見出し画像

「医学部医学科女子比率4割超え」は、必然的通過点だと思う理由【女子受験生が書き換えた医学部受験の新常識】

3月8日の国際女性デーに合わせて、朝日新聞に掲載された↓の記事。
(プレゼント機能を使っています。3月17日(日)9:09まで読めます。)

個人的には、何の驚きもなく、もっと女子比率は上がると見ています。
2年前に↓の記事を書いていますが、そのころよりも女子優位の印象は強まっています。
だからこそ、塾では男子受験生にはその点を話すようにしています。

かつて、この点についてまとめています。

さらに、女子が男子に実力的に接近してくることで起こった現象が、↓になるのかなと思います。

つまり、

医学部を目指す女子は、総じて語学リテラシーが高く、英語、国語で取りこぼしをすることは稀です。
結果として、総点勝負になると、理数系が互角か若干劣るものの、英語などの文系教科のアドバンテージで結果として女子が有利な展開となるパターンになることは多いなと感じています。

上記記事より

となる。それがここ数年現場で私がヒシヒシ感じていることです。

これは
女子受験生が英語のレベルを上げ、英語をそこまで頑張れない理数科目偏重の男子受験生を追い詰めているという構図ではとみています。

共通テストで9割近い得点を理数系の科目でとりながら英語、国語の伸び悩みで貯金が雲散霧消する男子受験生は珍しくないのです。
医学部受験はハイレベルでのオールラウンドの勝負の世界になった。

この現実は、女子受験生が医学部受験の常識を書き換えたと言えるのではと思います。

私は、男女比 4:6 に徐々に近づくのではと見ています。ただ、これ以上にはならないとも思っています。

エンタメの影響もあるのか、医師という職業がヒロイズムの象徴的職業と捉える傾向は、前々から疑問がありました。私自身、患者としてお医者さんと接していて感じていたのは、優秀な先生ほど、アンサングヒーロ(この場合は、ヒーローはジェンダーレス的な表現として使っています)であることです。

それは、地味な仕事をコツコツと積み上げ、粘り強く患者さんと向き合うことのできる「地道な医師たち」であるということです。

時に、数学や物理ができることは、優越性が付帯し、それが強い快楽を持つことにつながりかねない部分があります。そのことが優秀・有能の象徴のプラットフォームとして医学部(医師)が魅力的に映ることとなり、そこに強い渇望を求める男性は昔は多かったと思いますし、今もなお、その傾向は一部で続いている・・・という側面があります。

白い巨塔と表される権威主義が生み出した医学界の歪みは、強い優越性の自負心を持つ人たちの集団の産物でしょうし、私には滑稽にしか見えない教授回診をつい最近まで大真面目にやっていたこの世界はやはりどこかいびつなものがあったことは間違いないのではと思います。

しかし、時代は徐々に変化しつつあるのではと思います。穏やかで地道に仕事ができる新しい医師像が私には価値を持っています。
そう思うのは、地道な努力を積み上げられる女子受験生が旧来のヒロイズム的な男子受験生を凌駕しつつあることを目撃していることと無関係ではないのかなと思います。

手塚先生は、ブラック・ジャックをヒーローとしては描くつもりはなかったのかもしれませんが、その影響は、手塚先生の意図とは違った形で一部の医師像をゆがめたことはあったのかもしれません。

ただ、エンタメの中の医師像も徐々に変化してきている。柴門ふみの『小早川伸木の恋』であったり、旧来な価値観との対比によってキャラクターが造形されているテレビドラマ『ドクターX』を見てもそう思います。

ヒロイズム的な医師像は区切りを迎えつつある。それが、女子受験生が書き換えつつある私の中での医学部受験の新常識とシンクロしているように私には見えています。それは、ある意味健全ともいえるかなと思います。

それは言い換えると旧来の医学界の常識は、意図的かつ差別的に男女に優劣つけることでしか維持できないほどの歪なものだったとも言えるのかなと思います。

女性医師が増えることは、これまで謂れのない被差別者でしかなかった男性医師への正当な評価にもつながるものなのではと思っています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?