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医学部を女子が席巻する日(後編)

医学部入試において、女子の躍進を予見させる現実があることを書いています。前回はこちら。

後編の今回は、男女差において、勝負を決定的に分けるのではないかと思う指標があるのではと思うので、これについて触れます。

前に↓の記事を書きました。

あなたはどんなお医者さんになりたいのか?

その問いに即答できない受験生がいた場合、その大半は男子です。言い換えると、女子からは、それなりの答えが出てきますし、合格するような女子受験生は具体的なビジョンがでてます。なぜなら、自分が医者としてこうなりたいと思うことが先にあって医学部を目指している場合が大半のようだからです。

私はここに男女差の決定的な差を感じています。

それは、
(3)名より実、実より名
の問題です。
この点において男女差が見て取れます。
名より実を重視するのが女子。
一方、
実より名に惹かれてしまうのが男子。
というイメージがあります。

具体的には
医師の仕事の「実」に魅力を感じているのが女子。

医師のステイタスという「名」に魅力を感じてしまいがちなのが男子。
と言える傾向があります。
もちろん、そんなに単純な区分が出来る程ではありません。どちらかと言えばとか、より強い相関性があるという程度でもありますが、この差が実は大きいと感じています。

というのも、この問題、入試現場では案外デリケートな問題でもあるのです。

この名より実、実より名の問題は、こういう局面で顔を出します。

模試で、九州大学医学部 C判定という結果が出たとします。
そのときの反応の違いに男女差が出ます。

C判定なので・・・
女子は、九大医学部は無理だろうと見切りをつける傾向があり、
男子は、九大医学部が射程圏に入ったと考える傾向があります。

これが一般学部で、例えば工学部のように定員が多い場合であれば、そんなに問題はありません。向上心がメリットとして機能することさえあります。場合によっては、女子の方に考えを変えてもいいかもねとアドバイスすることさえあります。

しかし、競争の苛烈な医学部では、男子のような思考は、合格のマネジメント的には、ありえないの一択なのです。
理由はリスクが大きすぎるからです。

ここで、説得するのが結構難儀なのです。B判定が出たら考えては?というアドバイスを聞き入れてくれる方は明らかに少数派です。
名誉が目の前にぶら下がると男子受験生の視野は急速に狭まってしまうのかなと感じています。

そもそも論として、医師の仕事はライセンスによって参入が保証され、そこからのキャリア形成は本人次第です。山崎豊子さんの『白い巨塔』のようなキャリアアップを目指す人もいれば、開業を目指す人もいる。その意味で、学歴にそこまでの意味はなく、ライセンス取得が最優先であるはずです。

それなのに、名の魅力に勝てない男子受験生は意外にもいます。浪人を重ねるにつれて、単に医学部に行ければいいとならなくなっている人も見かけます。国公立大学中位校の医学部に合格できる実力がありながら、旧帝大医学部を諦めきれない男子受験生をみると、いろいろ考えさせられます。

男子の名に魅惑されてしまう問題は、社会の問題も大きいのではと思っています。昨今の東大生ブランドのバブル化とも密接に関係があるのだろうと思います。

ただ、その高みに到達する前に、厳しい勉強の試練が待っています。強固なモチベーションが求められる医学部入試において、功名心だけでは継続難しいということなのでしょう。

自分が医師としての将来のビジョンが明確になっていないと現実の壁は、自ら壁を高くし、その高い壁に跳ね返されてしまうのではと思います。

なので、男子受験生には、自分はどんな医師になりたいのかを見つめることがより大切なのではと思います。

この名より実、実より名の小さな差は、結果として女子優位を生んでいくのではと思っています。

今後、医学部入試が厳しくなればなるほど、男子受験生は心構えというメンタル面で周到な準備が必要となるのではと思っています。



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