000円くらいまでは値上げができるという考え方もありそうです。そうすると、高齢者を中心にかなりの離脱者を生むことが考えられますが、それでもやらざるを得ないという考え方はあるでしょう。

また、それでも残る読者いると思われますから、一気に値上げして、人為的に部数を減らし、底値を確定するというのはあるシナリオかなと思います。

(2)どこかで止まる
これは、今全国紙でとっている戦略に近いのかなと思います。じりじりと部数を減らしている現状に合わせて、「紙面のリストラ」は進んでいます。

朝日新聞西部本社版では、地方面の多くを企画記事にして、九州内での共通化を図っています。

今後の部数減少を見ながら、地方支局の統廃合→地方紙への記事作成委託→地方面の廃止→地方での新聞発行の停止・・・の順番で縮小させていくのかなと思います。

ただ、どこかで止まるのであれば、その時点での余力でできるビジネス展開をするという選択はありそうに思います。

その一つが、地方を切って、札幌市(+旭川市)、仙台市、首都圏、新潟市、静岡市・浜松市、愛知県、関西圏、岡山市、広島市、松山市、福岡市・北九州市をネットワークとする「自称」全国紙として、生き残るという戦略です。

もう一つが、紙に見切りをつけるというもの。これは割と多くの人が予想していることではありますが、個人的には、悲観的な見方かなと思っています。というのも、日本人は、ネットの情報はタダという価値観にあまりに慣れてしまった。
また、日経電子版が象徴しているように、コストは紙の方がかかっているのに、電子を安くしなかった「ツケ」は結構大きいと思うからです。

ネットのテキストジャーナルとして全国紙が模様替えできるかはかなりの危険な賭けになるのではと思っています。

あと、ウルトラCとしてありそうなのが、読売、朝日、毎日の連合によるサブスクリプション。月額制で3紙の記事が読めるという制度です。ウエブならではの売り方。
(1)三紙をフルに読めるコース
(2)軸となる新聞社は読み放題とし、他2紙は閲覧本数を制限するコース
(3)3紙の閲覧本数を制限するコース(記事の個別買い)
・・・など売り方も多様にできそうで、メリットはありそうです。

自分は、(2)のコースがあるといいなと思います。毎日新聞は有料記事を読みたいと思わせるものがおおいものの、月額課金は心理的なハードルが高いので、どうしてもというときは、毎日新聞のデジタルを購読している方にお願いしています。

まとめとして、個人的には、どこかで止まるというのは、楽観的な視点かなと感じます。希望的な観測でどこかで止まると信じて対処していったとき、そうならなかったときのダメージは大きい。

もっとも、朝日新聞などは不動産会社としての側面もあり、新聞屋さんとして存立できなくても、社会的存在意義とブランドイメージの維持というメリットとして、新聞を発行するという究極の裏技、つまり「道楽としての新聞発行」という「まさか」もあるのかもしれません。

部数減少という流れを止めることができないのかもしれませんが、このような時にこそ、自分たちの存在意義は何かに立ち返り、最大のスポンサーである、読者の利益のために戦ってほしいかなと思います。

先の戦争では、軍のお先棒を担いだ苦い経験があるのですから、経営を考えると「やむを得ない」という思考は破滅の道だということをもう一度思い出してもらいたいと思います。

あの時とは、状況的には今の方が厳しい。現状への理解がまだ甘いから、ズルズルとここまで来ているという現実があるのですから、もう一度、新聞各社は、新聞メディアの存続の危機という点を共有してほしいかなと思います。

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